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ほのぼの

 ――1月2日 午前6時00分 晴れ 1月なのに日の出が早い――


「あー良く寝た」


 ノワールが起き上がり辺りをキョロキョロと見渡した。 ブロンがいなくて下着姿のシルバーが寝ていた。


「おはよう……この姿で寝てたの?」


 シルバーが起きてノワールの服を軽く引っ張る。


「いや寒いから」


「寒がりなんだね!」


 シルバーが欠伸をして、 布団に潜る。


「はぁ……歯磨きしてくるね……」


 ノワールがその場から【転移】した。


「ただいまー」


 入れ替わる様にブロンが疲れた表情で帰って来た。


「おかえりどうしたの?」


 シルバーが首を傾げる。


「黒百合がまたやりやがった! そのせいで報告が~」


 ブロンが焦った表情でジタバタすると、 シルバーが首を傾げた。


「ブラックホール?」


 シルバーが首を傾げるとブロンは頷いた。


「まぁ……金銭と資材がほとんどなかったから何とも言われなかったからね~」


 ブロンはベッドに座った。


「この後どうする?」


「宿代払って朝ごはん食べに行こ……」


 シルバーが起き上がり着替えた。 それと同時にノワールが帰って来た。


「じゃあ私行くね!」


 シルバーが【転移】した。


「おい黒! またお前やったな!」


 ブロンがぷくーと頬を膨らませた。 2人っきりになるとお互い、 ”黒”、 ”白”と呼び合う様だ。


「ごめんごめん」


「まぁ町だけだったからいいけど」


 ブロンは後ろを振り向いた。


「ただいま」


 シルバーが顔を赤らめて帰って来た。


「どうしたの?」


 ノワールが首を傾げた。


「過去ちゃんの仕事手伝う事になった!」


 シルバーはペコペコしだした。 パスト、シルバー、ノワール、ブロンは転生前から仲のいい友人だった。


「ほんと、 過去の事好きだな……」


 ノワールが呆れるとシルバーがルンルンで手招きをした。 2人は首を傾げた。


「久々にま(・)と(・)も(・)な料理が食べられるね!」


 シルバーは嬉しそうだった。


「まあね……」


 ブロンがノワールを見ながら薄ら笑いを浮かべた。


「虫と激マズはもう勘弁……」


 ノワールはため息をつく。 そうこうしているうちに、 3人は食堂につく。 食堂はファンタジー世界定番の酒場みたいだ。 厨房には料理を作っている女性と奥の方でメガネをかけていて緑のジャージとブルーのジーンズを着た男がホワイトシチューを食べている。 3人は手前の席に座りメニューを眺めた。


「僕、 時間無いからシチューにするね!」


「他にいいのなさそうだし……ユリもそれでいい?」


 ノワールがブロンにそう聞くとブロンは頷いた。


「すみませーんシチュー3つお願いしまーす」


 ノワールが店員を呼ぶと厨房から女性の声がした。


「本部今、 虫し(・)か(・)無いから向こうで食べたくない……」


 ノワールが疲れた表情を浮かべた。


「あいつ何で虫しか持ってこないんだろうにぇ! たまに川魚持ってくるけど……」


「お待たせしました!」


 女性がホワイトシチュー三つを円形で大きめのお盆の上に載せて持って来た。 ご丁寧に木製のスプーンが三つ付いていた。


「おいらコレ!」


 ブロンが子供の様にはしゃいだ。


「どれも同じでしょ」


 ノワールがため息をつき呆れた表情を浮かべる。 その様子にシルバーはクスクスと笑う。


「いただきます!」


 ブロンが勢いよく食べ始めた。


「ねぇ竜(りょう)この後どうするの?」


 ノワールがスープを飲みながらシルバーにそう聞いた。


「僕は過去ちゃんの手伝い、 2人はご自由に」


 シルバーが緩い表情をする。


「ご馳走様!」


 ブロンが食事を終える。 ブロンの口の周りに白い液体がついていたのでノワールがポケットからハンカチを取り出しブロンの顔を拭く。


(親友なんだけど……姉妹に見えるんだよね~)


 シルバーが気楽そうな表情でシチューを食す。


「なぁ黒百合、 面白いもんはいってるにぇ」


 ブロンがそう言うと、 ノワールが自分のシチューをスプーンで掬う。 すると、 コガネムシの幼虫が出てきた。 それを見た瞬間シルバーは口からシチューを噴き出す。


「ごちそうさま……」


 3人は会計を済ませ宿を出た。 会計中、 女はクスクスと笑っていたためノワールは怒りの表情を浮かべ女を睨みつけた。


「あのアマ!! 消し炭にしたるわ!!」


 ノワールがオリーブと同じサイズの『干潮の渦(ブラックホール)』を投げつけようとしている。 それを、 ブロンが慌てて止めている。


「黒! 落ち着けぇ!」


「僕行くね~」


 シルバーがその場で【転移】した。


「おい! 待てぇ!」


 その後、 ブロンの説得であの宿屋は消滅しなかった。


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