周辺国の今後の動き
―15時30分 晴れ 少し風が吹き始めた。―
麒麟が青龍、 玄武、 智和を会議室に呼び、 座って話し合いを行っている。 その中でも青龍はブルブルと体を震わせていた。
「寒い暖房付けて!」
青龍は口を上着の内側で覆いくしゃみをした。
「風邪ひいた?」
玄武が青龍にそう聞いた。
「いや、 寒いのが苦手なだけだから」
青龍はそう返すと席を立つ。
「エメちゃん抱き枕にしてたもんなお前」
智和が腕を組んだ。
「いいじゃん! 俺のなんだから」
「このシスコンめ!」
玄武が二やつきながらいじり始めた。
「シスコンで悪かったな!」
青龍が顔を赤らめツッコミを入れた。
「早速だけど本題に入るぞ」
麒麟が声を出すと3人は静まる。
「これを見てくれ」
麒麟が3人に資料を渡した。資料には場所と机や椅子などの配置の事だけが書かれていた。
「何これ? 宴会でも開くの?」
青龍は質問した。
「そうだよ~女の子には別の仕事を任せてるから」
麒麟がそう返答した。
「そういうことか」
智和は何かを察したようだ。
「じゃあパパっと終わらせてくるわ」
青龍が部屋を出ようとした瞬間、 麒麟が止める。
「追加注文で叔父貴から弁償代回収してきて」
麒麟がそう言うと青龍はグットサインをして会議室から退出する。
「お前らは先に始めといて」
直後、 2人は会議室から退出する。
「YATIRUさんPCだして」
「無理です」
それから数分後、 青龍がエメラルドを連れて会議室に入って来た。
「ごめん、 相殺してしまった」
青龍はしょんぼりとした態度で報告した。
「どして?」
「エメちゃんが……」
「エメちゃん何したの?」
「ドア壊した! やったぜ!」
エメラルドからは反省の色が全く見られなかった。
「何しとんねん」
「大変申し訳ありませんでした!」
青龍が深く頭を下げ謝罪する。
「まぁ俺が召喚した建築物、 全部再生するから大丈夫なんだけどね!」
「「なんやそれ」」
2人は呆れた表情を浮かべた。
「蛇之~竜馬いる?」
白虎が会議室に入って来た。
「いるよ~」
「買って来てほしいものあったら教えて!」
「蛇肉!」
「あるわけねぇだろ」
白虎は青龍の回答にツッコミを入れた。 因みに、 蛇肉は青龍の好物の一つ。
「じゃあ桜ユッケで! 後、 生卵も」
「はいはい……じゃあ行ってくるね」
白虎は即座に退出した。
「蛇之~1年ぐらい創作系の魔法使えなくなったからよろしく~」
麒麟は青龍にそう伝える。 これをきっかけに彼らは生活が少し不便になる。
「いいよー生活が少し不便になるけど想像力鍛えられるから我慢するよ」
青龍は気楽そうな態度を取った。
「と言いたいところだけど……生卵は食べれるよな?」
「その辺は大丈夫だから安心して」
いつの間にか養鶏場も作ったらしい――用意周到すぎる。
「あ! 設計図も作ればよかったな~」
麒麟は頭を掻きむしった。
「No problem! みんな頭いいもん! 」
「そう言う問題じゃないのよ……」
麒麟は冷や汗をかく。
「まぁ何とかなるだろう! んじゃ俺は仕事に行ってくる」
青龍はその場から立ち上がる。
「お兄ちゃん抱っこ」
エメラルドが両手を広げると青龍は抱き上げた。
「エメちゃんも重たくなりましたねぇ!」
青龍がボソッと声を漏らすとエメラルドが青龍の頬を軽く殴る。
「はいはい行きますよ」
青龍はエメラルドを抱えて会議室を出て行った。
*
一方その頃、 トラウト王国が滅んだ事に各国は国内で会議を開いていた。 先ずはトラウト王国の西側にある国、 ローバロ王朝では緊迫した会議が見られた。
「許せん! 友好国であるトラウト王国を……」
ローバロの王、 ジーバスは歯ぎしりしながら何度も机を叩く。 この王の特徴は、 中年太りで白ひげを生やし赤い服を着ている。 ローバロ王朝とトラウト王国は仲の良い方だ。
「まぁまぁ陛下、 トラウトが滅んだくらいでお怒りにならずに……」
白いミトラを被り、 緑色のキャソックを着服した、 ロン毛で細目の男がシーバスを慰めた。 この男はフェモラータと言い、 この国の司祭であり格闘家だ。
「陛下も援軍を送ればよかったのでは……」
フェモラータと同じく緑色のキャソックを着た筋骨隆々の褐色禿げの男が腕を組みながら不満を漏らした。 この男はバッファローと言い戦士長である。 因みに、 この国が援軍を送っていたら村は滅んでいた。
「と言うか今は動かない方がいいのでは? 内戦の事もありますしそれに北のトリスカからも連絡が途絶えていますし……それに……捕らえている関雷雨が脱走されたら何かと厄介ですし……」
緑色の修道女の服を着た茶髪ポニーテールの女が偉そうに王にそう提案した。 彼女はケレヴと言い、 女子修道院を設立した院長であり、 この国の冒険者ギルドの設立者でもある。
「もうよい! ケレヴ!!! 今すぐ奴らをぶち殺してこい!」
シーバスはケレヴにそう命令する。
「正気ですか! 今そのような事をすれば国内が!!」
ケレヴは必死に反発するもその声は届かなかった。
「うるさい! 今すぐ行かねば教会の修道女を皆殺しにするぞ!」
シーバスがそう命令するとケレヴは悔しそうな顔をしてその場を去った。
「バッファロー! 国内にいるパルチザンを皆殺しにして来い!」
バッファローも険しい表情でその場を去る。
「フェモラータ、 お前はマリーナとシャムナフトラに伝えろ……この国が滅んだら今すぐ例の村を攻め落とせと……」
この発言がきっかけで後に世界を震撼させる事件を引き起こしてしまう――
*
*
さて、 ローバロ王朝の同盟国であるシャムナフトラ王国では異世界人による会議が行われていた。 フードの無い灰色のローブを着服した白髪の老人が部屋に入った。
「皆揃ったか?」
老人が入った部屋は大広間となっており、 そこには6人の若い日本人の男女が座っていた。 男女比は、 男4人で女が2人。
左からの順に説明しよう。 茶髪で短髪の青い西洋風の鎧を着服した男が居る。 彼の名前は西川 健人と言う。 性格は熱血で独特の倫理観を持っている。
2人目は健人、 ウニの様なスパイクヘアーで灰色のパーカーと黒いズボンを着服した男で、 名前は由良 亮と言う。性格は好戦的で傲慢。身長は庸人と同じだ。
3人目は薄い茶髪のマッシュでオレンジ色のパーカーと茶色いズボンを着服した男で、 名前は高橋 恭太と言う。性格は大人しそうに見えるが実は残忍。身長は2人と同じ。
4人目は濃い茶髪のショートボブで服装は小豆色のテーラードと白いズボンを着服している女。名前は香春 姫奈と言う。 性格はわがままで自己中心。身長は3人よりも低い。
5人目は黒髪、 ストレートロングで黒色のチャイナ風トップスと黒いスカートとパンストを着服しており、 靴は黒色のスニーカーを着用した女。 名前は鴨嶋 霊子。 彼女は日本人と台湾人のハーフで出身地が島根。 性格は普段は臆病で優しい平和主義者。 しかし、 スイッチが入ると手が付けられない。
「揃ってねーよ、 ジジイ」
亮がやる気のない態度を見せた。
「誰と誰だ?」
老人は亮にそう聞いた。
「山崎 詠美と新海 鮎奈ですよ……」
恭太が亮の代わりに老人にそう答えた。
「先日、 トラウトが滅んだそうだ……」
「俺達には関係ないだろ?」
亮が舐め腐った態度でそう答える。
「いや……ローバロから援軍要請が入った」
「鮎奈を送らせればいいのではないだろうか!」
健人が威勢のいい回答をすると、 老人はコクリと頷く。
「そうだな……さて、 お前達には引き続き異世界人を我が軍へ、 勧誘してくれ」
「何であたしたちが勧誘しないといけないのよ! あんたたちが勝手にやればいいのに!」
姫奈は老人に文句を言うも老人は全く見向きもしない。
「俺には向いてなさそうだ!」
健人の発言に老人は驚いた。
「珍しいなお主が断るとは……ならば怪物退治に向かってくれ……ちょうど大型のイノシシが我が領内で暴れているそうだ」
「承知しました!!」
「城門に案内人を呼んでおいたからその者が案内してくれるぞ」
健人は飛び跳ねる様に立ち上がり部屋を出た。
「恭太、 亮、 お前達には引き続き領内にいる亜人の駆除を頼みたい」
2人は嬉しそうに部屋を出て行った。
「あの……駆除はやりすぎじゃなえかと……」
霊子はおどおどしながら老人にそう告げた。
「なぜだ?」
「だってあえつら何もしちょらんじゃん!」
必死に説得するも、 老人の耳には届かずそのうえ霊子は頬を叩かれた。
「ここでは私たちの意見が最優先だ、 口答えするな」
「あはは……そうですか……」
頬を叩かれた霊子は、 老人を睨みつける。
(こえつ理不尽すぎー!)
霊子は唇を噛みしめた。
「姫奈、 引き続きこいつと一緒に紛れ込んだ異世界人の勧誘を頼む」
老人は退出した。
「あーめんどくさ、 行くよ!」
姫奈と霊子も退出した。 その後、 新しく入った異世界人をローバロの援軍として送り付けた。
*
*
マリーナ法皇国では、 白鯨の惨劇を目の当たりにしたセンター分けボーイッシュの女騎士が1枚の写真を手に持ち、 城から街を眺めていた。
「おーい純子!」
金髪ロングの女騎士が彼女を呼ぶと振り返った。 そう、 彼女こそがやごーが警戒していた葛籠菜 純子だ。
「あら幸子、 どうしたの?」
純子が声をかける。 金髪ロングの方は桑原 幸子と言い純子の親友だ。 この2人は青龍たちと同じ世界線から来た者だ。
「トラウト滅んだってよ」
「なんで?」
「さぁ? 関雷雨にでも滅ぼされたんじゃね?」
「まぁ……そんな所ね」
この2人はトラウト王国の崩壊は眼中に無いようだ。
「それよりもセルゲイの奴、 また単独行動してるよ~」
幸子は退屈そうにそう伝えるも純子の方は軽く微笑んでいた。
「影武者でしょ? 本体は皇都にいるわ」
「それはそうと……あんた本気なの? 孤児院建てるの」
幸子は純子にそう聞くと軽く頷く。
「いいじゃん! 子供が好きなんだから」
「相変わらずだね……まぁそう言うところが好きなんだけど……」
幸子は呆れた態度を取る。
「本当はあの子たちにまた会いたいから」
純子は写真を眺めた。 その写真には、 緑髪の少年、 黒髪の少年、 金髪の少年、 白髪の少女、 赤髪の少女と、 その子らを満面の笑みで抱きしめる彼女の姿が写っていた。
「「失礼します」」
2人の女が純子を訪ねた。 1人は黒髪ショートボブのセンター分けで、 眼の色はシアンブルーのジト目。身長 180cm
もう1人はミドルポニーテールで髪と目は透き通った水色、 身長 185cm
2人とも、 共襟に黒字のXが描かれた白地で留め具が黒色のファスナーのロングコートを羽織っている。 ズボンと靴も白色だが、 紐以外は黒色。 腰に剣を拵えている。
「あら! アンとレイチェルじゃない? どうしたの?」
幸子は振り向き2人に話しかける。 黒髪の方がアンで水色の髪レイチェルと言う。
「例の件につきまして、お話がございます」
レイチェルは2人に何かを話し始めた――
*
*
さて、 マリーナの北東に位置する群島国家カナヒリア共和国では緑髪のショートカットの赤目で黄緑色の羽織と着流しを着た青年がススキ畑の中から青天を見上げていた。
「トラウト滅んだか~少し楽になったかな?」
青年は独り言を気楽そうに呟いていた。
「兄ぃこっちの世界に来てるかな~」
彼がそう呟いた瞬間、 胸に赤色でXが描かれたサーコートと白いマントを着服した白髪の低身長の男エルフとその部下と思わしきに男2人が青い盾と剣を持ち、 青年に近寄った。
「おい!! ここから出ていけ!!」
青年が3人に警告するも一歩も引かないためススキ畑の中から大量のキリギリスが跳び出しセルゲイの部下2名に襲い掛かり無力化した。
「お前が青柳 藪螽蟖……いや……臨界の藪螽蟖!」
そう、 この男は交通事故で亡くなった青龍の弟だ――運よくこの世界に転生したのだろう。 さぁ2人の戦いが幕を開ける。




