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 「おっと、話が脱線してしまったな!

 元に戻そう!!」

 「お、そうだな」


 しばらく腹痛談義に没頭してしまった。

 カップに入っていた紅茶もとっくに飲み干している。


 キルトに包まれたポットから紅茶をそれぞれのカップへ互いに注ぎ合い、一口飲んでから再び会話が始まった。


 つーか、話長いな。

 いや、今更か。


 「聖剣の詳しい性能はその時所持している勇者にしか分からないらしい!

 我が輩の予想では

 『敵の体調を悪くさせる』

 ではないかと思うぞ!!」

 「勇者にしか分からない、ねぇ………」


 先ほどから視界の右端に見えるアイコンが点滅している。

 十中八九これを見ればわかりそうだ。


 流石夢。

 何というご都合主義なのだろうか。


 「先ほど説明した『無知ならざる者』には聖剣の事も含まれている!

 これも本来なら知っていなければならない情報だ!!」

 「はぁ、そーかい」

 「ヤケに反応が薄いな!」

 「何か全てがどうでも良くなってきた」


 所詮夢、そう考えれば寛容な気持ちになれるってもんよ。


 「ふむ、随分話し込んだし疲れたか?!」

 「疲れたかっちゃあ疲れたが……」


 夢で疲労感を覚えるってのも可笑しな話だな。


 「では、客人を部屋に案内しよう!」

 「あれ?泊まっていいのか?」


 てっきり茶の一杯を飲んだら追い出されるかと思ったんだが。

 というか一杯どころじゃない数飲んだ気がする。


 「ハッハッハ!

 恩人にそんなことはせん!!

 気のままに好きなだけ滞在するといい!!!

 我が輩が許可しよう!!!!」

 「サンキューな」


 とりあえずの寝床ゲット!ってことかな?


 というかこの夢はいつになったら目が覚めるんだ?

 やたらと長い夢だ。

 現実での俺の体の状態が大変気になる。

 まぁ、寝たら目が覚めるだろう。


 そう思った途端眠気が襲ってくる。

 こぼれそうな欠伸を噛み殺していると、魔王がテーブルの上に置いてあったベルを鳴らした。


 「お呼びでしょうか、魔王様」

 「んむ、客人を部屋に案内してくれ!

 そうだ、客人、食事はどうする?!!」

 「んー、ありがたいがあんまりお腹空いてないし今回はパスするよ」

 「分かった、腹が減ったら遠慮なく使用人を呼ぶといい!」

 「ああ、分かった」


 とは言ったものの、なにぶん俺はチキンなんで自分が腹が減ったからと使用人を呼ぶのにはちょっと抵抗を感じる。

 多分呼ぶことは無いだろう。


 「その際はこのメイドに向かわせることにしよう!」


 前言撤回。

 可能な限り呼ぶようにしよう。


 呼んだら現れる夢のメイドさん!

 男のロマン、メイドさん!!

 メイドさんきゃっふー!!!


 そんなこんなで面には出さなかったがかなり浮かれていた俺は、


 「……今回のペテン国王、王位継承時もかなりきな臭い噂が多かったがよもや本当か…?!」


 という魔王の呟きを聞くことは無かった。



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