無駄遣いの後始末
「オプション・サービスですわぁ~。オプション・サービスですわぁ~」
「はい? いや、2回も言わなくていいから」
「だいじなことなので、2回言いましたわぁ~」
俺は――いや、俺たちはローラからオプション・サービスの勧誘を受けている。
渡された紙には、ちょっと食指が動きそうなことが書かれている。
確かに、全部あるといいんだよなぁ……。
旧ダウト王国再建プラン オプション一覧
代官候補自動選抜 2000万ガルド/人
貴族、王族自動解体 1000万ガルド/人
旧ダウト領地下鉄整備 1兆ガルド
旧ダウト領運河整備 5000億ガルド
旧ダウト領道路整備 1000億ガルド
国立病院設置※1 2兆ガルド
裏金で博物館 ※2 1000億ガルド
裏金で美術館 ※2 1000億ガルド
裏金で遊園地開発 ※3 2兆ガルド
裏金で野球場建設 ※3 3000億ガルド
※1:旧ダウト城を更地にして建設
※2:旧ダウト領貴族邸利用
※3:旧ダウト領貴族邸を更地にして建設
最後の方は、容赦ないな。
いや、そういうの実に好きなノリだけど。
「どうしようか?」
俺はエリナに判断を仰ぐ。
お金に関わることは、エリナの方が頼りになるのだ。
「裏金シリーズは、旧王族、貴族、代官から巻き上げたお金や美術品だけを使ってやって。こっちからの持ち出しはゼロ」
「チッ……」
まぁ、実際、裏金溜めてるよな。あいつら。
「地下鉄、運河、道路はお願いしたい。
ダウト王城を潰して国立病院にするのはいいと思う」
「承知しましたわぁ~」
ローラは、うきうきしている。
お金好きなんだろうか。
「代官5人と、貴族・王族の解体。全部込み込みで3兆ガルドでなんとかできない?」
お、いいね。それはナイスアイデア。
何人いるかわかんないもんね。
「承知しましたわぁ~」
余裕そうな回答だ。
もっと値切れたのかもしれないが、余計な口出しはしないでおこう。
「これ、いつから始めて、いつぐらいに終わるの?」
「国に戻ってから7日あればできますわぁ~」
「次の寄港地は10日後だっけ?」
「それじゃ、一旦国に帰って、それを見届けてから向かおうか」
「ちょ、ちょっと待って」
ライナが両手を広げて言う。
「それで、間に合うの?」
「帆船で移動した場合の日程になってるけど、この船、めっちゃ速いんだよ。
本気で走れば帆船の50倍は速いと思う」
「へぇ……。それ、中で今みたいにくつろげる速度なの?」
ライナが食いついた。
「そこは大丈夫なのじゃ」
突然、ミカンが現れた。
「妾が書き足しておいたからのぅ」
「へぇ、何て?」
「最高時速で航行しても、中で加速を感じない」
マジか? それはすごいな。
「それどころか、最高速度もいじっておいたのじゃ」
え?
「最高時速5400kmじゃ。
環境に影響を与えないとも書き加えてるから大丈夫じゃろ」
「常識超えてるじゃん。どんな船だよ」
影響を与えないと書いてあるなら、全力航行しても生態系に異常を与える心配はしなくていいのかな。
とんでもない船になっていたが、それは一旦置いておこう。
「とにかく、日程の心配はいらないみたいなので、一旦国に戻るからね」
「え?」
ライナがきょとんとしている。
そう言えば、旧ダウト王国を買っちゃった話をライナにはしてなかったっけ。
「つい、うっかり、旧ダウト王国の国土と領民、貴族、王族をまるっと買ってしまったのだよ」
「何やってんの!」
「言ってやって、無駄遣いしたアークが悪い」
「アークが、人身売買に手を出すなんて」
そっちかよ……。
「いや、領土だけもらったら、そこに住んでた人困るでしょ」
「まぁ、そうね」
「でも、正直なところ、王族、貴族はいらなかったんじゃない」
まぁ、そうなんだけど。
「自分たちは平民だと、ローラが再教育してくれるので」
「洗脳じゃん」
そうなんだけど。
「聞こえが悪いから、再教育と呼んでおくれ」
「アークも、悪い大人になってきたわねぇ」
「とにかく、後始末のために国に戻ります」
「せっかくだから、最高速で帰ってみない?」
「あ、こら……。ライナ」
最高速度で航行したのに、何の振動も加速度も感じない。
ホントに、最高速度?
……もう着いちゃった。
いろいろ問題起きてそうだけど、大丈夫なのか?
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次回
『平和な街に落とし穴』
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