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エピソード45

ハーツに案内してもらった食事処は

店の屋上でも食事できるよう

テーブルや椅子がたくさん並んでいて

各席には、日除けも取り付けられていた。


「こちらは人がいないのですね···」


昼食時という事もあり、1階は満員状態だった。

しかし、屋上にはクロエたち4人しかいない。


「ふふっ、ちょっとコネを使ってね?

ここを貸し切らせてもらったんだ♪」


「私が話をしたいと言ったばかりに···

ご面倒おかけして申し訳ございません!」


「ふふっ、カチコチだねクロエ嬢?

この店は、ルイズの父親が経営しているんだ。

ルイズの父親は商才があってね?

ガイル帝国内で飲食店以外にも様々な店を作り

どれも人気店になっているんだよ?」


『コネとはルイズ様の事だったのね?』


「ルイズ様、ありがとうございます!」


「いえいえ!クロエ様とマーサさんの

お役に立てて良かったです♪

デザートも自慢の店なので

たくさん食べてゆっくりお過ごしください!」


「では、あちらでのんびり過ごしているね?

何か異変を感じた時には名を呼んで?」


「はい、ありがとうございます!」


クロエは食べながら話す事が苦手なため

先に食事を終わらせてから話す事にした。


クロエとマーサが選んだのは

この店の名物、串刺しという料理で

大きな串にブツ切りの肉と野菜を刺し

ハーブと塩コショウの味付けで焼かれている。

レモンを絞ってから食べるので

サッパリした味が好きなクロエは気に入った。


『ふぅ···お腹いっぱい···

急いだけど、やっぱり私って食べるのが遅い···』


王太子婚約者の頃なら、優雅と評される事もあったが

平民となった今は、自分の欠点にしか思えず

言葉遣いについてもそうだが

今までの自分では通用しない事ばかりで

クロエは、ガイル帝国での生活に

自分が馴染めるのか不安になっていた。


「マーサ、朝食の時間にハーツ様にお願いして

この時間を作っていただいたの···

マーサと離れ離れになる前に話したくて···」


「ハーツ皇子殿下は、とてもお優しい方ですね···

クロエ様と一緒にいてくださるので

私も安心して隔離生活を過ごせそうです。」


そう言うマーサの顔には、言葉とは裏腹に

安心とは程遠い表情が浮かんでいた。


『あまり表情を変えないマーサが···

ダメ!もっとしっかりしなきゃ!

マーサに本心から安心して過ごして欲しいなら

今できない事を不安に思っている場合じゃない!

できないならできるように頑張るだけよ!』


クロエは弱い自分を無理矢理抑え込んだ。

マーサと笑顔で離れ、笑顔で再会するために···


「マーサ···今マーサに起こっている

異変についてどこまで把握しているの?」


「自分の内に、自分ではない何かがいる···

そう認識しております。」


「今···話しているマーサは本当のマーサなの?」


「はい。私の内の何かが邪魔をしてきますが

私はそれをその都度、殺しているのです。」


『こ、殺す!?』


「ま、マーサ···物騒な例え···ね···?」


マーサから出るはずのない物騒な単語に

クロエは例えであってくれと願った。


「ふっ、本当にそうですね。

しかし、そのくらいの気持ちでいなければ

儘ならぬ時もあるのです···」


『マーサ···私のそばにいるため

ずっと自分の内と戦ってくれていたのね···』


「ありがとう···マーサ···

たくさん話を聞かせてもらってもいい?」


「はい。クロエ様のお望みのままに。」


「話していて辛くなった時は教えてね?」


「はい。」


「マーサはいつからその状態だったの?」


「2日前の夜明け前、卒業パーティーの日です。」


「では···あの日、私の身支度をしてくれた時も

ずっと自分の内と戦っていたのね?」


「···はい。」


「それは···どういう気持ち?になるの?」


「···とても···言いにくい事ですが

憎しみや疎ましさ···に近い感情です。」


「私にそんな感情を持っていたのに···

殆ど変わらない態度で仕えてくれていたの??」


パーティーの身支度の際、クロエには

本当に僅かな違和感しか感じられなかった。

しかし、それはクロエが気づかないよう

マーサが戦い続けてくれた賜物なのだ。


「侍女として当然の事です。

···と言いたいところですが、心づもりがあったのです。

忠誠を誓った···契約を結んだ時から。」


「その時のことを···」


「はい。長くなりますが···

私の知っている事を全てお話しいたします。」

マーサのサイドストーリー始まります···

頑張って短くおさめたい···です!

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