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ウソつき王様の引退計画(「ウソつき賢者の領地再建」続編)毎日12時更新  作者: 秋月心文


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15/32

そのサイン、本当に大丈夫?

 ※2026/8/20 誤記修正

  金額の単位をガルドで記載すべきところを、

  円で記載していたので修正しました。

「何かないか、何か……」

 俺は今、大変焦っている。

 ローラが持ってきた請求書。


 その金額だけでもヤバすぎるんだが……。

「返せるまで10日で1割の利子でお貸ししますわぁ~」

 と言ってきやがった。


 つまりだ。

 サクっと返す方法を見つける必要がある。


 だけど、単位が兆だ。

 思いっきり、国家予算だ。


 港も、造船所も、城も、道路も、運河も、鉄道も、国民教育も、全部必要と言えば必要なことだ。

 しかし、全部オーバースペックすぎるんだが……。


 《フェイク》の力でお金を作る?

 《フェイク》の力で借金をなかったことに?

 いや、それは人としてダメな気がする。


 案外、何もしなくても国税でなんとかなったり?


 改めて、収支報告書に目を通す。

 灰とオリハルコンが莫大な収入をもたらしてきたのに加え、ダンジョン産アイテムが収益を支えている。

 税収10兆ガルドらしい。

 お?


 請求書の金額は、全部で10兆ガルドだった。

 まるで、こっちの足元を見てきたようにピッタリの金額だ。

 というか、絶対足元見てるよね。あいつ。

 なんてこった。


 だけど、全部払うことはできない。

 税収全部をローラに支払ってしまっては、国として何もできなくなる。


 ふつうは、数年かけて整備するべきものだろう。

 見て見ぬふりをしてきたツケが、こんなところに出ようとは。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ずっと考え込んでいたら、足元から声がした。

「助けが必要?」

 エリナが声をかけてきた。

「必要、必要、超必要」

 それじゃ、まず、これにサインして……。

 よくわからないけど、サインする。


「この前、西側の山を更地にしたよね?」

「あぁ」

「その中で、まだ何も使ってないところはどこ?」

「え~と……」

 地図を広げる。

 中央部には道路、運河、地下鉄が走って、港、温泉街、発電所なども中央だから……。


「北西部、南西部が何もしてないかな」

「そこに山を作って!」

「山?」

 エリナはポケットから、いくつかの石を取り出した。


「北西部には、この石でできた山を、

 南西部には、この石でできた山を作って!」


「北西部にこの石でできた山ができる」

 澄んだ不思議な音が脳内に響いた。

 空気が一瞬入れ替わる感覚がした。


 数分後、脳内にリキャスト音も鳴り響いた。


「南西部には、この石でできた山ができる」

 澄んだ不思議な音が脳内に響いた。

 空気が一瞬入れ替わる感覚がした。


「それじゃあ、売ってくる」

 エリナは、そう言って部屋を出ていった。

 少しうれしそうに、さきほどの紙と地図を抱えていた。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 少しして、ライナがやってきた。

「ちょっと、どういうことよ!」

 そう言って、胸倉を掴まれた。


「え? 何? 何も心当たりがないんだけど」

「ふぅん?」

 ライナは俺の顔をじろじろと眺めてきた。

「ほ・ん・と・う・に・?」

 ライナは俺の顔をまじまじと眺めてきた。

 あまりにも怖かったので、目を逸らした。

「何か後ろめたいから、目を逸らしたんじゃないの?」

「違うって……」


「ホントかなぁ~」

 ライナは、何か考え込んだ。

 今のうちに、ここを離れよう。

 そう思った矢先、ネコを掴むみたいに捕まった。


 そして……。

 ライナは、1枚の折りたたまれた紙を取り出した。

「これは?」

「大臣の任命書よ。あんたのサインが必要なの」

 よくわからんが……。

「これでいい?」

「うん。それじゃ、また後で」


 ライナは、そう言って部屋を出ていった。

 少しうれしそうに、さきほどの紙を抱えていた。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 少しして、エリナが帰ってきた。

「山、売れたよ~」

「へぇ、いくらになったの?」

「100兆ガルド」

「は?」

「100兆ガルド」

 うちの国家財政は、当面問題ないらしい。

 それにしても、あの石なんだったんだろう?

 俺はうれしくて、思わずエリナを抱っこしていた。

 そこに、代官がやってきた。


 思わず、エリナを降ろそうとしたのだけど……。

「おめでとうございます」

「え? 何の話?」

「おふたりと、ご結婚されるそうですね」

 え? 結婚?

 よくわからん話に、俺は固まった。


 一方、代官の言葉に、エリナの目つきが変わった。

「ふたり?」

 エリナさん、なんだか怖いんですけど……。


「と、とにかく、結婚なんて聞いてないんだけど」

「出したじゃないですか?」

「何を?」

「婚姻届け」

 は?

 何の話だ?

 そんなものにサインした覚えは?


 え?

 サイン?

 ふたり?


 最近、よくわからないものにサインした記憶があった。

 もしかして、あれか?

 あれなのか?


 いつの間にか周囲に人だかりができていた。

 彼らは口を揃えたように、こう言った。

「「「おめでとうございます」」」

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 次回

『誰か、俺の意思を確認してくれ』

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