↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウソつき王様の引退計画(「ウソつき賢者の領地再建」続編)毎日12時更新  作者: 秋月心文


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/32

海に浮かぶもの

「行くしかないか……。どう考えても、嫌な予感しかしない。」

 正直、気は進まない。

 でも、ハトを使って事前に寄港する約束をしているらしい。


「はぁ……」

 俺は大きなため息をつきながら、

 エリナとライナを連れて格納庫に向かった。

「行くしかないのか……」

「アーク。しつこい」

 わかってるよ。気が進まないんだよ。


 例の帆船みたいな見た目の船に乗り込む。

 これ、何か名前つけた方がいいよね。

 ミカンが用意したものだし、ローラ(ローラ・タルテ)もからんでそうだから――

「この船は、オレンジタルトと名付けよう」

「何それ?」

「アークがいいんなら、なんでもいいよ」

 ライナも、エリナも辛口評価だ。


=船体名:オレンジタルト。登録しました=

 という艦内放送が流れた。

 このクジラ型母艦の人工知能が反応したらしい。

 どこでも音声入力とは、至れり尽くせりだな。


「クジラの方は名付けないの?」

「う~ん、それじゃリヴァイアサンにしよう」

「どういう意味の名前?」

「海に住む強いヤツ……だったと思う」

「なるほど」

 エリナは、転生者なので話が伝わる。

「そんなのいたっけ?」

 ライナには伝わらない。


=母艦名:リヴァイアサン。登録しました=

 という艦内放送が流れた。

 またも、リヴァイアサンの音声入力が反応したらしい。

 ヘイ!と、オッケーとか言わなくても反応するんだ?


 俺たちは、オレンジタルトの操舵室に向かった。

 ご丁寧に①②③と順番が書かれたレバーが用意されている。


 ①のレバーを引く。

 船が大きくせり出して、後ろの隔壁が閉じる。


 ②のレバーを引く。

 クジラ型の母艦が浮上し、クジラの口と内部隔壁を開ける。

 水がザァ~っとクジラの口の中に入りこみ、船が浮く。

 操舵可能になった。


③のレバーを引く。

 クジラの口からオレンジタルトが出て、クジラは沈んでいった。


 こうして、オレンジタルトは、第1寄港地に向かった。

 第1寄港地の名前は、ハリケーンと言う街らしい。

 何、それ? 自虐ネタなの?


 街は無残に壊滅していた。

 大嵐で発生した津波による被害のようだ。


 大嵐って、ローラがクジラ型潜水艦リヴァイアサンの性能試験か、嫌がらせのために起こしたヤツだよな。

 責められないといいんだけど。


 向かっていくと、海にかろうじて浮いている人たちをみかける。

「救助しないと……」

 思わず、言葉が出てしまった。

=了解しました。救助行動を開始します=

 人工知能が反応しちゃった。


 船の後部がパカっと開いて、ゆっくりバックしながら、

 浮いている人を周囲の水ごと飲み込んでは、

 水だけ吐き出して、人や物を回収していく。

 よくわからんが、器用な仕掛けだ。


 港に着くまでの間に、

 100人ほどの人や、同じくらいの数の物を回収した。

 とても下衆な考えかもしれないが、

 多少は恩を売れるだろうか?


 ライナは助けた人たちに、

 バスタオル、衣類、毛布、あたたかいスープなどを配っていく。

 それはいいんだが……。


 タオルにも、衣類にも、毛布にも、

 スープの入ったマグカップにも、

 俺の顔と名前が印刷されていた。

 いつの間に、そんなの用意した?


 バスタオルは、まだいい。

 パンツや靴下に、顔の印刷は必要?

 パンツは、お尻の方に俺の顔が……。

 靴下は、踏まれる面に俺の顔が……。

 俺の役目は、汚れ役?


 でも、濡れて体温を失いかけていた人たちには、

 とても好評のようだった。


 ハリケーン港に寄港したいのだが、

 桟橋とかが嵐で壊れているようだ。

 オレンジタルトは、ゆっくりバックで港に近づき、

 コツンと港に当たると、船の後部が大きくパカっと開いて、

 開いた部分が港に乗り上げて、

 船から港へ降りられるようになった。


 こうして、流された人たちと共に入港すると、

 拍手喝采で迎えられた。

 なんだか、自作自演のようで申し訳ないのだが。


 港では、アスヴァル王国外交官 ウクスツヌ・フメユルウが、出迎えてくれた。

 フメユルウは、なんだか顔が赤い。熱があるようだ。

 時々、お腹をさすっている。調子も悪そうだ。


 こんな時に、仕事をさせて申し訳ない。


 フメユルウから、来訪と救助のお礼を兼ねたパーティの申し出があった。

 俺は復興を優先して欲しいと断った。

 本音は、外交の仕事をしたくなかっただけだが。

 しかし、それが、よろこばれた。


 まだ、海や川に流された人や物がいるらしいので、

 その回収を手伝うことにした。


 その中に、やばそうなものがあった。

 なんでこんなものが……


 ネズミがたくさん浮いていた。

 伝染病が流行ってないか心配だ。

 加えて、クフィール王国の飛行船の残骸も浮いていた。

 どうにも、連中の作為的なものを感じる。

--------------------------------------------

 次回

『そんなこともあろうかと……』

--------------------------------------------

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも楽しんでいただけましたら、

 ★や【ブックマーク】で応援していただけると、

 今後の創作活動の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。