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Exhaust  作者: あると
Chapter.4 亡霊
60/64

4-5 罪滅ぼし(前編)

あるとです。

今回はほぼ尺伸ばし回です。

なんですが、珍しく短編じゃないです。

なんで東條が俊谷を追うのかという出来事の

ルーツに関してのお話をしてなかったので

そこの話を前編後編に分けて書くつもりです。

色々後付け設定が多かったりしますが

許してください。どうかこの通り。

(確か、2年前の朝刊だった。アイツが死んだって事知ったのは。)






2年前。広島都市高速4号線、深夜11時半頃、沼田料金所700m手前にて、白いスポーツカーがトンネル内にて単独事故を起こし、大破炎上。


乗車していた20歳の青年、俊谷真司が死亡した。


新聞はそう書かれていた。それを見たNEXTECZのメンバーはすぐに事故現場へと向かう。


が、東條たちが現場に駆けつけてもその姿はなく、ただ道路に小さな破片が散らばっているだけだった。


ガラス片や焼け跡、確かに事故がここで起きたことは分かるほど、それらしき痕跡はあった。


だが、事故現場にしては綺麗すぎる。単なる経年劣化や昔の事故の古傷のようにしかみえない。


東條達がトンネル内に来るのが遅すぎた訳じゃなく、誰かがここまで綺麗に仕上げたような、そんな綺麗さ。東條達は確信した。




これは事件なのだと。




東條達はガレージに戻り、広島県内でのチームの走行履歴などを調べ尽くす。そして見えてきた事件の内容。


それは、他チームとの抗争だった。NEXTECZは広島最速を常に保持しているチームで、広島の走り屋に知らない人はいない。


それどころか、外部の走り屋が彼らに挑む事もあったほどだった。それ故に、姑息なやり口でその立場を狙うチームも少なくはなかった。


特に"RATS"と呼ばれるチーム。他のチームにはそこまで卑怯な真似をすることはないが、NEXTECZのメンバーにだけは異常に攻撃的。


東條は単身ですぐに事故現場へ戻り、事故の痕跡を再び調べ始めた。(スリップによるクラッシュにしては、少し角度が急すぎる……ぶつけられたのか?)


痕跡を辿っていく度に見えてくる事故の様子。この事故が、RATSの行った自分達(チーム)への宣戦布告だとすれば、無視は絶対にできない。


道路の端にしゃがみ込んで、塗装片を調べていく東條。規制は既に解除され、一般車も普通に通り始めている。


だが東條の目には、そんな景色など入っていなかった。


白い塗装片。これが俊谷のM3のものだという確証があった。彼の車のカラーを何度も間近で見ている身からすれば、絶対に見極められる自信があった。


彼のM3の白、アルピンホワイト。だが、その直ぐ側に黒い塗装片を見つける。彼の車には黒い塗装はされていない。


レースに負けても潔く身を引かず、自分達に報復のような攻撃をするのは、RATSただ1チームのみ。今回の事故がそれの延長だとしたら……。


やはり逃げる手はない。その時、ウィンドウにRATSと書かれたステッカーを貼る黒いE31 8シリーズが姿を現し、彼の目の前で止まる。


後方にあった930に気づいたのだろうか。「よぉ、時名クン。」サイドウィンドウが降りると同時に、男が顔を出す。「……お前の仕業か。」


東條は鋭い眼差しで男を睨みつけた。「どうだか。流石にお前の仲間が死んだ事に浸かるつもりはないさ……だが、もしも俺が事故に関わってるって言ったら?」


男はそう言い、東條を挑発した。「……殺す以外ねぇって分かってていってるだろ、お前?」


東條は男の挑発に乗りかける。が、それをギリギリで抑えていた。相手には、それがプレッシャーとして伝わる。


「おー、怖い怖い。広島最速さんは随分と短気なんだねぇ。」 長いノーズに低い車高。その姿とは逆に、その車は東條を見下しているようだった。


「……何しに来た、わざわざ。」「見物だよ。昔っからの敵が死んだんだ。流石に顔くらいは出すさ。」


男はタバコに火をつけ、煙を吐き出しながらそう返す。「単独事故なんだってな。あれだけパワーに全振りした不安定な車乗ってちゃ、いずれそうなるって分かりきってた事だぜ?」


「本当にアイツ1人の単独事故なら、他に迷惑かけてないからまだいいんだが……!」東條は黒い塗装片を拾い上げ、男のE31と照らし合わせる。


「完全に同じ色だ……お前がやったんだろ?」男は東條の照らし合わせる破片を見て、冷や汗を一滴流す。が、焦る様子は一切見せなかった。


「よく見てるじゃねえか。」「質問に答えろよグズ野郎。そうやって今まで俺の仲間に手ェ出してきやがって。」東條は静かながらも男を怒鳴りつける。


男は余裕の表情でタバコを咥え直す。「知らねえな。黒いBMWなんてどこ行っても走ってんだぜ?広島にだって、何台もいるのは身をもって知ってるはずだろう?」


「俺らと今まで戦ってきた相手のなかで、黒い車に乗っていた奴はお前だけだ。そして、お前らの反感を買ったのも俺等だ。


動機の可能性になりうるモンは掴んでんだよ……答えろ。」東條の強い問いかけに、男は動じる様子を見せずに煙草を吸い続ける。


「あんなァ、お前の"ソレ"は証拠になってねえんだよ。」「だから聞いてんだよ。俊谷に何したんだ。」


東條がここまでキレている姿を初めて見た男は、心の内で東條に怖気づいた。が、それを彼自身に悟られてしまえば詰められる。


表面だけ余裕の素振りを見せる男。「だから知らねえって……!」東條は男が冷や汗を垂らしていた事に気づく。


男も、東條がそれに気づいた事を理解する。「……もう、嘘つかないほうが身のためだ。そろそろ、俺達んとこの情報網チームが来る。お前の事も調べてもらえる。


ここで吐くか、それとも黙り続けてあとでブッ殺されるか。選べ!」男は唾を飲み込む。さっきまでの余裕が、少しずつ崩れ始めていた。


「……そんな、ハッタリなんかに騙されるかよ!」「なら待って試してみるか?」東條も一歩も引かない。いや、引けなかった。


もうすぐで情報が聞けそうだという所で引けるわけがない。「お前、気づいてないだろうが、思ってる以上に顔に出るタイプだぞ。」


男は返事をしない。目が泳いでいる。「俊谷の事故、お前らRATSが関わってんだろ。」「……俺じゃねえ。」


男はまたそう言う。呆れた東條は、男の頬に塗装片を押すつけて問い詰める。「じゃあこれは何だ、まだしらばっくれるつもりかッ!?」


「運転してたのは俺じゃねえんだッ!この車もリーダーの管理下にある。いざとなれば、遠隔で動かせなくすることだって可能なんだ。俺が下手に使えねぇんだよ!」


「……リーダー?」東條の手が止まる。男は激しく息をしながら、苦しそうに続けた。「西崎だよ……!」RATSリーダー、西崎慎吾。


男が今乗っている黒いE31 8シリーズのオーナーにして、広島の走り屋界隈でも危険人物として有名な男だ。


東條と深い関わりがあり、対立関係も大きい。東條とは、幾度となく激しい戦いを繰り広げた、走り屋としてのレベルやポテンシャルもある。


RATSのリーダーとしてメンバーを支配するような形でチームを運営するようになったことは知っていたが、ここまでの事をするとは思いもしなかった。


「ようやく誰かに言えたぜ……アイツの下にいるのが苦しくて、でもアイツのやる事に対する答えはYESだけだ。お前だってそれは知ってるはずだ!」


「アイツの指示か?」「あぁそうさ、アイツの指示だ!」東條は男の胸ぐらを掴んだまま、黙り込む。西崎慎吾。その名前を聞いた瞬間から、胸の奥に沈めていた怒りが再び煮え始めていた。


昔の西崎は、ここまでじゃなかった。いくら気性が荒く、勝ちに執着するからといって、他人を傷つけるような人間じゃない。


走りに対してはいつも本気だった。「変わっちまったんだな……アイツも。」男は苦しそうに笑った。


「最初は普通だったさ……でも、お前らNEXTECZに勝てなくなってからだ。特に俊谷真司、アイツがお前とリーダーの間に入ってくるのが、リーダーにとっては癪で仕方なかった!」


男は俯いたまま続ける。「西崎は、"走りで勝てないなら別の方法を使う"って言い始めたんだ。」東條は胸ぐらを掴んだの拳を離す。


「で、それが……なんで止めなかった。」「リーダーが大人しく止める人間だと思うか!?」男は叫ぶように吐き出した。


「"あのM3さえ消えれば、NEXTECZは崩れる。最速は俺たちが手にする"って……!」男の声は震えていた。


恐怖なのか、後悔なのか、自分でも分かっていないような声だった。東條は何も言わず、ただ奥歯を噛み締める。


「で、何があったんだ、ここで?」「リーダーがこの車で俊谷に不意打ちを仕掛けにいった。アイツの単独走行中に!」


男は荒く息を吐きながら続ける。「最初はただ煽るだけだったんだよ……けど、真司は全然退かねぇし、むしろ速度上げやがる。リーダーもそこで完全に頭に血が上った。」


東條の拳が、小さく震える。「4号線のトンネル、ここに入ってからだ。アイツ、真司の真後ろベタ付けして……何回もフェイント入れてた。


んで、出口手前の右カーブでリーダーが、M3のリアに当てたんだ。それが、ここだ……!」


東條の脳裏に、白いM3の姿が浮かぶ。必死に姿勢を戻そうとする車体。悲鳴を上げるタイヤ。そして。


「M3は壁に当たって、そのままスピンした。火花散らしながら回って……。」男は俯く。「俺、死んだと思った。だが、ぼやけて見えたんだ、アイツが炎の中から出てくる姿が、微かに……!」

RATSに関する設定は

およそ15分程度で考えました。

投稿期限の数時間前だってのに150文字程度しか

出来てないという事態の中

ようやく編み出せたキャラクターです。

インスピレーションが浅い事。

以上、あるとでした。

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