エピソード39
「アイルと公爵も《ニホンショク》を···
それは···とても心惹かれる話だ!!
どのくらいの···他に···欲求は···食べ·········
···あっ!マーサさんはどうだった?!
アイルや公爵と同じような事を言っていた??」
聞こえるか聞こえないかの声量で
ハーツから次々こぼれ出た独り言。
何事かと耳をすましていたクロエは
急に自身に問いを向けられ、慌てふためいた。
「い、い、いいえ!
マーサは不満をあまり口にしないので
心の内でどう思っていたかは···わかりません!」
「そうか······あ、ごめんごめんっ!
つい、考え込んでしまった···失礼!
《ニホンショク》に対する欲求にも
《純アース人》の血脈が
関係しているのかと思ったんだけど···
そこはまだ判断材料が足らないね。」
『ただ教えてくださるだけでなく
私の話から、色々な可能性を考えてらっしゃる···
留学生で学園の1、2になる程の頭脳だもの
私では到底理解できない···』
学園ではアイルと1、2を争っていたが
あくまでもそれは学園内での成績。
アース国独自の授業が多いだけでなく
クロエたちが、6年間学園で学ぶ事を
留学生は、その半分の3年間で学ぶのだ。
比べるまでもなく、ハーツの頭脳は群を抜いていた。
「ふふっ、興奮してしまって···ごめんね?
で、結局のところ《ニホンショク》を断つことで
強制力の支配も断てるとわかったんだけど
それが《ニホンショク》全てなのか
一部の食材なのかは特定できなかったんだ。
でも···昨日クロエ嬢に聞いた話で
恐らくだけど特定できたと思う。
まだ私の推測の域を出ないけどね?」
「それは···私が食べる事すら避けていた
《ナットーゴハン》《ニモノ》《ヒモノ》《ミソ》ですか?」
「う~ん···答える前に2つだけ質問させて?
クロエ嬢は《ショーユ》を使ってた?
確か《サシミ》や《ヤキザカナ》など
色々な料理にかけると聞いたのだけど?」
「いいえ、《ショーユ》の味が苦手で···
普通ならかけて食べる料理でも
私はかけませんでした···」
「では、《ス》は?
《スノモノ》や《スシ》に使われているけど?」
「《ス》は、どちらかと言えば好きな方です。
マリネなどよく食べていました。」
「うん、ありがとう。
恐らくだけど、強制力の支配に影響するのは
《ナットー》《ミソ》《ショーユ》だと思う。
《ニモノ》には《ショーユ》が使われる事が多いからね。」
「······なぜ···その3つが?」
「3つは同じ原料、大豆からできていてね
大豆自体は、どの国でも使われているのだけど
大豆を発酵させる、というのは
アース国独自の製造方法なんだ。
大豆が原料ではない《ス》も
発酵させる製造方法と聞いた事があったから
念のため確認させてもらったけど
発酵だけでは、強制力の支配に関係しないみたいだね。」
「······全て、最初の《迷いの愛し子》である
初代王妃ミキ様の知識で作られたものです···」
「知ってか知らずかはわからないけど
初代王妃の頃から始まっていたんだね···
強制力の支配は···」
すでにハーツの声はクロエに届いていなかった。
命を救ってもらったと
国を創り豊かにしてもらったと
幼い頃から、ずっと敬愛してきた初代王妃。
輝いていた祖国で過ごした全ての日々が
クロエの中で酷く色褪せていく···
『ミキ様が···っ!!』
テーブルの上で軽く握っていただけの手に
無意識のうちに強く力が入る。
「ダメ、柔らかく可愛い手に傷がつく。」
爪がくい込む程に力が入ったところで
ハーツがクロエの手を両手で包み込んだ。
ひんやりとした、自分とは違う体温を感じて
クロエは冷静さを取り戻した。
「すみません···取り乱しました···」
「ううん。
クロエ嬢は···初代王妃を尊敬していたものね
衝撃を受け、憤りを感じるのも無理ない。
でも、貴女でも貴女を傷つけるのは許せない。」
「ハーツ様···ありがとうございます···」
憎しみに心が染まりかけたが
際限なくハーツが与えてくれる
絶対的な愛情に、クロエの心は救われた。
今さらですが···
下のつもりで書いてます!
《》は外国語的な感じです!
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「」→話し声
『』→心の声
《》→アース国特有の言語




