海賊は合法です
「何だ、何が起こった?」
「この船、揺れないんじゃなかったの? すごい揺れてるよ」
「とにかく艦橋にいってみよう」
ルシャマ聖国にゆっくり向かっている途中で、リヴァイアサン(クジラ型潜水艦)は大タコに捕まったらしい。
喰えると思ったんだろうか?
ヤツがどんなに締め付けても壊れない。
しかし、これから逃げなくては。
最大船速でいってみようか。
俺は速度を操作する。
時速5400kmなら、ついてこれまい。
船に表示されていた説明によると、速度を上げると船のまわりに何らかの層が形成されて「この世界」から切り離されるらしい。
そのため、あっさりタコは離れたのだが……。
目的地を大幅に通り過ぎてしまった。
そりゃそうか。
近くに島があるようだ。
どこの国の島かわからない。
国旗はないか?
いや黒い旗が立っている。
ドクロのデザインの黒い旗が……。
海賊の本拠地みたいな場所なんだろうか?
「どうする?」
「せっかくだから財宝をまき上げちゃいましょうよ。
きっとすごい溜め込んでるんじゃないかな」
ライナが顔をキラキラと輝かせて物騒な提案をしてくる。
「無限ミサイルで一方的に殲滅したらいいのじゃ」
ミカンがさらに物騒な提案をしてくる。
リヴァイアサンを作る時にミカンが追記した武器を使ってみたいらしい。
「全員、洗脳……んん。
再教育したら、戦力になると思いますわぁ~」
ローラは海賊ごとリサイクルすることを提案してくる。
ローラにとっては人もゴミ同然か……。
「危なそうなものには近寄らない方がいいんじゃない」
エリナは慎重だ。
エリナだけが至極まともなことを言っている。
どうする?
▶コマンド
ごうだつする
せんめつする
リサイクル
にげる
お宝は魅力だけど、元は誰かのお宝なのだろう。
持っているだけでツッコミを受けそうだ。
俺たちが奪ったと思われるのは心外だ。
殲滅は、やりすぎだ。
悪人だろうけど、殺すことには抵抗がある。
それに、誰か捕まってる人もいるかもしれない。
リサイクルは、戦力というより彼らの知識が役立つ気がする。
俺たちはこの世界を知らなすぎる。
「リサイクルしたいと思う。しかし、その前に……見積もりをくれ」
「チッ。わかりましたわぁ~」
見積書
海賊脳内教育費
500億ガルド
「あと、再教育前に彼らの素性を探れないか?
例の心が読めるタブレットで……」
「わかりましたわぁ~」
「その前に、見積書ちょうだい」
「チッ……」
エリナのツッコミにローラが舌打ちした。
「偵察虫~!」
ローラがドヤ顔で、何かアイテムを取り出した。
しかも、アイテムを出す効果音まで付けている。
その音、どっから出した?
ビンの中には、小さな虫のようなものがいっぱい入っている。
「これで写真を撮ってきてもらいますわぁ~」
見積書
偵察&心暴露費
5000億ガルド
「偵察の方が再教育より高くない?」
「気のせいですわぁ~」
「はい、訂正してね」
エリナが突っ返す。
「チッ。わかりましたわぁ~」
見積書
偵察&心暴露費
5億ガルド
どんだけ、ふっかけとったんだ?
エリナの決裁が得られたので、作戦を決行することにした。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
こうして、ローラの偵察ミッションが開始された。
虫を放って1時間ほどすると、タブレットに少しずつ顔写真が登録されていく。
登録された人の考えは、つぶやきとして表示されていく。
まるでSNSのように。
これで、ヤツらの正体がだんだんわかってきた。
『ソレナ海賊団』
ルシャマ聖国の聖帝ミーナ・ルシャマから私掠免状を与えられ、
ルシャマ聖国以外の船に対して合法的に海賊行為を行っている。
本拠地:ソレナ島
団長:ソウソウ・ソレナ
副長:サァーラ・イーデ
「ルシャマ聖国って、海賊も容認してるのか」
「昔のイギリスもそうだったよ」
エリナが補足する。
「イギリス?」
ライナには通じてないが、とりあえずスルーだ。
――さて、この海賊。どうしたものか――
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次回
『海賊、再利用します』
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