↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウソつき王様の引退計画(「ウソつき賢者の領地再建」続編)毎日12時更新  作者: 秋月心文


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/32

笑ってはいけない

「なんてこった。ちゃんと本を読んでおけばよかった」

 俺は今、牢屋に入れられている。

 ライナが俺を解放するために動いているらしい。

 それまでの間、我慢だ。


 便器とベッドが一体化していて、布団も毛布もない。

 なんか、嫌だな。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 食事は、なんとかのどに詰まらせずに済んだ。

 変な食事のルールを無事にこなして、ホッとしたせいで気が緩んでいたのは否定しない。


 この国についての説明本は、

 なんかヤバい世界に引きずりこまれそうな内容だったので、

 ほとんど読まなかった。


 そんな俺に呆れたライナから、重要な部分だけ聞かされていた。


 食事のあとに、何かあるって言ってたな。

 確か……

「全員が食事を終えると、神に挨拶する儀式があるわ。

 最初に神官が言うので、同じフレーズを繰り返してね」

 ……という感じだったか。


 同じ言葉を繰り返すだけ。

 楽勝じゃないか。


「さぁ、皆さん、神に感謝の祈りを捧げましょう」

 そう言って、両手を天に掲げて大声で言った。

「それな!」

 ちょ……。何それ!


 皆も続いて言う。

「「「「「それな!」」」」」


 やばい、ツボに入ってしまった。

 笑いがこらえきれん。

 なんだよ「それな」って。


 この国の人にとって、「それな」は神への祈りの言葉だ。

 でも、俺は転生者。

 日本で祈りの言葉に「それな」なんて使うわけがない。

 ギャップすごすぎ……耐えられるわけがない。


 ガマンした。ガマンしたんだけど。

 ひとたびツボに入ったものをこらえるのは無理だ。


「うわははははは……」

 声に出して笑ってしまった。

 周囲の目が一斉にジロリと降り注ぐ。

 やばい。やっちまった。


 ここでは、神聖な儀式を笑ったりすると、重罪になる。

 本来なら、即刻尻叩き100回とかになるのだが、

 こうして笑った者は初めてなので、

 それでは済ますなという声が多いらしい。


 なので、刑の執行は一旦保留にされ、対応が協議されている。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「出たまえ」


 俺の刑が決まったらしい。

 手かせを引っ張られ、そのままついて歩いていく。


 途中、血の付いたギロチンとか、

 やばそうな道具があるのを目にしたが、

 スルーしていった。


 やがて、広場に出た。人がいっぱい集まっていた。

 罵声を浴びながら進む。


 十字架がある台の上に上がっていく。

 火あぶりとかにされるんだろうか。


 俺のスキルで「殺されない」と「ウソ」をついてるが、

 キズはつくんだよな。

 黒焦げになって生きてるってのは困るな。

 でも、そこはライナたちがなんとかしてくれるだろう。


 十字架に貼りつけられる。

 なにか「ウソ」をついて回避するべきか?

 いや、まずは、ライナたちを信じよう。

 幸い、口はふさがれなかった。

 いつでも「ウソ」の力で逃げられる。


「それでは、刑を執り行う」


 俺の周りに屈強な男たちが集まってくる。


「はじめ!」

 男たちは、俺をくすぐりはじめた。


 な、何これ。

 俺、そういうの弱いんだけど……。


「うはははは……」


 後で聞かされたのだが、「百笑いの刑」と呼ぶらしい。

 くすぐられて笑っているところに、

 生卵を100個ぶつけられるというものらしい。


 この国の宗教はよくわからん。


 生卵は最初こそ痛かったが、最後の方は笑いすぎて、それどころじゃなくなっていた。


 どれくらい経ったのか、もうわからない。

 男たちが離れていく。


 やっと刑を終えたらしい。


 くすぐられすぎて、変なスイッチが入った気がする。

 なんというか……「くすぐられるのに弱くなった」みたいな。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 刑を終えて回収に来たライナが、おもしろがって俺をつついた。


「あなた、ここが弱いのね」

「うは、うははは……」


 エリナも俺をつついた。


「ここも、弱かった」

「ちょ、やめ、うはははは……」


 刑は終わったはずなのに「百笑いの刑」は、まだまだ続くらしい。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 こうして、俺たちはルシャマ聖国での外交を終えた。

 俺の中では「お笑い聖国」という印象になった。

 もう二度と行きたくないかな。


 次は、エイジア皇国の皆さまを送るとしますか。

--------------------------------------------

 次回

『異文化交流は、トイレから』

--------------------------------------------

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも楽しんでいただけましたら、

 ★や【ブックマーク】で応援していただけると、

 今後の創作活動の励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。