玄武and関雷雨VSトリスカ王国 part2
【転移】先はトリスカ王国の城門前――すぐに、 ガラナがメイス、 レモンがサーベルとピストル、 ルフナがコンパウンドボウと何十本もの矢が入った矢筒を手元に【転移】した。
「作戦通りにね!」
ジョーカー達が裏口に回るとガラナがドアを蹴り破り、 中へと入っていた。
「少し近道をします!」
ジョーカーがタックルで城壁をぶち壊した。 それを見た、 玄武とアーサーは唖然とした表情を浮かべ、 固まった。
「ここ戦闘民族しかいないのか!」
「もちろん!」
玄武のツッコミにダイヤが即答した。
「テメェら何者だ!」
中の雑兵が彼らに襲い掛かるが、 玄武が凍てつく戦斧で斬り倒した。 一行は走りながら王室へ向かう。 その時、 広場から黒色の火柱が立ち上がった――恐らく、 関雷雨の誰かの能力だろう。
「おー! 関心関心!!」
ダイヤが腕を組み、 立ち止まって窓を見つめた。
「早く行きますよ!」
ジョーカーがダイヤの頭を軽く手刀を叩きこんだ。 すると、 ダイヤが頭を押さえながらのたうち回る――思ったより力を入れすぎた様だ。
「お! 侵入者か!」
ラブリュスを担いだ巨躯の男がこちらに迫って来た。
「ここは僕に任せてください!」
アーサーがこの場を引き受ける様だ。 玄武達は先へと進んで行った。
「置いて行って大丈夫か?」
ダイヤが玄武にそう聞いたら、 「あいつなら大丈夫!」と自信満々に返答した。 出会って数時間で人を信頼できる彼も凄いものだ。 3人は玉座の間へとたどり着いた――そこは薄暗い美術館の様で、 一筋の自然光がスポットライトの様に玉座を照らす――何処か幻想的で心身が落ち着く場所だ。
「侵入者か……」
玉座に座っているトリスカ王国の王が3人を睨みつけた。
「陛下……お下がりください」
眼帯をつけた海賊服の男が、 サーベルを抜き襲い掛かった。 次の瞬間、 ダイヤが薙刀で横一文字に斬りかかる。
「流石、 関雷雨といったところか」
無論、 相手も一流の戦闘者――その攻撃を軽くいなした。
「やりがいがあっていいね!」
ダイヤは嬉しそうだ。 久々の強敵に満足しているのだろう。 その時、 玄武とジョーカーが動き出したが大量の伏兵が上から襲って来た。
「フェーズトゥー」
玄武の足元に水色の魔方陣が出現、 彼の姿を巨大なワニガメへと変えた。
『絶対零度』
彼の周りから極低温の冷気が噴き出し、 辺り一帯を氷漬けにしてしまった。
ジョーカーは別の部屋に退避、 ダイヤと海賊服の男が高く跳び上がり冷気を回避した。 因みに、 ダイヤは寒冷地に生息している亜人種なため、 冷気への耐性がある。
男の方は運が悪かった――なぜなら、 ダイヤがそれを狙っていたからだ。
「角度ヨシ! 逝ってヨシ! お前は44点!」
ダイヤが竹を割るかの如く縦に真っ二つに斬り裂いた。 奴は臓物を撒き散らしながら、 冷凍肉と化した。
「ちょっと失礼!」
ダイヤが玄武の鼻へ腰を下ろす。
(そこに座るなよ!)
玄武は強い鼻息を掛けて、 ダイヤを飛ばした。 彼女は素早い身のこなしで受け身を取った。
「終わりましたか?」
ジョーカーが2人にそう問うと、 玄武は軽く相槌を打つ。
「せっかくですし、 探索しましょう!」
「「いいよ!」」
玄武が姿を元に戻し、 2人について行った。 その際、 アーサーと麒麟によって【転移】させられたグラスが巨躯の男を倒していた。
「グラスさん! ありがとうございます!」
アーサーがグラスに深く頭を下げた――どうやら、 戦闘中にお互い自己紹介をした様だ。
「気にするな……」
「え? 誰?」
玄武がアーサーに声を掛けた。
「グラスだ……貴様が亀吉だな?」
「はいそうです。 なんで知ってるの?」
「あの金髪に頼まれてきたのじゃ」
”金髪„という単語を聞いて、玄武の脳裏に麒麟がよぎった。
「あー竜馬の頼みね……ありがとうございます」
「君らも探索に行くかい?」
ダイヤが2人に問うと、 互いの顔を見て同時に相槌を打つ。 全員で探索していると、 地下に牢獄を見つけた。 そこには、 鎖に繋がれ白骨化した骸が転がっていた。
「酷いな……」
玄武が魚類の苦い腸を食した様な表情を浮かべた。
「助けてください……」
奥の檻から、 か細い声が響き渡った。 そこには、 髪の三つ編みで真珠がついているティアラをつけていて白いドレスを着服した少女――そうジルコンが囚われていたのだ。
「待ってろ! 今助けてやる!」
『王水』
玄武が檻を溶かし、 彼女を連れだした。
「気味が悪いから早く出よう!」
玄武達は城から出て行った。 城門の前に4名が退屈そうに待ち構えていた。
「遅いですよ! 先輩」
ベリルが退屈そうに壁にもたれかかっていた、 隣に血まみれの鉋を持ったレモンがいた。
「あの~何があったの?」
ダイヤがレモンにそう問うと、 近くにあった背中の肉が削られた亡骸に指を指した。
「こいつが大喜利させようとしたから! 鉋で削ってやったんだよ!!」
どうやら彼女は、 大喜利が死ぬほど苦手な様だ。
「このお局怖い……」
玄武が聞こえないほど小さく呟くが、 聞こえていたようだ。
「ぶち殺すぞ!」
「おばさん怖い」
「ナメテンノカテメェハアアア!!!」
突然、 レモンが怒号を上げた。
「とても賑やかしいですね……」
彼女らの背後から女性の声が聞こえた。 すぐさま、 その場から距離を取った。
「何だこいつ……」
ベリルが獅子の様な戦闘態勢に入る。 そこに居たのは、 茶褐色のベースに黒い縞模様を持つ、 外ハネミディアムヘアーのセンター分け。 目は縫われているがその下は、 肉をくり抜かれたような穴がある――よく見ると、 鼓膜の様な薄い膜が張っている。
「はじめまして、 メルビレイ三銃士のイボタと申します……」
奴は胸に手を当て、 律儀に頭を下げた。
「あら? メルビレイの方が何の様で?」
ジョーカーが笑みを浮かべながら首を傾げた。
「我々の感知魔法に見知らぬ方々が入りましたので、 それを調べに来ました」
感知魔法とは、 目に見えないドーム状の膜の様な魔法で相手がどこにいるか感知できる。主に転移魔法で密入国して来たものを発見するために使われている。 規模が大きく、 国全土に張り巡らす事が可能だ。 しかし、 稀に感知されない者達もいるため過信はできない。
「侵入者は殺せ……それが我が国のルールなので、 ここで死んでもらいましょう……」
奴は懐からダガーを取り出し彼らに迫り寄る。 直後、 玄武が前へ出た。
「此処は俺に任せて……」
玄武は真剣な表情で戦斧を構え、 臨戦態勢を取った。
「なかなか面白そうな方ですね……私を退屈させないでください」
イボタの実力は今まで奴らとはレベルが違う――




