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その45
披露宴ののちも玲子家の団地で暮らすのはさすがに狭すぎたので、ぼくは〈三途の川〉の大部屋で一晩過ごしたり、なぜか京子が手配してくれた「流れ星観察会」の場で寝たりしていた。
大部屋や観察会では睡眠は思うように取れなかったけれど、寝袋のおかげで日中かなり眠ることができたので、実質問題にはならなかった。ちなみに寝袋も妹が調達してくれたのである。
ときどきタカシナさんやいずみちゃんにさそわれて、いずみちゃんのおじいちゃんちでのバーベキュー特訓に参加してはいた。しかしぼくはこのバーベキュー大会に出場するわけではなかったので、大江さんやいずみちゃんが模索しながらバーベキューをこしらえているのを、ただ見守っていたのだった。
大江さんといずみちゃんはバーベキュー関係のことで相当悩んでいたみたいで、その日その日の練習の終わりにはかならず悩み相談大会のような感じになっていたのだけれど、そんなふたりを残ったバーベキューをタッパーに詰めながら、かわいそうだなぁ、なんとかしてあげたいものだなぁと思いつつ漠然と見つめていると、突然ハッと姉のかおりのことを思いだして、それでぼくにはまだある種の自負心が許さないというところもあったが、自信喪失気味になっている大江さんたちのためだったので、とりあえず妹の京子に相談してみることにした。で、京子に中に入ってもらって、ぼくと姉はマミー戦争以来しばらくぶりに顔を合わせて話し合いをすることになったのだが、ぼくが誠意をこめて頼んだ大江さんたちへの鉄板の臨時講師の要請を姉は渋々了承してくれたので、その後のおじいちゃん邸の庭にはそんなわけで、姉もいかめしく立っていたのであった。
ちなみに肝心のバーベキューのほうはどうかというと、鉄板の〝きわ〟の技術が向上したことからバーベキューのレベルは飛躍的にアップすることになり、大江さんもいずみちゃんも日に日に明るさを取り戻したのである。
「だけど、かおりさんは本当に上手ですよね」
と大江さんは言った。
「それほどでもないですよ」
「いやいや、やっぱりぼくらとはあきらかに次元がちがいますよ。なあ、いずみ?」
「うん。かおりさんが鉄板でプレーしていると、おもわず見入っちゃって、時間が経つのをわすれちゃうもん」
大江さんが丁寧にお願いしたことから姉はその後正式にこのチームに入って本番の大会にも参加することになり、
「沢倉さん、当日食べるだけでいいから来」
「ありがとう。片付けくらい手伝うよ」
とぼくの役職もいちおう決まって、で、いよいよバーベキュー大会当日をむかえることとあいなった。




