そのサイン、本当に大丈夫?
※2026/8/20 誤記修正
金額の単位をガルドで記載すべきところを、
円で記載していたので修正しました。
「何かないか、何か……」
俺は今、大変焦っている。
ローラが持ってきた請求書。
その金額だけでもヤバすぎるんだが……。
「返せるまで10日で1割の利子でお貸ししますわぁ~」
と言ってきやがった。
つまりだ。
サクっと返す方法を見つける必要がある。
だけど、単位が兆だ。
思いっきり、国家予算だ。
港も、造船所も、城も、道路も、運河も、鉄道も、国民教育も、全部必要と言えば必要なことだ。
しかし、全部オーバースペックすぎるんだが……。
《フェイク》の力でお金を作る?
《フェイク》の力で借金をなかったことに?
いや、それは人としてダメな気がする。
案外、何もしなくても国税でなんとかなったり?
改めて、収支報告書に目を通す。
灰とオリハルコンが莫大な収入をもたらしてきたのに加え、ダンジョン産アイテムが収益を支えている。
税収10兆ガルドらしい。
お?
請求書の金額は、全部で10兆ガルドだった。
まるで、こっちの足元を見てきたようにピッタリの金額だ。
というか、絶対足元見てるよね。あいつ。
なんてこった。
だけど、全部払うことはできない。
税収全部をローラに支払ってしまっては、国として何もできなくなる。
ふつうは、数年かけて整備するべきものだろう。
見て見ぬふりをしてきたツケが、こんなところに出ようとは。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ずっと考え込んでいたら、足元から声がした。
「助けが必要?」
エリナが声をかけてきた。
「必要、必要、超必要」
それじゃ、まず、これにサインして……。
よくわからないけど、サインする。
「この前、西側の山を更地にしたよね?」
「あぁ」
「その中で、まだ何も使ってないところはどこ?」
「え~と……」
地図を広げる。
中央部には道路、運河、地下鉄が走って、港、温泉街、発電所なども中央だから……。
「北西部、南西部が何もしてないかな」
「そこに山を作って!」
「山?」
エリナはポケットから、いくつかの石を取り出した。
「北西部には、この石でできた山を、
南西部には、この石でできた山を作って!」
「北西部にこの石でできた山ができる」
澄んだ不思議な音が脳内に響いた。
空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
数分後、脳内にリキャスト音も鳴り響いた。
「南西部には、この石でできた山ができる」
澄んだ不思議な音が脳内に響いた。
空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
「それじゃあ、売ってくる」
エリナは、そう言って部屋を出ていった。
少しうれしそうに、さきほどの紙と地図を抱えていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
少しして、ライナがやってきた。
「ちょっと、どういうことよ!」
そう言って、胸倉を掴まれた。
「え? 何? 何も心当たりがないんだけど」
「ふぅん?」
ライナは俺の顔をじろじろと眺めてきた。
「ほ・ん・と・う・に・?」
ライナは俺の顔をまじまじと眺めてきた。
あまりにも怖かったので、目を逸らした。
「何か後ろめたいから、目を逸らしたんじゃないの?」
「違うって……」
「ホントかなぁ~」
ライナは、何か考え込んだ。
今のうちに、ここを離れよう。
そう思った矢先、ネコを掴むみたいに捕まった。
そして……。
ライナは、1枚の折りたたまれた紙を取り出した。
「これは?」
「大臣の任命書よ。あんたのサインが必要なの」
よくわからんが……。
「これでいい?」
「うん。それじゃ、また後で」
ライナは、そう言って部屋を出ていった。
少しうれしそうに、さきほどの紙を抱えていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
少しして、エリナが帰ってきた。
「山、売れたよ~」
「へぇ、いくらになったの?」
「100兆ガルド」
「は?」
「100兆ガルド」
うちの国家財政は、当面問題ないらしい。
それにしても、あの石なんだったんだろう?
俺はうれしくて、思わずエリナを抱っこしていた。
そこに、代官がやってきた。
思わず、エリナを降ろそうとしたのだけど……。
「おめでとうございます」
「え? 何の話?」
「おふたりと、ご結婚されるそうですね」
え? 結婚?
よくわからん話に、俺は固まった。
一方、代官の言葉に、エリナの目つきが変わった。
「ふたり?」
エリナさん、なんだか怖いんですけど……。
「と、とにかく、結婚なんて聞いてないんだけど」
「出したじゃないですか?」
「何を?」
「婚姻届け」
は?
何の話だ?
そんなものにサインした覚えは?
え?
サイン?
ふたり?
最近、よくわからないものにサインした記憶があった。
もしかして、あれか?
あれなのか?
いつの間にか周囲に人だかりができていた。
彼らは口を揃えたように、こう言った。
「「「おめでとうございます」」」
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次回
『誰か、俺の意思を確認してくれ』
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