エピソード36
「ところで···マーサさんの事だけど
《純アース人》の血脈はいつ途切れたのかな?」
「確か···お爺様は《純アース人》だったと···」
「二親等か···凄いね、ガイル帝国の調べでは
《純アース人》の血脈が三親等前までにある場合
その支配は相当なものだと言われている。」
「では···二親等しか離れていないマーサは···」
「うん。彼女も凄い精神力の持ち主だ!
《純アース人》は、どうあっても抗えない。
一親等は、すごく強い精神力で
どうしても拒否したい事ならば抗える。
二親等は、すごく強い精神力でほぼ抗える。
三親等は、強い精神力でほぼ抗える。
四親等以下は、拒否したい事は抗える。
ガイル帝国では、こんな風に段階分けして考えられていたからね。」
『·········』
「···では、マーサは今もずっと
抗い続けている状態なのですか?」
「彼女の場合、雇用契約···
忠誠を誓うという契約もあるから
少しは抗いやすくなっているとは思うけど···
あ、そうそう!マーサさんにも今別室で
ルイズと食事を取ってもらっているんだけど
彼女もよくガイル料理を食べていたのかな?」
『·········』
「···はい。
私が公爵邸で食事を取る時は
マーサだけでなく、父やアイル、使用人の皆が
私に合わせてガイル料理を食べてくれました。
ただ、私は学園や王城だけでなく
色々な所で外食をする機会が多かったので
その時、皆が何を食べていたかはわかりません。」
「なるほど···」
「ハーツ様···
《ニホンショク》と強制力の支配、
私に強制力の支配が及ばないことは
関係があるのですね···?」
クロエは、2人で初めて食事をした時から
ハーツの普通ではない様子を見て
ずっと《ニホンショク》の事が気になっていたのだ。
そして、《純アース人》の血脈を持つのに
強制力の支配を受けていない自身の事も···
「あははっ!わかっちゃうよね?
そうなんだ、《ニホンショク》が
強制力の支配に大きく関係しているんだ。
でも······ここから先は、クロエ嬢が
食べ終わってからにした方が良さそうだね?」
「あっ···も、申し訳ございません···不器用で···」
「気にしないで?
人の目と耳を避けるためとはいえ
レディと部屋で2人きりになるのは
少し躊躇いがあってね···
食事の席を選んだ私が悪いんだ。
クロエ嬢は早く食べるのが苦手と知っていたのに
無理をさせてしまってごめんね?」
「それで食事処の個室を選ばれたのですね?
なのに私ったら···本当にごめんなさい!」
「ううん!
食べながら聞いてね?
私たちがいるこのホテルは
国境をちょっと進んだ街にあってね?
ここには早くても明後日の朝までいる事になる。
ルイズに早馬で、父へ連絡してもらったんだ
クロエ嬢が追放者となり、私が保護したこと
そして国境門の改造工事が必要だとね。
城に行って戻るには、早くても丸2日かかる。
父が決断に時間を要せば、それ以上に···
その間ね、もしもの事があれば
私が指揮を取り国境を塞がなければならない。
だから私はここから動けないんだ。
でも、クロエ嬢の疑問に答えるには
ちょうどいい機会でしょ?
時間はたっぷりあるから、慌てずゆっくり話そうね?」
『ハーツ様は、もしもの可能性も考えながら
何歩も先を見ているというのに···
私は目の前の事にさえ···』
クロエは、自身の不器用さや
至らなさに落ち込んでしまったが
同じくらい、ハーツが共にいてくれた事に
頼もしさと感謝の思いが溢れていた。
「ふふっ、クロエ嬢?
また手と口が止まっているよ?
お腹がいっぱいなら残してもいいから
デザートの分は残しておいてね?
今日はジェラートを出してくれるみたいだよ?」
『ジェラート!?』
「すみませんっ!
えっと···食べられます!
ジェラート大好きなので頑張りますね♪」
『え···可愛い···なにこの笑顔??
···ジェラートが好きでこの顔になるの??
それぐらいいくらでも出してあげるのに···』
「···もし、食べられるなら
私の分のジェラートもあげるから頑張ろうね?」
「わぁ〜!!はいっ♪」
『うわぁ···破壊力···』
食事に関する全般が苦手なクロエが
食べる事でこんなに喜んでいるところを
ハーツは見たことがなかったので
良いネタを手に入れたと上機嫌になったのだった。
クロエは
保護によりガイル人になる事と
皇族に連なる者だった事から
普通のガイル人にも
秘密にしている話を
教えてもらってます!
なのでアース人の
マーサ同席では話せなくて
食事処の個室で話すことを
選んだ感じだと思います!




