↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/50

16


      その16


 公園にもどっても、


「た、たた、た、たたたたたたたた、た、たた、た、たたたたぁ、ウォンチュ♪」


 まだまだ高揚したままだった。


 そんなわけで気持ちを落ち着かせるために、たまには展望台に登ってみることにしたのだが、最短コースで展望台に向かうと、いつもここで走っているお爺さんと案の定顔を合わすことになり、しかもお爺さんはかなり速いスピードだったので、こちらが展望台に向かうまでに何回もすれちがうこととなった。


 ちょっと色気がある三十五、六の婦人がベンチにすわっておそらくぼくがもっているのと同じポータブルゲーム機をいじっていたので、ぼくは展望台に登るのを中止して、斜向かいのベンチにとりあえず腰掛けたのだが、その後お爺さんはぼくがすわっている目の前を一度通過していったけれどもそれからはいつまで待ってもお爺さんは走ってこなくて、ぼくはお爺氏はこんなに遅いタイムで散歩コース一周を走るわけがないことや、この程度の距離でランニングを終了してしまうほど常識あるお爺ではないということを知っていたので、もしかしたら、お爺さんになにかアクシデントのようなことが起こったのではないかと、だんだん心配になってきた。


 というわけで、色気のある婦人がどこかへ行ってしまうのを、


「おれのゲーム機みせて、声かけてもよかったかな――」


 と握り拳をつくりつつ見届けたのちにベンチから立ち上がって、


「イカンガーさーん!」


 とお爺さんの名前を暫定的に呼びながらお爺氏が通常やってくる方向にともかく歩いていったのだけれど、散歩コースを半周してもお爺さんは見当たらなかったので不安感はさらに強くなり、だからいちおう、


「イカンガー、知んねぇ?」


 と暇そうにしていた白い老猫にもきいてみたのだった。


 老猫はこちらを一瞥するとすぐまた目を閉じていたが、尻尾は不自然な方向に向けていた。で、その方向を見ると、


「ウォンチュ♪」


 お爺さんは展望台の前のベンチあたりでクレハピさんとお話ししていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。