海から来る侵入者
「今度は海か……しつこいな」
うちの領内へ入ると飛行船が消えるようにした。
その結果、クフィール王国は飛行船を飛ばさなくなった。
だが数日後、今度は海側から飛んで来るようになった。
連中は港を持ってないけど、
飛行船なら山を飛び越えて海へ出られるらしい。
「レールガン使うていいですか?」
ナニワ師団長が聞いてくる。どうしても使いたいらしい。
まぁ、1度も使わずに実戦で使う訳にもいかないしな。
海上だし、いいか。
「構わないぞ」
「やった~!」
ドゴォォン!
高音で金属質な耳を突き刺すような激しい破裂音がした。
あれ? 火薬は使ってないんじゃないの?
なんで、こんな大きな音するの?
「撃つときに空気が一瞬で何千度もの超高温になるので、
空気の爆発音が発生しますわぁ~」
へぇ、なるほどねぇ。
「それと、高速なのでソニックブームも発生するのですわぁ~」
ソニックブーム?
音速超える時の衝撃波だっけ。
陸上で使うとヤバいってことだな。
あ、そういえば、飛行船はどうなった。
海の方を見直す。
飛行船は、みるみるしぼんでいき、海に落ちた。
燃やさずに落とせるじゃん。
まぁ、穴開けただけやし、下も海やし。
山の上でも、レールガン使えば良かったんじゃ?
あ、そしたら、陸上にソニックブームが発生するから、
町が危ないか。
「まぁ、今回のは結果オーライや。
これからも海飛んでたら、落としてええな?」
「あ、うん。その方向で」
「あ、また来たで」
ドゴォォン!
「超高温って言ってたけど連射できるんだね?」
「連射できへんかったら、使いものになりまへんがな」
「ちゃんと冷却機構も入れてるので連射できるんですわぁ~」
へぇ、いろいろ考えてるんだ。
「そういえば、
ベスティア王国軍って火薬を使った武器はないんだね」
レーザーとか、レールガンとか、そういうものしか見ていない。
「うちでは火薬作られへんからなぁ」
「そうなの?」
「火薬は輸入頼みやから少ないんや。
本国で若干使うてる程度しかあらへん」
そういえば、アスヴァル王国の軍艦には大砲が装備されていた。
連中と戦うのは危険なのかもしれないな。
「うちでも大砲を作ろうと思ったら、どうしたらいいの?」
「海の向こうの国から輸入しないといけませんわぁ~」
「それは大変そうだ」
日数も必要だろうし、どれだけ売ってくれるかもわからない。
「ふつうなら……そうなるという話ですわぁ~」
「ふつうなら?」
「作ればいいと言ってるのですわぁ~」
「え?」
何言ってるんだ? 火薬の作り方なんて知らないぞ。
「そういうスキルをお持ちでしょう?」
「《フェイク》を使って火薬を作れってことか?」
「せっかくだから、現実では不可能なヤツ作るべきですわぁ~」
現実を超えた火薬を生成しろと?
確かに俺のスキル《フェイク》ならできるだろう。
「よくわからないから紙に書きだしてよ」
ローラは、超最強火薬の条件をサラサラと書きだした。
煙や煤や炎が出ないとか、
環境に悪影響が出ないとか、
おにぎり大で核爆弾数発分の破壊力とか、
激しい振動や火災の熱でも爆発しないとか、
温度が変わっても威力が変わらないとか、
など、他にもいろいろ書かれていたが、
難しい言葉だったので読み飛ばした。
よくわからないけど、
ありえないことがいろいろ書かれているらしい。
「では、移動しますわぁ~」
手を握られると、瞬間移動した。
デカい倉庫に連れて来られた。
ドーム球場がいくつも入りそうな広さだった。
天井も壁も頑丈なつくりだ。
「ここは?」
「海中火薬庫ですわぁ~」
「万が一誘爆しても、町に影響ないっちゅうことでんな」
へぇ……。
こんなの作ってたんだ。
俺に作らせるつもりで?
ローラは、ノリノリだ。
「さぁ、ご一緒に!
紙に書かれた通りの火薬で永久にこの空間を埋め尽くす。
リピート・アフター・ミー?」
言われたままというのはしゃくだが、
高性能火薬は持っておいた方がいいだろう。
こいつらなら、すごい武器にしたててくれるだろうし。
「この紙に書かれた通りの火薬で永久にこの空間を埋め尽くす」
という「ウソ」をついた。
澄んだ不思議な音が脳内に響いた。
空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
目の前が謎の物体(たぶん火薬)で埋め尽くされた。
そう言えば、言ってから聞くのも何だが、
「永久にって言葉必要?」
「そう言ったら、使っても無限に補充されますわぁ~」
マジか?
火薬庫のつもりが火薬工場になったんじゃないか。
まぁ、いいか。補充が要らないというのも楽でいい。
「あとですごいモノをプレゼントいたしますわぁ~」
そう言って、また瞬間移動で、元の場所に戻った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「アスヴァル王国の船団が現れました」
--------------------------------------------
次回
『善意には値札がある』
--------------------------------------------
お読みいただき、ありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけましたら、
★や【ブックマーク】で応援していただけると、
今後の創作活動の励みになります。




