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ウソつき王様の引退計画(「ウソつき賢者の領地再建」続編)毎日12時更新  作者: 秋月心文


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大火事って意味だったかな

「実は……」

 慌ててやってきた者が、フメユルウ外交官に耳打ちする。

「なんだと?」

 フメユルウ外交官は、小声でその者に何かを伝えた。

 その者の身なりはボロボロだった。

 煤けているのかと思うほど真っ黒だ。

 夜通し馬を走らせてきたのかな?

 その者は、その場を後にした。


 非常に話しにくい状況だが、次の寄港地に向かうため、

 ここを離れる挨拶をしなくてはならない。


「外交官殿!」

 俺は、フメユルウ外交官に声をかけた。


「おお、陛下。そろそろ出発されるのですかな。

 ブレイズ港は、首都に近いので、王族の者が対応予定です。

 私は、陛下が到着するまでに、戻れそうにありません」


「なるほど。あい、わかった」

 昨日は、忘れて、つい普通に話していたけど、

 王様としては、

 このくらい偉そうな感じで話すのがいいんだったかな。


「ところで、先ほど何か問題があったようだが、

 何かお手伝いできそうなことはありますかな?」


「い、いえ。大した問題では、ありませんよ。

 また、新しく救助されたとの報告を受けていただけです」

 視線をそらし、少し落ち着きがない。

 なるほど、ウソなのだな。

 前世でウソつきだった俺から見れば、

 ウソをついているのかどうかは一目瞭然だ。

 だけど、ここは気づかぬフリをしておこう。

 大人の対応ってヤツだ。


「ふむ。では、我々はこれにて。

 見送りは不要だ。救助や復興を優先してくれ」

「お気づかい、ありがとうございます」


 俺たちは、こうしてハリケーン港を後にした。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 リヴァイアサン(クジラ型潜水艦)に戻ると、

 すぐに執務室ドアに追いかけられた。

 仕事が大量に貯まっていたらしい。


 大嵐被害と対策について

 クフィール王国との国境沿いで、大嵐による被害が発生しているという。

「大嵐?」

 何のことだ?

 報告書を読み続ける。


 原因はハリケーン・ネズミによるもの。

 このネズミは、見た目がふつうのネズミと一緒。

 見た目で区別できない。

 死にそうになると、嵐を巻き起こす習性がある。

 集団で死にそうになると、大きな嵐を巻き起こす。


「なんだそりゃ? 異世界あるあるなのか?」


 クフィール王国から、リベル王国に向けて、

 多数の飛行船にて、運ばれている。


「うちの領内に入った途端、その飛行船は消えることになってるから、大丈夫だろ」

 俺は、ドヤ顔で報告書を読み続ける。


 彼らは、あえて国境前で停止し、自爆する行為を繰り返している。


「は?」


 ハリケーン・ネズミと、ふつうのネズミの区別は、

 彼らにもできていないらしく、大嵐が発生する場合もあるが、

 何も発生しないケースも確認されている。


「あれ? あのハリケーン港で起きてた、

 大嵐の被害ってローラのせいじゃなかったの?」


「失礼しちゃいますわぁ~。

 わたくしが、そんなヘマする訳ありませんわぁ~」


「クフィール王国も、いろんな嫌がらせをしてきてるみたいだな」


 こうして国境沿いで絶えず大嵐が発生し、それが領内までやってきている。


「マジか? でも、川の氾濫も、山崩れも起きないって『ウソ』ついてるから大丈夫だよな?」


 川の氾濫も、山崩れもないが、床上浸水が多数発生するなどの被害が発生している。

 ダンジョンにも浸水の被害が発生し、ダンジョン内の魔物の死亡が確認されている。


「ダンジョン、地下だったもんな」


 新地区(西側の山を更地にしてローラが再開発したエリア)は、不思議と排水が行き届いているため被害はない。


「すげぇな、ローラ」


「あたりまえですわぁ~」

 ドヤ顔のローラを放置したまま、俺は報告書を読み続ける。


 最近はハッカ・イタチによる被害も発生している。


「ミントみたいに涼しそうな名前のイタチだな」


 このイタチは、見た目が赤いのでふつうのイタチと一目瞭然。

 死にそうになると、発火して周囲を燃やす習性がある。


「ハッカって、発火の方かよ」


 ネズミに代わりクフィール王国から、リベル王国に向けて、

 多数の飛行船にて、運ばれている。

 これも、あえて国境前で停止し、自爆する行為を繰り返している。

 これによりクフィール王国側で山火事が発生している。


「対岸の火事ってヤツだな」


 国境沿いには、異常に高い塀があるが、

 それより高い木があるのと、火の粉が飛んでくるため、

 リベル王国内の木にも燃え移り、国境沿いで山火事が発生している。


「おいおい、やばいじゃないか」


 国境沿いの木を切り倒すことで対処。

 せっかくなので、薪にしてロドスの灰を生産するために使用。


「対処済みか。ならば問題ないな。

 俺がいなくても、ちゃんと機能してるじゃないか」


 他には? どれどれ?


 クフィール王国の飛行船が、以前より遠回りで海上を飛行。


「ん?」


 レールガンの射程内だが、

 ダウト王国も消失し特に脅威はないと思われるので放置中。


「うん。まぁ、それでいいかな」

 それでアスヴァル王国に飛行船が出現してたのかな?

「どうするかは、アスヴァル王国から頼まれてからでいいかな」


 とひとりごとを言いながら、いくつかの決裁案件にOKを出した。


 なんか面倒な案件があったような気がする。

 なんだっけ。土地を買わないかって案件だっけ?

 エリナが、この前稼いでくれたお金があるので、

 余裕で払える金額だったし、大丈夫だろ。



 あ。

 スマホのベスティア王国ニュースを見るのを忘れてた。


 異常気象! 神術の使い過ぎが原因か!?


 え? 神術って使いすぎると、異常気象になるの?

 報告書にも、最近、リベル王国内でも気温が高すぎて、

 具合が悪くなる人が出て来てるって書いてあったっけ?


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 さぁ、食事の時間だ。

 今日のお昼は、すき焼きか。

 空調が効いているので、夏場でも問題ないな。


「「「「「いただきます」」」」」

 5人揃って、お昼をいただいた。


「お食事中ですが、次の寄港地について説明いたします」

「ライナ。食事中には、そんなことしなくていいよ」

「いえ、私、できる女なので……」

「え? 初耳なんだが?」

 ジロリと睨まれたので、それ以上ツッコミを入れるのはやめた。


「次に寄港するブレイズ港は、

 アスヴァル王国の首都に近く、

 アスヴァルで一番大きな港です」

「なるほど。リベル港より大きいの?」

「え~と、あの~」

 うん。了解。わからないのね。


「リベル港の2倍くらいありますわぁ~」

「マジか? めちゃくちゃデカいじゃん」

「天然の状態で、港に適した形になっているのですわぁ~」


「冬は港が凍るほど寒い地域なので、木造家屋が多いそうです」

 今、夏だけど。ホントにその情報必要?

「ちなみに、どうして木造?」

「え~と、あの~」

 うん。了解。わからないのね。


 代官からの報告書の中に、

 晴れてる日が多く、

 暑さで調子を崩すものが増えてるって書いてあったっけ……。


「木の方が、石より断熱効果があるからですわぁ~」

「だそうです」

「なるほど」


「ちなみに、アスヴァル城も木造だそうです」

「大丈夫なの? それ?」

「城塞と櫓だけは石造りなので大丈夫とのことです」

 豆知識を披露できて、ライナはドヤ顔だ。

 へぇ~。


 そんなことを話しながら、昼食を終えた。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 そろそろ、次の寄港地が見えてくるころかな……。

 艦橋というか操舵室に行ってみるか。


 ・ ・ ・ 艦橋(自称) ・ ・ ・


 遠くに最初の寄港地が見えてきた。

 黒いモヤがかかっている。


 映像を最大までズームアップする。


「……」


 燃えてるじゃん。

 めっちゃ、燃えてるじゃん。

 そういえば……

 異常気象でめちゃくちゃ暑いって言ってたっけ。

 建物は木造って言ってたっけ。

 海沿いにクフィール王国の飛行船が飛んでるんだっけ。

 クフィール王国の細菌の攻撃はハッカ・イタチ。

 う~ん、思い当たる要素ばかりなんだが……。

 あそこに行くのか!?

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 次回

『王様、知らないところで大変なことになってます』

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