ベスティア王、行方不明
「助けて……!!」
思わずそう叫ぶも、ローラもミカン(魔王)も何かおかしな人でも見るような感じだった。
冷ややかに見守っていた。
え? おかしいの俺だけなの?
「ただの生体スキャンじゃ」
ミカンにそう言われた。
「指紋認証だけじゃないの?」
「それだけだと危ないじゃろ」
そうかもしれないけど……
「毎回、これなの?」
「本人識別に必要だからじゃ」
毎回らしい。嫌だなぁ……
「2回目以降は、見えないレーザーになりますわぁ~」
それは、それでどうなの?
このレーザーって、安全なの?
「人では試験してないけど、大丈夫じゃろ。たぶん……」
それは、安全と言わない気がするんだが?
こうして、いろいろビビりまくっている間に起動画面に変わった。
これには、心を読めるアプリとかは入っておらず、至極普通のスマホだった。ベスティア銀行アプリも入っていた。
「おぉ。これを使うのか……」
代官たちや幼馴染にとっては、はじめてのスマホだ。
エムワンは、その彼らにバックライトもない白黒画面の機種を勧めていた。
電池が1か月以上持つらしい。
持ちすぎだろ。
でも、代官館には、まだ電気が通ってない。
ここに来るたびに充電するだけなので、丁度いいかもな。
ちなみに、代官たちの機種は、変なレーザー出てなかった。
俺の選択した機種だけだったらしい。
「セキュリティが高くていいと思いますわぁ~」
相変わらず、心を読んでツッコミを入れてくる。
あれ? ところで、電波届くの?
一応3本立ってるみたいだけど。
「この大陸中なら、届きますわぁ~」
大陸?
この国なら、どこでも使えるってことか。
それよりもスマホだ。
エムワンの説明は驚くほど丁寧だった。
代官たちもすぐに使い方を覚えていく。
人じゃないけど、教えるのは上手い。
こうして、俺たちは、この世界に来てからはじめての銀行口座を持った。
「電話番号ってどこで見るの?」
俺はエムワンに聞きながら、
代官たちの電話番号を登録した。
これで、いつでも連絡できるな……。
試しに、代官のひとりに電話してみたら、
服の中で何かが暴れ出したとパニックになっていた。
初バイブ体験だったらしい。
これは、訓練が必要だな。
俺は代官たちを集めて、電話のかけあいを何度も繰り返した。
これで、電話連絡は、大丈夫そうだ。
スマホをいじると、マオ―ネットと呼ばれるものがあるらしい。
ベスティア王国だけで使われているものだが、なかなかの情報量に感激だ。
特にベスティア王国ニュースが最高だ。
魔物の出没情報と、同列でクフィール王国軍の出没情報が地図付きで書かれている。
何日、何時ごろ、危険度や確認情報などが記録されている。
予想される危ない地点など。
ベスティア王行方不明という記事には笑った。ここにいるんだが……。
ベスティア王国軍の制服に「アスヴァル王国産のウサギの毛皮」が採用されたとか。かねてより現場からの要望が強かったらしい。
ベスティア王国領(魔王領)は寒い地域なのかな?
そんな風にくつろいでいると……
電話がかかってきた。
目の前にいる代官からだ。
「大変です。また、クフィール王国軍が攻めてきたそうです」
いや、ふつうに声届くよ。
「攻めてきただぁ?」
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