戸籍に余計な情報が多すぎる
「細かすぎるわ!!」
思わず、戸籍ファイルをぶん投げそうになった。
ローラが渡してきた分厚いファイルのページをめくると、真っ黒だった。
いや違った。
目を凝らさないと読めない非常に小さい字がビッシリ書かれていた。
1文字のサイズが1ミリもない。超小さい文字だ。
「中〇人か! 細かすぎるわ」
「国民全員を1冊に入れようとしたら、そのサイズになったのですわぁ~」
「1冊にしなくていいから」
「注文が多いですわぁ~」
注文って……。
とはいえ、この短時間に、これは助かる。
「とはいえ、仕事速いなおまえ」
「まとめさせられたの、わいやけどな」
とナニワ機甲師団長。
「ところで、あちこちに恩賞支払うことって書いてるけど」
「この前の戦争で死者が出た家族に対する恩賞です」
「そうなの? そんなに死んだっけ?」
ドドソソ・ララソ……恩賞支払うことって書いてある。
「違うの混じってるじゃん。あいつ家族いないとか言ってたじゃん!」
ドドソソ・ララソ。
領地を返上して、今はうちで居候している元領主だ。
「あ、あれぇ、おかしいなぁ」
旧ララソ領の代官がキョロキョロして落ち着きがない。
「はぁ……。まったく」
代官が認めてもらったと思って、ホッとしたようだ。
「やりなおし!」
「えぇ~」
「えぇ~じゃありません。真面目に頼むよ」
「次は普通の文字の大きさでお願い」
「小さくてもええやん」
「小さすぎるんだって……」
「それと……」
「はい」
「戸籍には不要な情報まで書かないで下さい」
「例えば?」
「エリナ・レイ・クフィール 8歳、誕生日xx年……。
まではいい。
ファン数78人。ここです。ファンの数とか書かなくていい」
ふと、別の欄が目に入った。
ローラ・タルテ 年齢不詳……ファン数5627人。
「は? そんなにいるの?」
思わず声が出た。
「ほら、王様もそういうの知りたがってるのでは?」
「違います!」
「あと……この情報とかも……」
「どれですか?」
「ユリンさん。78歳。ドドソソ・ララソさんに惚れている」
「戸籍に必要ない情報だから……」
代官が頭をかきながら言う。
「いや、ユリンさんからの自己申告で絶対書くようにと……」
「そういうの要りません」
「そういえば、元領都。どうするんですか?」
「ほとんど、誰もいなくなってしまいましたよ」
「えっ?」
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