表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

タイトル未定2026/04/08 17:00

はじめまして。読んでいただきありがとうございます。

この物語は、恋と未来と選択をめぐる、少し不思議な物語です。

最後まで見届けていただけたら嬉しいです。

1 ○海辺(朝)

浜辺が 青白い空の下に静かに伸びている。

やわらかな波が 砂をそっとなでる。

蝉の声は まだ聞こえない。

少女(10)が砂浜に座り込み、滑らかな小石を丁寧に選り分けている。

隣には、小さくて使い込まれた桐の箱がきちんと置かれている。

小道の向こうから、石川健司(10)が貝殻を両手いっぱいに抱えて駆けてくる。

少し息を切らしているが、笑顔だ。

健司(貝殻を差し出して)「ほら。これ…奇麗だろ?」

健司はそっと貝殻を桐の箱に入れる。

少女はそのひとつを取り上げ、光にかざしてゆっくり回す。

少女「うん。きれい。」

健司「ネックレス作れそうじゃん。

なんか夏っぽいやつ。」

少女「私たち、同じクラスになるんだよね?」

健司「うん。お前、こっちに引っ越してきたしさ。

それでさ、なんで引っ越してきたの?」

少女「パパ。

昇進したの。

いい仕事に就くには、ちゃんと勉強しなきゃって。」

健司(小さな貝を放ってキャッチしながら)「大人って、いつもそう言うよな。

俺、今年まだ一回も本を開いてないけど。

遊ぶほうが楽しいし。

よかったら一緒に遊ぼうぜ。」

少女は少し背筋を伸ばし、貝を宝物のように持ち上げる。

その目は静かで、まっすぐだ。

少女「怠け者と話す気はないの。

私、大きくなったら、完璧な人と結婚するつもり。

落ちこぼれなんてお断りだから。」

短い沈黙が流れる。

健司は言葉を失い、少女を見つめる。

健司(小さく、傷ついた声で)「…じゃあ、俺って落ちこぼれなの?」

少女「そんなこと言ってない。」

健司「じゃあ、自分で拾えよ!」

健司は桐の箱をつかんでひっくり返す。

貝殻が砂の上にぱらぱらと散らばる。

少女(叫ぶ)「バカ!」

健司の背中は、だんだん小さくなり、浜辺の朝もやの中に溶けていく。

散らばった貝殻が、朝の光を受けて静かに光っている。

少女は動かない。

海だけが、静かに歌い続けている。

2 ○大学・教室(昼)(それから何年も後)

教室は静かだ。

学生たちはノートを広げ、指示を待ちながら静かに席に座っている。

前方では、教授(50代半ば、厳しいが励ますタイプ)が黒板の横に立っている。

その中に、石川健司がいる。

知的で思慮深く、腕を組んで静かに周りの様子をうかがっている。

その隣には内村遼が座っている。

エネルギッシュで、好奇心に満ちた鋭い目をしている。

教授「今年度の終わりまでに、最終プロジェクトを完成させて提出してもらいます。

個人でも、グループでも構いません。

ただし、全員が参加すること。」

健司は遼と目を合わせる。

遼は興味深そうに手を挙げる。

遼「先生、具体的にはどんなプロジェクトなんですか?」

教授「内村くん、それはね──全ては君たち次第です。

テーマも、アイデアも、方法も、全部自由。

一年間で自分のビジョンを形にしてみてください。」

教室は静かにざわめき始める。

学生たちは小声で盛り上がる。

健司の後ろの席の女子学生二人が、くすくす笑いながらアイデアを囁き合う。

教授(続けて)「覚えておいてください。最優秀作品は国際展で発表されます。

さらに、優れた作品には賞金も出ます。」

教室は控えめなどよめきに包まれる。

遼の後ろの学生が、前のめりになって顔を出してくる。

学生「国際展? 聞いたか? 世界に出られるかもな!」

健司はかすかに微笑み、背もたれに寄りかかりながら天井を見上げる。

その目には、可能性の重みが映っている。

遼は健司に身を寄せ、小声でいたずらっぽく囁く。

遼「健司、これ絶対俺たちが取ろうぜ。」

健司の微笑みが少し広がる。

自信と慎重さが混ざった表情。

健司「どうなるかな。」

教授が咳払いをして、再び全員の注意を引き戻す。

教授「このチャンスを有効に使ってみてください。

君たちの将来がかかっているかもしれません。」

健司と遼は、決意のこもった視線を交わす。

周りでは、期待と夢と野心が教室を満たしている。

3 ○石川家・リビング/ダイニング(夕方)

居心地のいいリビング。

ダイニングテーブルはきちんと整えられている。

健司は、弟の類(6)の隣に座っている。

母がキッチンから料理の乗った皿を持って現れ、そっとテーブルに置く。

彼女も席に着き、父は静かに座って家族を穏やかに見守っている。

母「健司、今日はどうだった?」

健司「今日、課題が出たんだ…。

一年かけてやるプロジェクト。

なんでも好きなものを選んでいいって。」

母「もう何か思いついた?」

健司は軽くため息をつき、考え込むように皿を見つめる。

健司「そこなんだよね…。

『なんでもいい』って言われると、

かえって何も浮かばなくなる。」

父はやさしく、安心させるように微笑む。

父「じゃあ、人の役に立つものにしたらどうだ?

誰かの生活を良くするようなもの。

そういうプロジェクトは、いつだって意味がある。」

健司は静かにうなずき、父の言葉をかみしめる。

健司「たぶんそうなんだろうけど…。

まだハッキリとは…。」

小さな頼が、食事の手を止めて元気よく顔を上げる。

類「大きいボール作って!

投げたら、ぜったい戻ってくるやつ!」

健司は思わず笑い、類の頭を優しくなでる。

健司「いいアイデアだな、頼。」

家族はみんな、ふんわりと笑い合い、

あたたかな会話が部屋を満たしていく。

4 ○石川家・リビング(夜・食後)

母は静かにテーブルの皿を片付け、キッチンへ運んでいく。

健司はテーブルに残り、ノートを開いたまま考え込んでいる。

健司「ねえ、母さん。

母さんが今の僕と同じくらい──

二十歳くらいだった頃って…

夢って、何だった?」

母は動きを止め、振り返ってやさしく微笑む。

母「そうね…理想の旦那様に出会うこと、かな。

一緒に幸せな家庭を築けるような人。」

健司「どうやって見つけたの?」

母の表情が、さらにあたたかくなる。

母「 あなたのお父さんと出会えたのは、

本当に運が良かったと思ってる。

実はね、私が探したんじゃないの。

あの人が、私を見つけてくれたの。」

健司は小さく微笑み、ペンを取り、

ノートに「1.理想のパートナーを見つける。」と書き込む。

母は口元を押さえ、そっとあくびをする。

母「遅くなっちゃったわ。そろそろ寝るね。」

健司「おやすみ。」

母は静かに部屋を出ていく。

健司はそのまま席に残り、窓の外の穏やかな夜空をぼんやりと見つめる。

頭にあるのは、さっきノートに書いた一つの考えだけだ。

静かにため息をつき、ノートを閉じ、テーブルにそっと頭を預ける。

そのまま、静かに眠りに落ちていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ