計画的犯行
「何度も言うが、俺は引退を考えている」
「「それは、お待ちください」」
「わかってるよ。引退は、いろいろな問題が片付いてからだ」
それに、後継者も決めないといけないしな。
やっと国に戻った。
代官や関係者を集めて、俺の意思を伝える。
そのうえで、現状を確認した。
いくつの問題が発生しているらしい。
高純度な新鉱石が採掘されたことで、歳入は増加。
一方で、歳出は増加。
旧ダウト王国領などを買ったことが大きい。
国境沿いで、クフィール王国とのこぜりあいが何度も発生。
ベスティア王国からの輸入も増加している。
本来なら為替レートの問題が発生するところだが、同じ通貨にしているので問題はない。
あと、ベスティアから条約締結の依頼が来ているらしい。
「どれ?」
「これです」
サクサクッとサインする。
ミカンのことだ。
変な条約は寄こさないだろう。
何かが、ふっと変わった気がした。
「よ、よかったのですか?」
「何が?」
「い、いえ……」
次に、新たに加わった領土と国について確認する。
旧ダウト王国領は、おおむね問題なく機能している。
主な特産品はないが、今のところ大きな問題はないらしい。
エイジア皇国は遠いうえに領土も広い。
様々な問題が発生しているようだ。
「クジラ型潜水艦の書類転送システムをエイジアにも繋げて欲しいとのこと」
「あぁ。その潜水艦だけど、リヴァイアサンと名付けたので、以降、そう呼んでくれ」
「わかりました」
「それと、エイジアにもリベル王国のような有線通信網を敷設してほしいそうです」
「有線通信網?」
「スマホはすでに使えるそうですが、有線がないので、ゲームをするときに遅延して不利だとか……」
「ちょっと待て。皇帝のゲームのために通信網を敷設するのか?」
ないわ。ないだろう。
「お金はエイジアで出すそうです」
「……それなら、いいかな」
いや、いいのか?
エイジアという広い国に通信網を敷くんだぞ。
いくらかかるんだ?
ってゆうか、皇帝は何のゲームに夢中になったの?
国のお金で「課金」したりしてないよね?
大丈夫だよね?
そもそもスマホが使えるなら、それでいい気もするんだけど。
そんなことを考えていると、次の報告が始まった。
「次に、ベスティア王国ですが……」
「ちょっと待てぇ。どゆこと?」
「えぇ、ですから、エイジア皇国同様に、新たにリベル王国傘下になったベスティア王国ですが……」
「だから、どゆこと?」
「サインされていましたよ」
「え?」
あれか?
「ローラに、見ないでサインさせられた書類のどれかか?」
「いえ。先ほどサインされたヤツです」
でも、さっきサインしたばかりだ。
だから……
「まだ訂正できるよな?」
「いえ、魔法契約なので、サイン後即発動です」
「先に言ってくれ。マジかぁ~」
「これで、王は、連合国家の盟主となられました」
「いやはや、簡単に引退できそうにないですなぁ」
「「「はははは……」」」
くっ。
こいつら……。
計画的だな。
さらに問題がある。
ベスティア王国は、クフィール王国と戦争中だ。
ベスティアを傘下に収めたということは、当然、俺たちも戦争中ということになる。
もっとも、ベスティアの話抜きでも、俺が王になったころから、クフィール王国とこぜりあいは続いている。
結局のところ、変わらないといことか?
……いや、変わった。
ベスティアが加わったことで、戦争の規模が大きくなる可能性はある。
面倒なこと、この上ない。
俺は引退したいだけなのに。
どうしてこうなった?
……引退するためには、まずクフィールとの和平が必要か?
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次回
『王様、単独で敵国へ』
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