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その18
夕方のなかよしおともだち第一グラウンドには、犬を飼っている人たちがぽつぽつあつまって交流していた。
イカンガー騒動後の夕方、ベンチにすわりながらそんな風景をぼんやり観ていると、ひさしぶりにひとみちゃんが公園にやってきて、
「こんにちは」
とぼくのとなりにチョコンとすわった。
「ああ! しばらくだね」
「うん。ちょっと足を捻挫しちゃってて、歩けなかったの」
「ひねっちゃったの?」
「うーんと……このあいだ試合でクロスプレーになったとき、キャッチャーにブロックされちゃって……」
ひとみちゃんは「なかよしおともだち女子ソフトボール団」というソフトボールのチームに入っているのだけれど、そのソフトボールの試合でどうも足を痛めてしまったらしい。
「ブロックか――キャッチャー、大きかったの?」
「うん。すごく大きい選手だったから、はじき飛ばされちゃった」
ひとみちゃんはおそらく身長は一五五センチくらいで体重も軽いと思う。
「判定は?」
「アウト。それで足も痛くなっちゃったから途中で交代しなくちゃならなくなって、連続試合出場の記録も途切れちゃったし、その日はホントにツイてない日だったの」
「ひとみちゃん、ポジション、センターだっけ?」
「そう、センター。ときどきサードを守るときもあるけど。今週の試合はバッティングはだいじょうぶだと思うけど、守備範囲の広いセンターを守るのはまだ無理かもしれないから、出るとしたらDHかな」
「無理しないほうがいいんじゃない?」
「うん。だけど、三番をまかされているから責任あるし……」
それから今度の試合はやっとロード(?)が終わって、ホームグラウンドのなかよしおともだち第三グラウンドにひさしぶりにもどるから、時間があったら沢倉さん観にきて、ということだったので、ぼくは、
「うん。時間があったら観に行くよ」
と言っておいたのだけれど、事実上、ご覧のとおり時間がないということはまずありえなかったので、ぼくはおそらく今週の日曜日は、ひとみちゃんの試合を観に行くことになるだろう。
しばらくそんなふうにお話ししていると、やがて、
「ひとみちゃんの足のリハビリも兼ねて散歩コースを歩いてみよう」
ということになんとなくなっていったのだが、のんびり歩いていると、先ほどお話ししたクレハピさんとまたしても、
「ああ」
という感じで会うことになって、
「ひとみちゃん。しばらくですねぇ」
と今度はひとみちゃんとクレハピさんとでお話しすることになった。
それでひとみちゃんはさっきのイカンガー関係のことをクレハピさんに教わって、
「わかりました。『イカンガーお爺さん』と命名されたんですね」
と了承していたのだけれど、ちょうど走ってきたイカンガーさんにさっそく、
「イカンガーさん、こんにちは!」
とひとみちゃんは早くも呼びかけることになっていたので、イカンガーの名付け親のぼくとしては、
「ヘイ、彼女!」
とその場から逃げ去るために全力疾走で色気のある婦人に声をかけに行って、どうにか難を逃れたのであった。
「お嬢さーん。ワンピースを着ていらっしゃる二十代前半くらいの色気のあるお姉さーん」
「ん? お姉さんて、わたしのこと?」
「は、はい」
「なんでしょう?」
「いや、あのう……」
「わたし二十代前半にみえる?」
「みえます」
「うそ♪ 顔に三十五、六くらいかなって書いてあるわよ」
「でも、色気があるっていうのは本当です」
「それも顔に書いてあるわね――それで?」
「あっ、あのう、ゲ、ゲーム機なんですけどね……さっきいじってたやつ、あれ、ぼくも同じもの持ってるんですよ」
「うそー。あれ、外国製のバッタもんよ」
「ちょっと待ってください――ほら!」
「ホントだ。やだー、すごーい」




