16、歪な心
「起きろズルタン、、、」
目を開けるとズルタンの目の前にフォルトゥーナが座っていた。
「(兄さん、、いや落ち着けこれは幻覚、、)」
「ズルタンどうした?気分でも悪いのか」
「(マキアは寝ている、、返事をした方がいいのか)」
「ズルタン逃げ出すんだ今すぐこの馬車を飛び出して俺たちの村に帰るんだそしてまた星を見に行こう、、」
「お前は幻覚だ、、、」
「違うよズルタン!お前のお兄さんだお前を世界一愛しているお兄さんだ、さあ今すぐその目の前の男の首を切り落としそして逃げ出せ!」
「兄さんはそんなこと言わないぞ!嘘つきやはりお前は俺自身だな、、、」
「村にはお前の好きなエテルニータもいるぞ、、、お前の帰りを待っているんだお前が王様になってしまったらお前の友達とキスをするだろうよ今戻らないとエテルニータは将来結婚して家庭を作るぞ幸せそうに暮らすんだお前のいない村で、、誰もお前のことなんか覚えちゃいないよ人間なんてそんなもんさ、、俺だってお前の顔をよく覚えてないもん、、」
「兄さんじゃないなお前は兄さんじゃない!」
「第一お前が王様なんてやれるもんかすぐに暗殺されるのが落ちさ、、それかクーデターが起こるぞそれでお前は民衆の前で鞭うちの刑にされるんだ、、、手首を縛り上げられるんだなそれで朝から晩までさらしものさそれを民衆はひどいとか言いながら好奇の目でお前を見つめるんだ、こんな楽しい娯楽はないものな。想像してみろよただでさえお前の痩せた肉体が鞭で傷ついていく様子をお前が情けない悲鳴を上げる様子をその姿を見てみんなよだれを垂らすんだそうやってショーを楽しむんだよ、仕上げにお前は首を切り落とされその時広場は歓声に満たされるんだろうよ、、でその夜その見物者たちは家族と「あんな惨めな大人にならないようにね!」なんて子供にお説教しながら豚のステーキをうまそうにほうばるのさ!お前が王様になったところでそうなるのが落ちさ、、だから目の前の男を切り殺せ!ズルタン今ならまだ間に合う、、、お前はそんなろくでもない結末迎えたくないだろう、、」
「正体を現したな化け物!やはりお前は俺自身だな!」
「そんなことはどうだっていいのさズルタン俺が幻覚だろうとそうでなかろうと問題は今言ったことが本当に起こりうる可能性があるということだ現実はもっと悪いかもしれない本当は拷問室でお前は苦しみの末の死ぬかもしれないんだぞ、、それでいいのかズルタンそれがお前の望んでいる死に方なのか確かに人間には死に方は選べんがそれでも今馬車から逃げ出せばいくらかましになるだろう、、、俺の言ったことを想像してみろ痛みを!憎しみを!」
「僕はもう諦めてるよ、、、僕はもう馬車に乗っしまった、、だから諦め身を任せるよ、、」
「目の前にいるこの蛇にかこのいかにも信用できない男にかズルタン、、、こいつが自分も蛇だなどとほざくのはお前を安心させるためさお前に万が一でも逃げ出してもらっちゃ困るからな、こいつはお前がそういうとおとなしくすることを冷徹に計算済みさその論理的な分別くさい脳みそでな、、お前のことなんかちっとも気にかけていない、、現にこいつ自身もそういってたじゃないか詐欺師と同じなんだよお前が必要じゃなくなったらお前を殺すさ、、、だからズルタン今ならまだ間に合うよ、、」
「兄さんでももし逃げてもこの男は地の果てまで追ってくるよそれに僕じゃ追いつかれてしまう」
「だから今のうちにこいつの首をかき切れ馭者も殺せ!護衛も殺しちまえ!そうすりゃすべて解決さ!」
「兄さん、、もう勘弁してよ僕を諦めさせてよせっかく外の景色を見て心を紛らわせていたのに、、」
「俺のこともう忘れているんだろ冷淡なやつめ!王様になれば女を抱き放題だからなこのヤリチン野郎この人間の屑めが!モテない童貞野郎が俺に偉そうな口を利くんじゃねえ!役立たず!」
「兄さん、、」
その時マキアが目を覚ました。
「ロス様どうなされました?」
眠そうに眼をこすりマキアが聞いた。
「何でもない、、」
ズルタンの目の前から兄だったものは消えていた。




