54話 豆助、皆と紅のことを考える
54話 豆助、皆と紅のことを考える
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「そうか、月河王がそんなことを……」
豆助とまるちゃんの話を聞いて、皆が少しの間黙ってしまう。
暫くして、まるちゃんが重い口を開いた。
「上海にいる時に感じた空気が変わった感覚、それがこんなことだったなんて……」
「なんで、紅がこんな目にあうのだ。今は大丈夫なんて関係ないぞ。紅の中にそんなものがいるのが嫌なんだ!」
豆助は泣いている。悔しくてしようがなかった。
(ずっと一緒だったのに何で紅だけが。自分だったらよかったのに……)
「豆助、自分を責めちゃいけないよ。
悪いのは中にいる者で、誰も悪くはないんだ」
治助がそう言い、豆助をそっと抱きしめた。
「そうだよう〜豆助。大丈夫だ。絶対に俺達が紅を助けるんだからなぁ〜」
流がそう言うと、豆助は涙を拭いて皆を見て頷いた。
皆はより詳しく話し合いをする為に船内に入った。
「じゃあ、あらためて考えてみようぜ」
まるちゃんが言うと、まずは加羅様が不思議そうにしながら言った。
「感じたのは使役達のみだ。何故に我や心達、特に松江さえも感じることはなかったのじゃ?」
「加羅様の言う通りなのよ。何で雅達だけ分かったのかな?」
流が雅の頭を撫でながらこう言った。
「まるちゃんや雅は、人と神の間を繋ぐ者だぁ。
神の力を授かり人に仕える、使役の役割を持つ者。
だから小さな人の異変にも気が付くことが出来たと思うんだよう〜」
豆助が流をじっと見る。
「じゃあ、どうやって紅を守ればいいんだ?」
「まずは月河王の言う通り、紅を不安な気持ちにさせないことだろうな」
まるちゃんはそう言い、雅も頷く。
豆助もそれを聞いて考えてみる。
(今までわっちと紅は、心様の側に入れれば幸せだった。だけど最近は違う。
わっちは流と一緒に他の世界をみたくなった。紅はどうだ?
紅は心様と一緒の世界を見たいと思っている。それは悪いことなのか?いや、そうじゃない。
心様が天女楼にいない間、わっちより少しだけ愛想のない紅に、花魁姉さん達のいじめが集中した。
それが心の傷になっているんだ。だったら……)
「紅は心様の元で、しばらく一緒にいろんな経験をする事がいいと思う」
豆助は皆にそう言った。
「そうかい。豆助がそう言うならそれが良いんだろうな」
「じゃあ、雅ちゃん。頼めるか?」
「分かってるのよ。まるちゃん。早速今から飛んで、孔ちゃんに伝えてくるのよ〜」
そう言うと、雅は相思鳥の姿になり、
心達のいる方向へ飛んでいった。
「雅〜!紅のこと、よろしく伝えてくれ。頼むぞ〜」
豆助は必死に大きな声で飛んでゆく雅に向かって叫んだ。
雅はくるりと空で一周すると、遠くに飛んでいった……
(雅、頼む……)
皆が空を見ながら思っていた。
◆
「さあ!先ずはえりのドレスを作っていくよ。健さん!」
「おお、この着物を合わせるのはどうかい……」
「良いねえ!じゃあ、ここには刺繍を入れようか」
二人があれこれ話しながら、えりのドレスを作っていると……
「心様〜!」
雅が相思鳥の姿で飛んできた。
「孔ちゃん、孔ちゃんはどこですか?皆にもお話があるのよ〜」
雅が必死で訴えていた……
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次回の投稿は10月14日(水)20時です。
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