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Exhaust  作者: あると
Chapter.4 亡霊 編
55/58

4-1 亡霊

あるとです。

今回からChapter.4に入ります。

あと、Chapter.4に入ってから

他作品との並行連載を行うことにしました。

なので、Exhaustの方は2週に1度の更新度になりますが

あらかじめご理解をお願いします。

11月24日、月曜日の昼下がり。広島県広島市にある、世界遺産の1つでもある原爆ドームのすぐ近く。桜井悠人(さくらい ゆうと)は、福岡で共に戦った走り屋の東條時名(とうじょう ときな)に会う為に、彼の地元である広島の、とあるカフェへと訪れていた。


店内に入り辺りを見回すと、自分に向かって手を振っている男を発見する。「桜井!」東條がコーヒーを飲みながら、桜井を一人待っていた。「あ、いたいた。ドーモ東條さん。」


東條を見つけた桜井は、彼の向かいの席へと座る。「悪いな、福岡から直で来させちまって。名古屋に帰る予定だったんだろ?」「そうですけど、別に謝ることじゃないですよ。


それに、広島にも遠征に出る予定があったので、ホントにいいタイミングだったんです。」


「そうか……ならいいんだが。」東條は空になったカップをテーブルに戻し、窓の外を眺める。「早速、本題に入りたいんですけど、俺はいったい誰を探せばいいんですか?」


桜井がそう聞くと、東條は数秒黙り込む。何か、彼なりに思うところがあるようだった。そして、彼は口を開いた。「……"亡霊"と呼ばれる走り屋の男を捕まえてほしいんだ。」


亡霊。その名前は、桜井はどこか聞き覚えのあったような気がした。「亡霊……なんか聞いたことあるような気がします。」


「ここいらじゃ有名だからな。多分、こっちに来るときに名前を聞いたんだろう。」桜井は納得した。確かに、走り屋であろう人たちが、その"亡霊"に関する話をしていたのを思い出した。


「……名前は俊谷真司(としや しんじ)NEXTEXZ(ネクステックス)の元メンバーだ。そいつは……2年前に事故で死んだはずの男だ。」


「死んだはずの……男?」桜井は静かに驚く。「あいつの白いE30……M3は特別で、NEXTEXZにいた頃に、500馬力のS85エンジンに載せ換えてる。俺でもロクに追いつけない程には速い。


まぁ、間近でチューニングしてるところを見てたから、その速さがどっから来てんのかは、分かりきってるんだがな。でも、今は昔以上にパワーの出る仕様になってるはずだろう。」


そう言い、カップに入ったコーヒーを飲み干す。「死んだはずの男が、2年越しに再び走り屋として帰ってきたから、探してほしいと……別に俺、探偵じゃないんですけど。」


「それは分かってる。だから、協力して欲しい。俺よりも速い速度で走れる桜井になら、きっとあいつの前を走れると思って、俺は頼んでる。だから、頼む。俺に協力してくれ。」


テーブルに手をついて頭を下げる東條をみて、桜井は申し訳なさの気持ちでいっぱいになった。「……で、どうやって捕まえるんです?」


「……引き受けてくれるのか?」東條は顔を上げて、喜んだ様子を見せる。「わざわざ広島まで来といて、何もせずに帰れませんし。それに、俺にとってもいい経験になると思うので。」


桜井は東條に対する、福岡でのレースに対する感謝の気持ちと、走りのレベルアップの機会の2つが同じタイミングに表れていた。そんな彼には、断る理由がなかった。


「……心を折るんだ。これ以上アイツより速く走れないと、精神的に折って諦めさせる。そうすれば、あいつをとっ捕まえて、なんで俺を避けるのか分かるはずだからな。」


「避けられてるんですね。なら余計、刺激しないほうが……」桜井はそう言いかけるが、東條が話を続けた為に言い切れなかった。「俺はアイツの顔を出来る限り早く拝みたい。


死んだと思ってた親友が生きてることが分かってんのに、顔も合わせられないんじゃ悔しくてよ……とにかく、今日の夜には出て、早速探し始める。先に、俺の家に荷物だけ置きに行くぞ。」


東條は立ち上がり、椅子にかけていた鞄を取る。「……それって、東條さんの家に泊まれって事です……ね?」桜井は恐る恐る聞く。「そうだが、嫌か?」


即答だった「そーゆーんじゃなくて、東條さんはそれでいいんですか?近場のホテルとか探したっていいんですけど。」


「いいんだよ別に、軍資金の節約にもなるだろ。寝床は作るから、そこで寝てくれ。」東條はそう言って、鞄を肩にかける。


「……お世話になります。」






夕方、桜井と東條の2人の乗った2000GTが、東條家の玄関前に到着した。「……でかい。」木造で、年季の入ったような外観をしている東條家。


「別にそーでもねーよ、平屋だし。」「十分デカいですよ。俺も平屋ですけど、この家よりも二回りくらい小さいですし。一人暮らしなので。」


東條はハザードを焚くと、2000GTの運転席から降りて玄関の鍵を開ける。「車はそこに停めといて、早く入れ。急がないとソイツ盗られるぞ。」


桜井は車から降り、東條の後をついていく。「ただいま〜。」「お邪魔しま……す。」玄関の中はそこまでの大きさはなかったが、ホテルのような高級さを醸し出している。


「……ここの突き当たりが使っていい部屋だから、そこに荷物置いといてくれ。俺はリビングにいる。」「分かりました……。」


桜井は奥の部屋のふすまを開ける。と、6畳ほどの大きさの小さな和室が現れた。テレビと布団に机と、最低限の生活は出来るような部屋だった。


(和室……丁度いいサイズの部屋だな。)桜井は部屋の隅に荷物を置き、東條のいるリビングへ向かう。リビングに入ろうとすると、東條の女性との話し声がかすかに聞こえた。


笑い話をしているようだ。(誰と話してるんだろう……。)桜井はゆっくりとリビングのドアを開ける。「ん……荷物まとめ終わったか。」「……エッ!?」


そこには、ノンアルサワー缶を片手にテレビを見ている東條と、彼のつまみであろうアーモンドを共に食べる、有名な国民的女優、東條美和子(とうじょう みわこ)がそこにいた。


「ん……あぁ、言ってなかったか。コイツ俺の姉ちゃんの美和子。」「どーも。」桜井は理解が追いつかなかった。東條と言う名字は確かに限定的だろう。


だが、名字が同じという理由だけで、その人たちを家族だと考えるのは、桜井が極力避けていることの1つでもある。


「えっと……。」言葉が出なかった。「緊張してっな……そりゃそうか。俺は家族だから何とも思わねえけど、桜井にとっちゃ何とも思うわけだ、なっ。」


時名は空になったビールの缶をゴミ箱へ投げ捨てた。上手くゴミ箱に入った缶に、時名はガッツポーズを決める。「……緊張しなくて大丈夫だよ。私のことは気にしないで、ね?」


「……分かりまし……た。」情けない声が出てしまい、少し恥ずかしそうな顔を見せる桜井。呆れた時名はアーモンドを一掴みし、口に頬張ってソファを立つ。


「まだ状況が掴めてねぇのかよ。まぁいい、荷物も置けたみたいだし、ちょっくら行ってくるわ。」「気をつけてね、2人とも。」


時名は、桜井の首根っこを掴んで玄関へ連れていく。「いつまでフリーズしてんだ、世の中にゃあこういう事だってあるんだ。ほら行くぞ。」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ東條さん!」桜井は引きずられるように玄関へ連れていかれる。


「いってらっしゃい、2人とも。」






「いませんね、それらしいの。」「いねぇな。」広島都市高速2号線、仁保出入口のすぐ奥のエスケープゾーン。


桜井と時名の2人は、俊谷のM3が来るまで待機していた。「にしても、なんで東條さんのポルシェターボじゃないんですか?」


2000GTは静かに唸りながら、エスケープゾーンにポツリと止まっていた。


「ターボだとバレて高速の外に逃げられんだよ、アイツもターボのカーナンバー覚えてっからな。違う車が追ってきたほうが、バトルだと思い込んで走ってくれんのよ。」


「分かりやすいですもんね。」広島 330 ほ ・9-30。時名のポルシェターボはこのカーナンバー。俊谷はこのナンバーを何度も見てきていた。だからこそ、すぐに彼だと分かる。


「現れなかった時は、無駄に使ったガソリン代奢ってくださいよ、一昨日のレースで1億も貰ってるんですから。」


「いいけど、現れたら自分で払えよ。」そんな会話を交わしていると、時名のスマホに着信が来た。『宇品大橋に俊谷のE30が現れた。現在、2号線方面に向かっている。』


「……払えよ。」時名のいやらしい目つきに、桜井は嫌そうな顔でミラーを見つめる。「ここもじきに通り過ぎる。行くぞ!」「分かりました。」


桜井はハザードを切り、車を発進させる。「あいつのM3なら1kmなんてあっという間に走り切るからな、モタモタしてらんないぜ。」


「出力いくらって言ってましたっけ?」「600馬力。昔は500だったが、最後に聞いたときは600馬力以上出るって言ってたな……今はもっと出てるかもしれないな。」


桜井はアクセルを踏み込みながら呟く。エスケープゾーンから本線へ合流。桜井はミラーを見つめる。


「……あれが、M3ですか?」桜井がそう問うと、時名は後ろを振り返る。「……き、来た──ッ!」


BMW M3 E30、600馬力オーバーの白い亡霊。俊谷のM3が、2000GTのミラーに映る。「あれが、俊谷さんのM3……なんて速度ッ!?」


メーターが見えていなくてもわかる。俊谷のM3は、僅かな直線で300km/hを超えていた……。

東條美和子というキャラの初登場は、

Chapter.2の桜井のスマホの画像です。

芹沢と顔が少し似てます。

言うことはそのくらいです。

以上、あるとでした。

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