奥義
[変異抜刀鎌鼬]は有名な古典忍者の必殺技のオマージュです。
煙の上がる礼拝堂。そこで私は手負いの怒れるオーガと対峙していた。作戦はすでに破綻し、勝負は半ば決しているかに思える。だが、まだ私には竜力の残りが四つあった。そして術を使う間合いも。
忍術[変異抜刀鎌鼬]。前世で読んだ漫画から発想を得て忍の里で開発した必殺技。左右どちらにも動ける様に正面から接近し、直前で忍鎌を抜き斬りつける技。
開発当初は竜力に頼った博打技で、見切られたなら逆に斬られる可能性が高かった。しかし里を出て[正剣聖流]の剣客に買われてから二つ改良をしている。
一つは二刀流の[剣聖流]対応に左右に加え上から飛び越えざまに鎌を振り下ろすバージョンを加えた事。もう一つは博打的に飛び込むのではなく。[後の先]を取る技に変えた事だ。
先行型は虚をつく、[先の先]の技で左右どちらから斬りつけるのかが分からないのが奥義だった。対して今の型は相手が対応する反対側から斬りつける奥義に変えている。
これは私を買った剣客が[後の先]を得意していたのを道場で技を盗んだ結果そうなった。気が付いたのは肩の僅かな上下や筋肉、視線等を見れば次の動きが読める事。それを見てから相手に飛び込む直前の刹那で反応を変える。
[変異抜刀鎌鼬](使3残0+1)
果たして人間を超える反応速度のオーガに必殺の忍術が通じるか?私は速度を上げ飛び込んだ。
☆☆☆
竜力により加速された為に周りの動きが、ゆっくりに見える。オーガは突如加速した私に対応する為、棍棒[鉄パイプを上段から振り下ろす動きを見せた。
流石は天性の捕食者。オーガの筋力と反応速度なら私が左右どちらに躱して踏み込んでも、当てる事が出来るだろう。そして軽く当てるだけでオーガは私を戦闘不能に追い込める。先行型なら万事休すだった。
が。
私は[鉄パイプ]が振り下ろされ、頭を砕く直前にオーガを飛び越えるべく跳んだ。少し遅れて礼拝堂の床を金属の棒が叩く音が響き、忍鎌はオーガの首を後から貫通した。
私は忍鎌から手を離し、一回転して着地する。勝った。私はそう確信しつつももう一回転半ひねりをしてオーガを向く。
と、胸に衝撃を覚えた。オーガは上半身を捻ったまま倒れ込んでいるが、最後の瞬間[鉄パイプ]を放り投げたのだ。私が受けた衝撃は飛来した[鉄パイプ]が命中した為に生じたもの。
私は吐血し倒れ込んだ。肋骨が数本折れて肺に付き刺さっている。目標は撃破も、こちらも大破。至高神に祈ろうにも声が出ない。酸素不足により意識が遠のいてゆく。
[竜回復](使1残0+0)
一応1だけ残った竜力で[竜回復]を使ったが、目が醒める程の回復は無理だろう。私もアンゼも[永遠の神]に魅入られないと良いのだけれども…………。
今回は短め。
私の黒歴史がまた1ページ。




