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ウソつき王様の引退計画(「ウソつき賢者の領地再建」続編):更新休止中  作者: 秋月心文


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引退したいだけなのに

「まさか、こんなことになるなんて……」

 王様代理の募集で、引退計画も一歩進むことを期待していたのだが、また問題が発生してしまった。


 俺は先日、クフィール王国を消滅させた。

 このとき国を更地に変えた。

 そこにあった食料も全部消えたらしい。


 今日の食事にも困った住人が難民として国境添いに押し寄せてきている。

 完全に無政府にしたため、治安も酷いようだ。

 我が国に入れて欲しいという人が殺到している。


 まずはこの問題を解決しなくてはいけなくなった。

 まぁ、その原因、俺だしな。


「無政府地帯を我が国に併合しましょう」

 代官がそんな提案をしてくる。


 無政府地帯?

 《フェイク》の力で国を消滅させたので、全ての人の記憶からクフィール王国が消えたので、そんな呼び方になっているらしい。


 まぁ、食べ物に困っている人を見過ごすのも悪いしな。

 それしかないだろう。


「その方が、王様も引退する余裕なくなるしな……」

 代官のひとりがボソッとひとりごとを言った。

 いや、心の声が聞こえただけかもしれない。


「そうですね。我が国に併合するしかないと思います」

 他の代官たちも一斉に、その案に賛同してきた。

 こいつら……。

 チラリと見ると


「「はははは……」」

 と笑ってごまかしていた。


「無政府地帯をまるごとリベル王国にする」

 と言った途端、何かが発動してしまった。

 澄んだ不思議な音が脳内に響いた。

 空気が一瞬入れ替わる感覚がした。


 あぁぁ……「ウソ」が発動しちゃった。

 《フェイク》の力で決まったことになっちゃった。


「ローラ、エリナ」

 2人を呼ぶ。

 エリナは、元々俺の近くにいるが、ローラは呼べば来てくれる……こともある。ネコみたいに気まぐれだが……。


「おもしろそうなので、きましたわぁ~」

「なに?」


「無政府地帯をリベル王国に編入することにした」

「脳内教育するの?」

「あぁ」

「うん、いいと思うけど。値段次第」

 ローラが見積もりを提示し、エリナが了承した。


 あれ?

 俺の最終判断は不要?

 まぁ、いいけど。


「今まで、そこが邪魔していたので、

 ベスティア王国とは海からの物流しか出来なかった。

 それが、陸路でも物流が可能になったので……」


「皆まで言うなですわぁ~。開発ですわぁ~。

 ベスティアまで、道路と鉄道と運河を繋げますわぁ~」

「うん、いいと思うけど。値段次第」

「チッ」

 ローラが舌打ちしたあと見積もりを提示し、エリナが了承した。


「それと……」

「無政府地帯でも食料を生産したり特産品を作ったりしたい」

「わかりましたわぁ~」

「うん、いいと思うけど。値段次第」

「ケッ」

 とローラがつぶやいたあと、見積もりを提示した。

 またエリナが了承した。

 予算に収まるようだ。


 こうして旧クフィール王国領の再開発が始まった。


 彼らを飢えさせないように……

 念願だった陸路での物流を確立するために……


 そう、すべては、俺のカレーやラーメンのために……

 もっと手軽に手に入るように……


 前回、旧ダウト王国領で同じことをした時には、いい感じに民の生活が機能していた。

 今度も任せて大丈夫だろう。


 あ、井戸については、脳内教育で最初に教えておいてもらおう。落とし穴やトイレと誤解されると困るしな。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「旦那様。何人か弾かれましたわぁ~」


 ほぼ洗脳もどきの脳内教育を受け付けない人がいたようだ。

 ローラがリストアップしてくれている。


 どれどれ……


 ファリス・ロドス・レッド

 ファリス・ロドス・グリーン

 ファリス・ロドス・イエロー

 ファリス・ロドス・ブルー

 ファリス・ロドス・ピンク


 勇者の名前だ。


 それはいいけど、どんだけおんねん。

 ……戦隊ものでも作るつもりだったのか?

 最後のピンクって何なん。

 男の子だよね?


 他には……

 クフィール王国の王族、ラシド教の大司教……

 なるほど。ヤバそうな人たちばっかりじゃん。

 脳内教育も効かないんじゃ、受け入れたくないなぁ。


「この人たちだけ、別の島に隔離しよう」

 と言った途端、何かが発動してしまった。

 澄んだ不思議な音が脳内に響いた。

 空気が一瞬入れ替わる感覚がした。


 また「ウソ」が発動しちゃった。

 こうして、彼らは島送りとなった。

 遠くの海に新しくできた無人島に送られたらしい。

 いや、そう感じるんだわ。

 見てないけど。


 こうして、リベル王国は領土を拡大し、ベスティア王国とも陸地で繋がり、鉄道、道路、運河も接続された。


 旧クフィール王国領は、ほとんど平地だったこともあり、一大穀倉地帯に変貌した。

 リベル王国領となったことで、彼らの領地でも「灰」が使えるようになり、種を撒いた日に収穫できるようになった。


 これで飢える人たちもいなくなるだろう。


 勇者、王族、大司教?

 きっと島でも図太く生きているに違いない。


 それは、もう忘れることにした。

 もう会うこともないだろう。


 大丈夫……だよな?


 国土が広がったことで、例の王様代理の応募は、旧クフィール王国領からも受け付けることにした。


 いい人材が集まるといいな。

 人災が来るのは勘弁して欲しいが……。

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 次回

『王様代理より、大事なこと』

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