エピソード29
「ただ、この異常は人によって差が激し過ぎて···
是非とも譲りたくなって、気持ちよく譲る者も
譲りたくないと思いつつ、譲ってしまう者も
譲りたくないと思えば、断れる者もいる。」
「そんなにも差が···」
「でも、共通している事が1つ。
《迷いの愛し子》の望むとおりに事が進めば
えも言われぬ幸せを感じるらしい。」
『···えっ?···それって···』
「そ、それは···アース国に語り継がれている
お伽噺や絵本に出てくる···」
「···うん、私もそう思っている。
誰がどういうつもりで後世に伝えたのか···
寧ろ、伝える気があったのかすら
何もわからないんだけど···ね。」
『《迷いの愛し子》を愛し守った国は幸せになりました。
···(意思)で愛し、(言動)で守ると
幸せな気持ちになれると言うことだったの?!』
「しかし···断ることもできるのですよね?」
「難しいことではあるけど、できるよ?
ただ、その場合には色々な条件が···
······そこから先は···秘密っ!!」
キュッ!と、すくい上げられていた手を握られ
クロエは慌てて手を引き抜いた。
『はぁ···心臓がもたないわ···
踏み込んではいけない話だったのかしら···?』
「いえ、可能な範囲を教えていただけるだけで
私には恐れ多いことです。」
「ふふっ···クロエ嬢、硬すぎるよ?
もっと···そう!アイルに話すように話して?」
もうクロエは平民ですらない放浪者。
大国の皇子に対して硬くならないわけがない。
しかし、硬くなるなと言うのもまた皇子···
「···善処します。」
ハーツは満足気にウンウン頷いている。
「で、だ!
何故ガイル帝国が《迷いの愛し子》のことを
そこまで知っているかというと···
アース国からの追放者が関わってくるんだ。
クロエ嬢みたいにね!」
「私みたいに···?
私以外にもアース国を追われた者がいるのですか?」
「うん。王家は隠しているけどね?
ガイル帝国がそのほとんどの者を
秘密裏に保護してきた。ずっとね。
詳細は話していないけど、周辺諸国の協力を得て
アース国からの追放者が現れ次第
こちらに引き渡してもらう手筈になっている。
もちろん、追放者本人の希望の下でね?」
『ずっと···私が想像もできないほど
遥か昔から、ガイル帝国は動いていたんだわ···』
「何故この話を出したかと言うと···
改めて言わせてもらうね?
クロエ嬢、貴女をガイル帝国で保護させて欲しい。」
「···はい。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
改めて聞かれた事に少し違和感を感じたが
きっと同意を得なければならない話なのだろう。
どこいく宛もないクロエにとっては
他に選択肢はないのだけど···
「ありがとう。
保護の同意を得られたから
私から話せる範囲が少し広がった。」
「あ、そういう事でしたか···
つまり協力者には知る権利がある···と?」
「うん。その通り!
協力者からは情報を貰って
こちらからは情報だけじゃなく
ガイル帝国で過ごせるよう手助けもする。
帝国に着いてから色々手続きしてもらうけど
これからクロエ嬢は、ガイル帝国民になる···
大丈夫かな?」
「···はい。
昨日まで考えてもいませんでしたが···
母の祖国、ガイル帝国に助けていただけることを
心より感謝申し上げます。」
「······か・た・い!
あまりにも私と距離を取るようなら
また口説き倒すけどいいの?」
ボワっと蒸気が沸き上がるくらい
クロエの顔は、赤を通り越した真っ赤に変わり
一瞬で黙らされてしまった。
『ぐぅ······ぬぅっ!!』
「ふふっ、もう目や鼻だけでなく
クロエ嬢自体が真っ赤になってしまったね♪」
『もうっ!!誰のせいよっ!!』
「でね、話せる範囲を広げるために
もう1つ伝えなければいけないことがあるんだ···」
『···???』
「クロエ嬢の母君の出自について。」
エピソード29です!
(サイドストーリーなしで)
ええ、無理です!
サクッと30話ぐらいで終わりたいとか···
安易に思ってただけです!
まだタイトル回収すらできていない···
全然帰ってないです!
なんとか···40···50···までには
※タイトルの話数を変更しました!




