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目の前を歩く俺より頭一つ分小さいメイドさんを後からじっくり眺める。
そうだ、彼女の詳しい容姿について説明しよう。
正統派メイド服を完璧に着こなした彼女は黒髪で肩スレスレのセミロング。
その頭の天辺にはちょこんっとヘッドドレス。
さっき正面から見たときは目がぱっちりして小さな口をした小動物系の可愛さを持った女の子だった。
いやぁ、ぶっちゃけかなり俺の好みです!
この女の子を俺付きの使用人にしてくれた魔王に心の中でGoodJobと親指を突き立てる。
とりあえず魔王が折角お膳立てしてくれたのだからと少しでもお近づきになるためにメイドさんと雑談に興じることにした。
「すみませんね、わざわざ案内してもらって」
「………………」
「あ、知ってるかもしれないけど俺は勇者みたいなんだ」
「………………」
「信じられないよね、俺みたいな平凡な奴が勇者とか」
「………………チッ」
HAHAHAHA!
無視されてもめげずに話しかけていたら舌打ちされてしまったよ!
ちょっと心が折れそうです。
でも、俺はめげない。
「でもまさか魔王と親しくなれるとは思わなかったよ。
人生何があるか分からないよな」
そう言った途端、目の前を歩いていたメイドさんがぴたりと足を止めた。
そして、ひらりとメイド服の裾を翻しながら反転。
俺と対面する。
「魔王様が貴様ごときと馴れ合う訳がないでしょうが、調子に乗らないで下さい勇者ごときが、いえ、聖剣の性能などと卑怯な手を使って魔王様まともに戦ってすらいない貴様などには勇者を名乗る資格も無いですね、この、ヘタレが。
あぁ、後、確かに私は魔王様からの命でお前付きのメイドになったので仕方なく、その限りを尽くしますが用がない限り呼ばないで下さい。
貴方と違って忙しいので」
立て板に水とはこのことかとそう思う様に流れる様に罵倒を言い放つと再び裾を翻して反転、すたすたと歩きだした。
ポカーンとしていた俺は我にかえって慌てて追いかける。
小動物系の彼女は毒舌キャラだった。
あれか、ギャップってやつか。
ちょっとぐっときた。
あぁ、別に俺は決して攻められて喜ぶような俗に言うMと呼ばれる性癖の持ち主ではない。
ハズだ。
うん、多分。
「あー、別に調子に乗っているつもりは無かったんだけど気にさわったんなら謝るよ、ごめん」
「………………」
「ところで、君は何て名前なんだい?
流石に毎回メイドさんと呼ぶ訳にはいかないだろう?」
「着きました。
こちらの部屋です」
残念ながら部屋についてしまった様だ。
案内された部屋を見渡す。
ここも先ほどの部屋の様にシックで落ち着いた感じの部屋だ。
まるで高級ホテルの一室のようだ。
行ったことないが。
「御用の時はこちらの紐をお引き下さい。
極力呼ばないで下さい。
トイレやバスルームはあちらの扉の奥です。
面倒なんで極力部屋から出ないで下さい」
「面倒……分かった、ありがとう。
これからよろしく。
ところで名前……」
「ああ、それと」
握手を求め、手を差しだし名前を聞こうとしたら手を弾かれ、遮られた。
遮ったメイドさんは俺の目を見つめてはっきりと言った。
「敵と馴れ合う気は全くありませんので話しかけないで下さい」
そして、失礼しますと一礼して去って行った。
メイドさんの言葉を反復する。
「……敵、かぁ」
別に俺は魔王と敵対するつもりはないのだが、やはり勇者と言われている者は=魔王と戦う人になってしまうのだろう。
いつか、今日みたいに魔王と再び命をかけて戦う日が来るのだろうか。
そこまで考えて頭を振った。
いや、無理。
あのマッチョでムキムキでアームスト○ングな魔王に勝てる気はしない。
そうなったら直ぐ様敵前逃亡しよう。
…………逃げ切れるかなぁ。




