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その28
白い割烹着を着た女の子は、これは〝おかもち〟といったか、アルミだかブリキだかの例の出前箱から、
「ええと、ラーメン二丁ですね」
とたのんだものを出し、それから、
「あとこれ、サービスです。よかったら食べてください」
と言って、お城のかたちをした、ちっちゃめの最中みたいなお菓子をブルーシートの上に置いた。
「一時半ごろ、またここに、ラーメンの器を取りに来ますね」
「わかりました」
女の子が去って行くと、ぼくたちは割り箸を手に取る。
「おいしいですね。クレハピさん」
「そうですか? よかった」
ぼくとクレハピさんはその程度の会話以外はほとんど何も言わずにどんぶりの底を終始にらみつけるようにしつつラーメンを食べ、そして最後にサービスでもらったお城のかたちをした最中も袋から取り出してもぐもぐやった。
「うん、おいしかった」
食べ終えると、ぼくは無意識にとっても自然な流れでブルーシートに横になり、そのうち満腹中枢が満たされたためか、あるいはひとつのことをやりとげた(?)あとにくる一種の安堵感からか、からだがじんわりしてきて、やがてうとうとしだした。
そのうとうとしているぼくの横ではクレハピさんが、
「クレハピ。いま、解き放たれます」
という感じでぼくとおなじようにブルーシートに仰向けに寝っ転がっていたけれど、おそらく六十ちかいクレハピさんは、さすがに十秒もすると、もうその所作を中止して、また起き上がることになっていた。
「やっぱりちょっと恥ずかしいのかな……」
その記憶を最後にぼくは夢の中の世界へ本格的に入ってしまった。




