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ウソつき王様の引退計画(「ウソつき賢者の領地再建」続編)毎日12時更新  作者: 秋月心文


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最初の標的は――アーク・リベル

「勇者を量産する」

 クフィール王国のラシド教団本部で、

 大司祭が、とんでもないことを言い出した。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 クフィール王国(主にラシド教団)は、

 ベスティア王国(通称、魔王領)の殲滅を望んでいる。

 もう数百年ものあいだ侵攻を続けてきた。


 彼らの武器は神術。

 自分と敵の魂を燃料にして、

 魔法のような現象を起こす技だ。


 当然、魂を使いきれば寿命が尽きる。


 その神術を使いこなす最高戦力が「勇者」だった。

 生まれながらに魔王を討つ力を持つ存在だ。

 決して人格者に宿る称号ではない。


 教団は、魔王を討つ力があれば、

 人格に多少問題があろうとも、

 人々は勇者を英雄として受け入れると思っていた。


 そうして作られたのが、勇者ファリス・ロドス。


 教団はファリス・ロドスを新たな「勇者」として祭り上げた。

 だが、その名が広まるほど、人々の心は離れていった。


 それほどまでに、

 ファリス・ロドスは極悪領主として知られていた。

 過酷な税。

 民を虫けらのように扱う態度。

 役に立たないと判断した者を、容赦なく処刑する冷酷さ。


 そんな者を、誰が人類の救いだと信じるというのか。


 さらに、アーク・リベルが残した「この世界にはラシド教の信者はいない」という「ウソ」。

 今やラシド教を信じる者は、ほとんど残っていない。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 教団が勇者を見つけた時、その姿は本来のものではなかった。

 《フェイク》によって、勇者ファリスの魂は別の肉体に宿っていたのだ。


 瀕死となった勇者に《撒き戻し》の儀式が施され、魂を基準に肉体を作りなおした結果、本来の姿を取り戻した。


 教団は混乱した。

 それでも勇者は必要だった。


 だから教団は、勇者の量産に踏み切った。


 同じ姿の勇者ばかりでは、見分けがつかない。

 加えて、極悪領主ファリスとの差別化も必要だった。

 そこで教団は、髪色だけを変えることにした。


 赤ファリス

 青ファリス

 緑ファリス

 紫ファリス

……など


 だけど、彼らは知らなかった。

 ファリス・ロドスが、自分以外を虫けらとしか思っていないことを。

 そんな人間が、他人と連携できるはずもないことを。

 勇者は増やせても、連携までは量産できないことを。


 それでも、教団は勝利を確信していた。

 今度は複数の勇者を同時投入する。

 負けるはずがない。


 教団は本来、

 先に魔王(ベスティア王)を倒すつもりだった。

 だが魔王は姿を消していた。


 そして勇者には、譲れない執念があった。

 「まずは、あいつだ」


 最初の標的は――

 アーク・リベル。

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