エピソード30
「クロエ嬢は母君の出自を
誰にも知らされていないんだよね?」
「···はい。
幼い頃、母に聞いた事はあるのですが
辛そうな顔をするばかりで···
父も母の気持ちを尊重してか
母がガイル帝国ゆかりの者で
2人がガイル帝国で出会ったとしか···」
「そう···母君は辛いお気持ちのまま···
これから私が話すことは、国境に着くまでに
クロエ嬢に伝え終えなければならなくて···
こちら側からの一方的な話になってしまうから
母君や公爵、その他関係者の記憶の中にある
真実とは異なるかもしれない···
でも···聞いてくれる?」
「···はい、お願いします。」
返事はしたが、覚悟などできていない。
両親や周りが聞いてくれるなと前面に出し
ひた隠しにされていた事柄なのだ···
しかし、先に進むには聞く他なく
クロエも、自らに繋がる出自を知りたかったのだ。
「クロエ嬢、貴女の母君は···
私の父、現ガイル帝国皇帝である
ラース・ガイルと唯一同じ母を持つ
ガイル帝国の第3皇女だったんだ。」
「え···」
「ビックリさせてしまったよね?
ごめん···。
少し長くなるけど聞いていて?」
「···はい。」
「私とクロエ嬢は···いとこなんだ。
クロエ嬢とアイルの血縁関係と同じだね···
でね?私たちの祖父、先代皇帝は···
簡単に言えば、好色暴君の手本のような人で···
父にはクロエ嬢の母君だけでなく
把握できないほど母違いのきょうだいがいた。
ガイル帝国では男子にのみ皇位継承権があって
父は幼い頃より後継者争いに巻き込まれ
何度も命を脅かされていたそうだ···
そんな父に、唯一安らぎを与えてくれたのが
同じ母を持ち、継承権を持たない女子であった
クロエ嬢の母君だったと聞いている。」
「·········。」
「私たちの祖母は、低位貴族の出でね?
あまり裕福でなかったことから
城で使用人として働き、祖父に手折られたそうだ···
母君が幼い頃に亡くなったこともあって
2人は少なくない不幸の中で育ち
そして、女子であった母君は
他の母違いのきょうだいである女子と同様
劣悪な環境で···愛情を与えられる事もなく
ただ、祖父の求める利の為だけに
駒として結婚を決められていた。」
「·········。」
黙って聞いているが
目には、辛そうな母の顔が浮かび
枯れたはずの涙が、勝手にこぼれ落ちていた。
貴族の子が、望む婚姻を結べる方が少ないのは
元公爵令嬢として当たり前に理解している。
しかし、母の境遇を想像すれば
祖国で何一つ、望む人生を歩めなかったことは明白だった。
「···ごめん。
女性であるクロエ嬢には特に···
とても聞き苦しい話だよね···ごめん。」
「お願いします。続けてください···」
「うん···
母君が有力貴族への褒美という名目で
間もなく後妻に入るという頃、
ジェラート公爵に出会ったと聞いている。
アース国の現国王がまだ王太子で
王太子を招いたパーティーに
側近として付き添った公爵と
会場にいた母君が出会い、2人は恋に落ちたと···」
『お父様···』
「その先に起こった事柄だけを言ってしまえば···
2人の恋心を知った私の父が
ガイル帝国側が圧倒的に利を得る
公爵領との不平等な貿易協定を持ち掛け
公爵がそれを受け入れたことで
2人の結婚は許された。
そして、その件で莫大な利を得た事を
評価された父が皇位継承者に選ばれ
アース国に渡った母君は
ガイル帝国だけでなく、父とも縁を絶った。」
胃が握りつぶされる痛みだった。
でも、ハーツの話し方でわかった···
その先に別の真実があるのだと。
「事柄だけ、ではないお話を教えてください。」
気がつけば
ブックマーク100以上
ユニーク10000以上
いただいていました!
本当にありがとうございます┏○ペコッ
数字だけが全てじゃありませんが
素直に嬉しかったです!
正直に言うと···
子供にちょっぴり自慢しちゃいました!
クロエの出自が明らかになり
ハーツが喋りすぎてて心配です!
と言うか、この人たちが
寝てないことが1番心配です!
そんな時じゃないのかもしれませんが
睡眠大事!
そのうちしっかり寝てもらいます!
※タイトルの話数を変更しました!




