↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/4

ゾン美と骨子

「おはよっ。てか、ゾン美~? 最近ちょっと痩せた?」

 日本のとある地方都市にある公立高校。1年F組のいつもの朝の光景。

「え、マジ? 気のせいっしょー。てかアタシ、ダイエットとか全然してないし!」

 派手なデコネイルで飾られた手をひらひらと振って笑う少女――みんなからは『ゾン美』と呼ばれている。

 金髪のゆるふわ巻きに、指定のカーディガンをだぼっと着崩した、どこからどう見てもイマドキのギャルJK――。だが、その内心は冷や汗をかきまくっていた。


(ヤバいヤバいヤバい! これ絶対、美容《防腐》液の効き目が切れてお肉が縮んできてるだけだっつーの……! てゆーか、アタシ、冷や汗なんてかけないんだけどさ)


 そう、彼女の正体は『生ける屍(ゾンビ)』。

 昨日の夜もうっかり階段から落ちて左腕がもげかけ、接着剤とテーピングでなんとかくっつけてきたばかりなのだ。


「でもさー、なんか頬のあたりとかシュッとしたっていうか。ちょっと肌も青白いし、貧血とか? 大丈夫そ?」

「あー、それね! ? 最近の流行ってんの!  病みカワ系の美白メイク的な?  めっちゃ新作のファンデ厚塗りしてるから!」


 必死に引きつる頬の筋肉――※死後硬直ではない―を動かしながら、ゾン美は鋭い親友の追及を全力でかわすのだった。


 ***


「てゆーか、知ってる? ゾン美。今日さ、転校生が来るらしいよ」

「マジで!? え、めっちゃ気になる!」

「噂なんだけどさ。何かぁ、やたら骨のある子らしいって」

「へぇ~。骨のある子かぁ……」


 そんなことをいつものように話していると、これまたいつものように担任の先生が教室に入ってきた。

「えー、みなさん。既に知っているかも知れませんが、今日はこのクラスに新しくきた転校生がいます」

 転校生がくる、ということは知っていても、やっぱりザワつくクラス。

「えー、それでは……。入りなさい」

 先生がクラスの外の廊下の方に向かって、声を張り上げる。そして、数瞬後にクラスの扉がガラッと音を立てて開かれた。


 思わず、期待にゴクリと固唾を飲んで、一誠に扉の方へ視線を向けるクラスメイトのみんな。ゾン美も、一体どんな奴なのかと扉の方を見る。


 扉を開けて入ってきた転校生は、クラスのみんなの視線に動じることなく勢いよく教壇に立った。

「チィーーーーーーッス!!!!! 骨子でッス! 気軽に骨ちゃんって呼んでね♪」

 そして、元気いっぱいに言うと、両手で全力ピースをキメた。


 その瞬間、クラスは絶対零度並に凍りついた。

 それもそのはず、転校生『骨子』はガチの骨だった。マジで。文字通り。

 全身骨で、ブレザーをオシャレに着崩し、頭 蓋骨……じゃなくて、頭に赤い花のヘアアクセをしている。


(骨のある子ってゆーか……ガチの骨だし!)

 心の中でゾン美は思った。みんなと同じく、凍りつきながら。


 でも、ちょっと心臓がドキリとした。ドキリとする心臓なんて、もう止まって動いてない はずなのに。

(コイツとは、何だか仲良くなれそうだわ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。