番外編 流の大切な物
番外編 流の大切な物
です。読んで頂けると嬉しいです。
上海について皆で話した夜、流達釣りに向かうグループと、心達のグループとで別行動をする事が決まった。
その後、流が荷造りをしていると友子がやって来た。
「流、釣りに持っていくのはどういう物なの?見せて〜」
「なんだぁ友子。そんな事に興味があるのかぁ?
別に普通のものだけどなぁ」
「いやいや流!もう既に普通じゃないよ。
すっごく大きな釣り針だねぇ。
こんなの見たことがないよ」
「そうかい?俺はいつもこれ使ってるからなぁ。
珍しいものとは思わなかったよぉ」
友子に見せたあと、人の手位の大きな釣り針と太い糸を流は丁寧に釣り竿と一緒にしまう。
自分の道具を大切にしまう様は、まるで自分が山へ向かう時の支度のそれと重なり見ていて心地よかった。
友子はふと気になっていたことを流に尋ねてみた。
「ねぇ、流はどこの生まれなの?どうやって治助様と知り合ったの?」
「うん?俺は小田原生まれだよ。
漁師町で育ったんだぁ。小さい頃から神の声を聞いてたんだが、周りにそんな奴がいなくてなぁ。
話があわないから、ずっと釣りばかりしてたんだよう。ある時でっかいカジキを釣って市場に持って行ったら治助様がいた。
そこで俺と一緒に仕事がしたいと頼まれたんだ」
流は友子にこれまでの事を話した。
「友子、あんたは何だか不思議だなぁ〜」
「うん、何が?」
「俺はあんまり自分の事を話すのは好きじゃないんだよぉ〜
なのに、あんたには聞かれても嫌な気がしなかった」
「そっか。なんでだろうねぇ。私も流といても不思議な位気持ちが落ち着くよ。もうずっと前からいるみたいに」
「ああ、それは俺もだよう。不思議だな……」
二人は不思議な縁を感じていた……
「うん?流、その服は何?」
「お、これかい? これは宮爺にもらったんだよう」
流が荷物の中から取り出した。
赤い長袖Tシャツと白いシャツとブルージーンズ。
どう見ても友子達のいた世界の物だ。
「これは平松の宮様が友子達のいた世界から、買ってきた物なんだ。
平松の宮様が言うには、友子達の世界で釣りの神様と崇められている方の、服装だそうだ。この麦わら帽子を被って、草履を履けばバッチリなんだ。
確かにこの服装にしてから、釣りの腕も上がったんだよう。今では宝物なんだ〜」
流は友子に笑顔で話した。
(ええっと。多分この服装、漫画をほぼ読まない私でも知ってる、あのキャラクターの服装なんじゃあ……
宮爺、どこで勘違いしちゃったんだろう。
これじゃあコスプレかも……)
「そ、そうなんだぁ。良かったねぇ」
「ああ、平松の宮様には感謝しているんだよお」
「そっかあ!」
(まぁ、漫画のキャラでも、釣りが得意なのはその通りだし。ある意味神かな。いいか、流喜んでるし)
友子がそう納得している所に心がやって来た。
「なになに、流。〇〇〇〇平みたいな服だねぇ。
コスしてんの〜」
(まずっ!)
友子が慌てて流をみる。
流が不思議そうに心に聞いてくる。
「コスってなんだぁ?」
(わあ~バレるっ。心、変なこと言わないでぇ!)
友子が懸命に心に目配せをするが、心は気がつかない。
「うん、尊敬しているキャラを真似るものかなぁ?」
「それならそうだぁ。友子達の世界で釣りの神様と崇められてる人の服装だそうだから。平松の宮様がくれたんだぁ」
そこまで聞いて、初めて心も全てを察した。
友子をみると、残念そうに頷いている。
「流、じゃあ大切にしなね。私達はこれで……」
友子は心を連れて部屋を出た。
「ちょっと友子〜、なんてこと!」
「そうなんだよ心!きっと平松の宮様も、漫画を読んであまりの凄さに、神技!って思ったんだろうね。
今更、本当のこと言うの二人に気の毒だし……」
「そうだね、もう黙ってよ。」
この事は暫く、二人だけの秘密にする事にした。
次回の投稿は10月21日(水)20時です。
よろしくお願い致します。




