17話 野営地に潜む者たち
『こちら沙織。北側現着。他の状況の報告を求む』
『こちらイーディス。西側到着しました。ターゲットに目立った動きはありません』
『ニコラよ。今、東側に着いたわ。こっちもターゲットに目立った動きはないわね』
『こちらメアリー。南側に到着しました。こちらも目立った動きはありません』
敵?側は、誰も沙織たちがそれぞれの後ろに回り込まれていることに気付いていないようだ。
『私の合図で、一斉にそれぞれのターゲットを捕縛しますが、よろしいでしょうか?』
『承知しました』
沙織の質問に対して、メアリーが了承の返事をする。その後、他からも了承の返事が返って来た。
『では、3でいきます。3、2、1。捕縛開始!』
沙織の合図とともに、それぞの方法でターゲットを気絶させて捕縛する。ちなみに、沙織の場合は、片羽絞で気絶させた。
そして沙織が、その気絶させた相手を集合場所まで運ぶと、既にそこには、気絶させ拘束済みの者たちと、それを見張るようにして、みんなが揃っていた。
「お待たせしてしまって申し訳ありません」
「お気になさらず。それではこの者たちを早目に例のテントに運びましょう」
「そうですね」
例のテントへとそれぞれ運び込む。
「では、イーディスさん。お願いします」
「はい、お任せください。『風属性第三階梯魔法サイレント』」
これで、このテントの外に音が漏れる心配はなくなった。
「さて、この4人が目が覚めて暴れても逃げられないようにしますか。皆さん少し手伝って下さい」
4人の手首を後ろに回してから手錠をかけた後、4人を背中合わせにしながら、長座の体勢にして、さらに4人をまとめて縄で何回か巻いて完全に身動きが取れないようにした。もちろん、足も縄で固定している状態だ。
「どなたか水属性の魔法を使える方はいませんか?」
「一応、使えるけど……何に使うの?」
「この人たちの目を覚まさせるために使おうかと……」
沙織が水属性を使えるのが誰なのかを聞くと、ニコラが手を挙げるが、その使用目的を問われて、沙織はニコラ対して、そのように理由を話した。
「そういうことね。わかったわ。『第一階梯水属性魔法ウォーター』」
ニコラが発動させた魔法である“ウォーター”が、4人の顔にかかった。
「冷たッ!!」
捕らわれていた4人のうちの1人がそう叫び目を覚ます。それと同時に、他の3人も目を覚ました。
「いきなり何をする!!」
「どうやら、目を覚ましたようですね」
1人の怒鳴り声を気にせず、沙織はそう言った。
「目を覚ましたことですし、これよりあなた方への尋問を開始します」
「俺たちはなんにも喋らんからな!」
沙織の言葉に、4人のうちのひとりがそう沙織たちに言い放った。
「その威勢が、いったいいつまで残っているでしょうね。あ、3人はテントの外で見張りをお願いします。この4人の尋問は、私が担当しますし、責任は、この4人に何かあったとしても、全責任は私が取りますので」
「沙織様……今からやるのって、本当に尋問なんですよね?」
「さぁ……」
イーディスのそんな質問に対して、沙織はそんな返事をすると、その場にいた全員の背筋が凍りついた。
「わかったら、早く出て行った方が良いですよ」
「わ、わかりました」
「はやくテントの外に行きましょう?」
沙織にそう催促され、イーディスとニコラがそう言うと、3人はテントの外(“サイレント”の展開範囲外)へと出て行った。
「では、これから尋問を始めます。素直に答えて下されば、危害を加えることはありませんのでご安心下さい。ただし、素直に話さない場合は、それなりの苦痛を味わうことになりますので、そこのところはご理解下さい。では、始めます」
沙織が、4人に対して今回の尋問に対する大まかな内容を説明して、尋問を始める。
「まず、あなた方はどこの諜報員ですか?」
「答えるかよ!」
「そうですか……あなた方がそのような態度であるのならば、こちらもそれ相応の対応を取らざるおえませんね」
「言っておくが、俺たちに拷問しようたって無駄だぜ。なんせ俺たちは、拷問に対する訓練も受けているからな」
この男の言う通り、コイツらは拷問に対する耐性がある。それに沙織自身が、拷問をしようとしたのは事実であり、その証拠に後ろに回している彼女の手には、拷問に使うための針が握られていた。
「では、あなた方がどれぐらい耐えられるのか楽しみですね……」
沙織は、針をその4人に笑顔で見せる。
『ギャァああああ!!』
そんな悲鳴がしばらくテントの中で響きながら、尋問(拷問に近い)が始まったのだった。
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