トラウト王国VS関雷雨 part1
――1月2日 午前 8時00分 晴れ 心地のいいそよ風が吹いていて爽やかな気分になれる――
パストが3つのトランシーバーを地面に置いてその場に座り込んだ。
「じゃあみんなお願いね!」
パストはそう囁くと微笑みを浮かべた。
「お待たせ」
シルバーがパストの背中にもたれかかる。 この2人はこちらの世界でも仲が良い。
「あら竜ちゃん」
パストは嬉しそうな表情を浮かべながら振り向いた。
「もう終わった?」
「まだだよ~」
2人は楽しそうに笑う――その頃、 関雷雨の討伐に向かった騎士団は、 沢山のテントを張り野営地を構えていた。
「何!? 陛下と連絡が取れないだと!」
兜を被った男が椅子に座って猫を撫でながら1人の兵士に向かって言い放つ。
「くだらない私はもう行きます……」
美形の男がその場から歩き去る。
「おい待て! 話はまだ!」
兜の男は立ち上がり美形の男を止めようとしたが、 彼は聞く耳を持たなかった。
「さぁ鮮やかに!」
美形の男が剣を抜く。 すると、 剣先から関雷雨の服を着用した女が急に現れた。 刹那、 手に持っているハルバードで首を刎ね飛ばした。 その女の特徴は、 目と髪は茶色のおさげ。 身長は175cm。 ハルバードは色が緑色の三日月型の刃で槍も鋭く尖っている。 コードネームはロゼッタ
「生物型核兵器……ティンダロスの猟犬だと……」
兜の男がそう呟くと撫でていた猫が急死した。 同時に、 男は何者かに後ろから爪の様な刃物で心臓をえぐり取られた。 それを見た兵士達は腰を抜かした。
「ねえ終わった!?」
ロゼッタが誰かにそう問うと――
「終わったよ~」
死体の後ろから関雷雨の服を着た、 目と髪が薄紫色のアホ毛が生えたショートヘアの女が出てきた。 指に鉄でできたミニナイフと同じ長さの猫手がはめられていた。 身長は茶髪の女と同じくらいだ。コードネームはリゾット。
「他のみんなは……」
リゾットが怯える兵士の耳元で「みんな死んじゃった」と囁き首を掻っ切る。
「終わったよ~」
リゾットが手を振りながらロゼッタの元へ向かった。
「もしもし! ロゼッタちゃんそっちは終わった?」
ロゼッタのポケットからパストの声が聞こえた。
「うん終わったよ」
「なんて!? 聞こえない!」
「あっそうだった」
ロゼッタはポケットからトランシーバーを出した。
「ごめんごめん! でどうしたの?」
「そっちの方はもう終わった? 追加の頼みがあるの!」
「何々!?」
「死体を一ヶ所に集めてもらいたいんだけどいいかな?」
「いいよ! 何ならもう集め終わってる!」
ロゼッタはトランシーバーを切った。
「ねえねえロゼさん」
リゾットが水晶玉をテントの中に投げ込む。 すると、 テントの中が一瞬だけ光を放った。
「リゾット~何してるの?」
ロゼッタは首を傾げた。 リゾットはテントの中に入り豆粒サイズの水晶玉を見つけた。 テントの中は錆びた金属みたいな臭いで立ち込めており、 辺り一面に赤黒い液体が飛散したかの様なシミができていた。
「やっぱ死体じゃないとアップデートできないみたい」
リゾットは呆れた表情を浮かべた。
「過去ちゃんに報告して本部に戻る?」
「連絡して帰ろ」
リゾットとロゼッタはパストに連絡してから【転移】で本部に戻った。
「人間の死体でアップデートね~ちょっともったいないことしたかな?」
パストは首の無い死体に腰を掛け退屈そうな表情で赤黒く染まった川を眺めた。
「ほっといたらすぐ出るから」
シルバーがパストの隣に腰を下ろす。
「きさま……一体何を……」
後ろから黒いフルプレートを纏った筋骨隆々の男がパストに声をかけた。 次の刹那、 パストが蹴りで首を刎ね飛ばした。 男が倒れると素手で鎧を貫き心臓をえぐり取った。 何事も無かったかのように死体に腰をかけ、 心臓をリンゴを食べる様に食した。
「お腹すいてきた」
「いい店紹介するから一緒にランチしよ?」
パストがシルバーにそう聞くと軽く頷いた。 心臓を食べ終えると2人はその場を去った。




