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姦姦蛇螺

「あの~あんた達誰?」


 ベリンは2人にそう聞いた。


「青龍です!」


「白虎です!」


 2人はコミカルなポーズをとった。


「何やってんだあんたら!」


 ベリンがツッコミを入れた。


「名前知らないけど村から来た」


 青龍は何故か変な動きをし始めた。


「ホントそれな~」


 白虎も便乗してダンスを踊り始めた。


「お前らは動かんと喋れんのか!!」


 ベリンがキレの良いツッコミを入れた。


「てか何でお前達襲われてたの?」


 青龍はベリンにそう質問した。


「わからない……」


 ベリンは顎に手をそっと置いてそう答えた。


「もしかしたら気晴らしとかかな?」


 白虎は人差し指を顎に当てて可愛いポーズを取る。


「今年は不作だったからな~」


 白髪で短髪のエルフの少年はそう言った、 瞬間その場にいる全員が悩み始めた。


「とりあえずここから移動した方がいいんじゃない?」


 白虎は青龍にそう提案した。


「そうだな!よし! ね――じゃなくて白虎! 道案内よろしくぅ!!」


 青龍は白虎に道案内するよう命令した。


「やだ!」


 白虎は青龍の命令を拒否する。


「はぁ!?」


「だって私もエメちゃん探したいもん!」


 白虎は頬を膨らませ子供の様に拗ねた。


「エメちゃん抱っこしていいから」


 青龍は白虎の耳元で囁いた。


「わかった! じゃあ行ってくるね!」


 白虎はとても嬉しそうに飛び跳ねた。


「ということで! 兵士を殺した奴ら以外は白虎について行ってね~」


 青龍の発言により白虎はエルフたちを自分の村まで案内した。


「白虎! 武器しまっとけ」


 青龍は大声でそう言うと武器を【転移】して動き始めた。


「さてお前たち1人ずつ名前を教えてくれ」


 青龍は近くにあった岩に座った。


「ベリン=センチピード」


「チェイン=スコーピオン」


 チェインは少しめんどくさそうな表情をした。


「トーゴ=タランチュラ」


 白髪で短髪のエルフの少年が欠伸をした。


「エリス=カブリモドキ」


 青髪で短髪のエルフの少年が地面に座る。


「オルキデア=マンティス」


 黒髪のロングのエルフの少年がクールにそう言った。


「さっきも言ったかもしれないけど俺はへ――じゃなくて青龍! よろしくな! 」


 青龍は勢いよく挨拶した。


「てか何で俺らを残したの?」


 チェインは青龍にそう聞いた。


「道中の護衛として使えるかな~と」


 青龍は笑顔でそう答えた。


「とりあえず、 俺をあの森まで案内してほしい」


 青龍が森林に指を指す。 すると、 エルフ達はギクッと驚いた。


「あそこには行かない方がいい!」


 チェインは顔を青くし冷や汗をかく。


「どうして?」


「あそこには()()()()が!!」


 トーゴは震えながら声を荒げた。


「中に入るのは俺だけでいい、お前たちは森の近くに人間がいるかどうか見てほしい」


 青龍が一礼して懇願するとエルフ達はため息をついた。


「それがもしさっきの兵士みたいなやつだったら?」


 オルキデアがそう聞いた瞬間、 青龍の背後に人影が現れた。


「その心配は無いよ!」


 その人影は麒麟だった。 全く気配が無かったため飛び跳ねた。


「蛇之、 お前せめて武器ぐらい渡せよ」


「さっき仲間にしたからねぇよ」


「仕方ねぇな~」


 麒麟は【転移】で武器を取り寄せた。 ベリンとオルキデアに鎌を2本づつ。 チェインとエリスに剣を2本づつ渡しトーゴに大太刀を渡した。 尚、 チェインとエリスの剣は形状が別々でチェインは細長い長剣、 エリスは刃が黒くフォルテ記号の様な形状のサーベルとなっている。


「あの~どこから見てたの?」


 青龍はジト目で首を傾げた。


「上からずっと見てたよ~」


「いや下りて来いよ……」


「それはさておき伝言だ、 黒い鎧の奴が森の近辺をウロウロしてたから気をつけろ」


 黒い鎧――恐らくトラウト王国の尖兵だろう。 ただ、 奴らが森を訪れた理由がわからない。


「それだけか? ()()()()とかは見なかったか?」


「近辺では見てないよ、 いるとしたら森の奥深くだろうな」


「そうか……わかった」


 青龍はグータッチの構えをとった。


「気を付けていってらっしゃい!」


 麒麟はグータッチをすると、 瞬間移動をした。


「行くぞお前ら!」


 青龍の号令により、 その場に居た全員は森に向かって走り出した。


「ここを真っ直ぐ行けば森に行けます」


 ベリンがそう伝えると青龍は頷き、 視認できないぐらいの速さでダイナミックに森の中へ入って行った。 エルフ達は青龍の速さに驚いていた。


(森の中って思った以上に綺麗だな……)


 そんな事を考えながら森の中を進んでいく青龍。


(気に入った植物があったら持って帰ろっと! )


 植物が大好きな青龍、 辺りを見渡しながら歩いていると前方に錆びた柵と汚れた看板が見えた。 その看板には「兄は……兄はどこに」と書かれていたが文字が化けていたので読めなかった。


(なんて書いてあるんだ? )


 変な看板を見て少し警戒した。


(入れる場所がないか探してみよう…)


 散策していると1つだけ穴が開いていてそこから入って行った。


「お主! 何者じゃ!」


 柵の中に入った途端、 怪物が現れた。 その怪物の特徴は上半身は腕が六本あり巫女服を着ている人間の女性の姿、下半身はアミメニシキヘビと言う蛇の姿だった。 全長約36m


「俺は青柳 蛇之! ここに金髪の女の子が来ませんでしたか?」


「その娘について話してやろう……ただし(わらわ)に勝てたらの話だ!」


 怪物はそう言うと、 頭部から龍のような角を二本出して、 上半身の皮膚と目を変形させる、 変形した皮膚は緑色の蛇の鱗に覆われ、 目は蛇眼となるが瞳孔は黒のままで角膜が黄色に変貌、 白目は爬虫類の鱗のような物になり色は緑色だった。


(お主から兄の匂いがする……まさか!)


 怪物は青龍を睨みつける。 即座に大鎌を【転移】した青龍、 静寂な森に緊張が走る。


「ああ……やってやるよ!」


 その刹那、 青龍は高く跳びあがり怪物に斬りかかる。 しかし、 短刀で防がれてしまった。


(いつの間に短刀を!!)


 彼が気づかぬうちに短剣を出した怪物。 一瞬で足を掴み投げ飛ばされ木にぶつける。


「ガハッ!」


 青龍は大量の血を吐き出した。


「遅い! お主の力はそんなものか! この世には数多の猛者がいるのだ! ほんの少しの間が命取りとなるぞ!!」


 怪物は青龍を怒鳴った。 まるで、 子供を心配する母親の様に……奴にとっては青龍はただの小僧に過ぎない。


「なんのこれしき……」


 青龍は立ち上がった。 彼を動かしてるのは義妹を探すという信念だ。


「ほう……」


 怪物は青龍の行動を窺っている。


(腹くくるか……)


 青龍は猛スピードで怪物を蹴り飛ばそうとした。 世の中うまくは行かない、 案の定防がれてしまったが体制を整え得物で斬りつけた。 上腕に切り傷をつけたが――


「なかなかやるではないか……だが」


 怪物は青龍の腹に空手の正拳突きを食らわせた。 威力が強すぎたため樹木が3本折れてしまった。


「まだまだ未熟じゃお主は……」


「内臓と肋骨がひしゃげちまったわ……」


 なんと、 重症の青龍が吐血しながら立ち上がってゆっくりと前に進んでいった。


(さっきから怪我が再生しねぇ……あいつ何らかの特攻を持ってるな……)


 生存本能で覚醒した青龍の脳は何らかの作戦を考えた。 その時、 ある事が脳裏をよぎった。


(よくわからんけど……これをやってみるか)


 青龍は自身の肉体を変形した。 その身体は頭部に龍のような角が二本生え、 皮膚は緑色の蛇の鱗に覆われ尻尾が生え爪も長くなった。 尾の先にハエトリソウの葉のようなものがついている。


「きっ――貴様!! それは兄様の能力だ!!」


 怪物は怒りを露わにした。 大切な兄の能力と酷似しているため激昂したのだろう。 次の刹那、 怪物が猛攻を繰り出す。 素早い身のこなしで全てかわした。


「今度はこっちの番だ!!」


 青龍は怪物に殴る蹴るの猛攻を加えほんの数秒だけひるませた。 その直後、 一定の距離を取る。


「『竜尾鉄槌(りゅうびてっつい)』!」


 青龍は尻尾を使って怪物の心臓を貫こうとした。 しかし、 殺してしまうという考えが脳裏をよぎり一瞬ためらってしまった。 怪物は綺麗にかわし青龍の尻尾を掴み叩きつける。 その衝撃で口から食道が飛び出し動かなくなった。 そのうえ、 変形した部分と露出した部位は煙を上げる様に徐々に灰となり元に戻る。


「うごけ……」


 かすかな声で青龍はそう言った。


「お主が! お主が!()()()()()()か!」


 怪物は怒りの形相を浮かべながら青龍に近寄り胸ぐらを掴んだ。


「データファイル()()……それを使っていいのは兄様だけだ!」


 怪物は青龍の首をゆっくりと絞め始めた。


「ごめんな……エメ……こんなお兄ちゃんでごめん……」


 青龍は微かな声でエメラルドに謝罪し、 涙を流しながら目をゆっくりと瞑る。 すると、 青龍の足元に緑色の魔方陣が出現した。 その魔法陣は時計のような形をしている。


「フェーズ……」


 青龍がそう呟こうとした次の瞬間、 奥から金髪の美少女が現れた。


「stop!」


 泣きながらそう叫んだその美少女はエメラルドだった。


「エメ……」


 青龍は彼女の姿を見た直後気絶してしまった。


「英国の娘よ……何故邪魔を」


 怪物はエメラルドにそう問う。


「だって……その人は……私の大切な家族なの」


 エメラルドはその場で泣き崩れた。 その光景を見た怪物は優しい表情を浮かべながら青龍を降ろした。 それと同時に吐血する。


(クソっ――寿()()か)


 怪物の体は徐々に灰となり崩れていった。


「すまない事をしたな……」


 怪物はメモ用紙を【転移】させエメラルドに渡した。 それには重要な事が記載されていた。


「いらない……こんな物いらないからお兄ちゃんを生き返らせてよ!」


「安心しろ……お主の兄はまだ……生きておる……」


 怪物は彼女の頭を撫でた。


「嘘じゃないよね?」


「誠じゃ……それとお主に頼みたいことがある……」


 怪物はエメラルドの涙を指で拭きとった。


「what?」


「私の力をお主に託す」


「ちょっと待って! どういう事?」


 エメラルドそう聞くが答えは帰って来なかった。


「残念じゃがもう時間じゃ……妾とお主はよく似ておる……それにあの小僧も兄様にとても似ておるわ、 あのみたらし小僧を頼んだぞ……さて……お主は未来の日本から来たようじゃな? 我が祖国日本は戦争で勝てたか?」


「さぁな……勝ってるといいな……翡翠……」


 青龍は満面の笑みを浮かべ眠りについた。 彼の中にいる何かがそう答えた途端、 怪物はハッとした表情を浮かべた。


「そうか……あの世で合おうぞ! お兄様!」


 怪物は満面の笑みを浮かべながら灰と化す。 奴がいた場所にはガイドストーンと注射針の付いた注射器が落ちていた。 そのガイドストーンには上半身は龍のような角が二本生え、 腕が六本生えた女性で下半身は蛇が書かれていた。 エメラルドはそれを拾い、 メモ用紙と注射器が落ちている場所にそっと置いた。


「お兄ちゃん大丈夫かな?」


 エメラルドは気絶している青龍の所に近づいた。 体内からグチュグチュと音が鳴る。


(大丈夫かな?)


 エメラルドは青龍の上着を脱がし胸に耳を当てた。


「全然聞こえない」


「お兄ちゃん! 起きなさい!」


 エメラルドは青龍を軽く叩くが眠ったままだった。


 *


「ここはどこだ……」


 何故か俺は誰かの部屋の椅子に座っていた。


「見てお兄ちゃん! お腹の子動いたよ」


 お腹が膨れているエメラルドがこっちに向かってきた。 何故か目が透き通った青色だった。


「どうしたの?」


 俺はエメラルドにそう質問した。


「ふふっ! どんな子が産まれてくるんだろうね!」


 エメラルドはそう言うと、 抱き着いてきた。


「元気な子だといいね! そしたら三人で静かに暮らそうね!」


 エメラルドは俺の額にキスをした。 その時俺は全てを悟った。


「お腹の子は俺の……」


「なに寝ぼけてるの? 私とお兄ちゃんの子供だよ!」


 エメラルドは嬉しそうだったが俺は違った、 何故ならとてつもない罪悪感が俺を襲ったのだ。


「どうしたの兄さんそんな顔して?」


 エメラルドは少し困った顔をした。 俺はどんな表情だったんだ。


 *


「お兄ちゃん起きて~」


 エメラルドが発言により青龍は飛び起きる。 眠ている間エメラルドはコロコロと転がっていため服が土で汚れていた。


「あら、 エメちゃんどうしたんですか?」


「コロコロしてた~」


「なにしとんねん」


「汚れたから服脱ぐね」


「こらこらやめなさい!」


 エメラルドは服をビリビリに破いた。 幸いな事に下着は汚れていなかった。


「寒い」


「でしょうね!」


「お兄ちゃん抱っこ」


 エメラルドは青龍に抱き着く。


「ハイハイ……エメちゃんは甘えん坊だね~」


 青龍はエメラルドの頭を撫でる。


「竜馬に着替え持ってくるように言えばよかった……」


 青龍は深くため息をついた。 この時、 更なる災難が近づいてる事を彼らはまだ知らない。


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