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早死して転生したアラフィフですが、異世界の江戸では人生愉快痛快です』  作者: 藍紫
第六章 異国への旅 準備 しん国編

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47話 平松丸と加羅様、乗っかってきた二人

第47話 平松丸と加羅様、乗っかってきた二人

を投稿します。よろしくお願い致します。

爽やかな海風の中、船は順調に航海を進めていた。

四人は仕事の合間に、平松の宮に船を案内してもらっう。


「今の時代だと蒸気船かと思いましたが、平松丸は帆船でありんすね」

心は平松の宮に聞いてみた。

「これは商船だから荷物が沢山積める帆船の方が良い。平松丸はカティサーク並みの高速帆船じゃしな」

「うわぁカティサーク!ウィスキーのラベルの船でありんすな!」

お酒好きの心は思わず反応する。


「この船、びっくりするくらい揺れないし、不思議なくらい波が穏やかね。風もずっといい感じだし。

こんな船、あたし初めてだよ」

友子は首を傾げている。


「うん、それはこの方のお陰だな」

いつの間にか平松の宮の隣に、小さな男の子がいた。

手足に金のバングルをつけ、派手なトラ柄の着物。

くるくるのくせ毛、緑色の髪。瞳は金色でいたずらっ子のような顔の子供。

「この方は風神様の弟子で、加羅様じゃ」

「まぁ、何て可愛らしい!」

えりが思わず呟くと、

「子供じゃないぞ。我は300歳、おまえらよりずっと年上じゃ」

加羅様は小さい手を上げて反論するが、その姿も可愛い。

「ごめんなさい。あまりにも可愛いから」

「仕方がない。可愛いは我の特権ゆえ」

「加羅様に海風のコントロールをお願いしている。

だから船は進むし、波も甲板には届かない。帆を調整する水夫も、もし落下しても浮くようになっている。海にも落ちない。加羅様には皆、感謝しているのだ」


「我、可愛いのに凄いだろう?」

加羅様が胸を張り、鼻高々になっている。その後ろで宮様が盛り上げて!とゼスチャーしている。

「本当だ、加羅様凄いねぇ〜」

「可愛いねぇ〜」「偉いね〜」 

と皆で褒めてみる。

「加羅様、いつもその服なの?」

心が加羅に聞いてみる。

「そうじゃ。我は風神様の弟子だからオマージュしておる」

「お礼に今度トラ柄の新しい服作りますよ」

「後でおやつもあげますよ」

可愛いもの好きの心と松江は可愛がりたくてたまらない感じになっている。

「おお!うん、楽しみじゃな!」

加羅様は当然、という顔だがかなり嬉しそう。

何せ旅の安全は、かなり加羅様にかかっている。

「まだ子供だがよろしく頼む」

大国主命様から頼まれた風神様が、多忙な自分の代わりに加羅様を遣わしてくれた。

(神の300歳はまだまだ子供か……いやはや、皆に紹介してよかったわ)

加羅様の扱いに苦労していた宮様は、少しホッとした。


見上げると、水夫達が忙しく帆の管理をしている。

「うん?頭にヘルメットしてるね。滑りにくい手袋も」

「さすが友子様、目が早いの。

これだけはそなた達の世界のものじゃ。

外に漏れぬよう、船員を専属で雇い、内密に使用している。安全が高まるので甲板の水夫達にも好評でな」

「まずは皆の安全第一なんですね。」

友子も皆もこれには感心しきりだった。


甲板を歩くと、まるちゃんと桜雅コンビがいた。

「今日もよく乳をだしたな。偉いぞ」

「コッコちゃん達も、玉子をちゃんと産んだのよ〜」

「何だかお世話が楽しそうね」

三人を見て、心も嬉しくなる。


「これは源外先生発案の、菜園じゃ。船上で育つ野菜!凄いことじゃ」

見ると、一面の鉢植えに緑が育っている。

「これは異国から仕入れた二十日大根だ。名の通りすぐに育つ。船内には暗所で育てるもやしもある。共によく成長しているよ。肥料も動物達が出してくれる。何より塩気のない風をくれる加羅様のお陰だよ」

「うん。源外、我に感謝せい!」

「……上からだな。でも可愛いし神だからなぁ」

源外先生はちょっと納得いかなさそう。


「まる、お前も我を可愛がれ」

「うん……まぁ可愛いけどよ」

加羅様は皆に可愛いと言われ、大満足だった。


すると突然、甲板の隅から声がする。

「こいつらいつ入り込んだんだ!長崎で降ろすか?」

見ると、女の子二人がそこにいた。

「豆助、紅!なんでここにいるんでやんす?」

心花魁の禿の豆助と紅が水夫に捕まり、縮こまっている。

「心花魁〜」

「留守番はもう嫌でやんす」

二人とも泣いている。

「二人はわっちが留守の間、松竹亭に行ってもらってましたが」

「うん、食事の作法や行儀見習いも兼ねてね。仲居の輝がちゃんと面倒見てる……って今、ここにいるけどさ」


二人はまだ泣きじゃくっている。

「きっと心がいなくて、寂しかったんだよ」

友子が二人の頭を撫でながら言う。

「「心花魁〜」」

二人はそう言って心にくっついて泣き出した。

「……しようがないですね。

じゃあ二人は加羅様のお相手と、源外先生と植物の世話をして下さい」

「あい」「分かったでやんす」


すると早速加羅様が二人に話しかける。

「おい、お前ら双六は知ってるか?」

「知ってる」「わっちは強いぞ」

「お!じゃあ早速やるぞ。我は負けん!」

三人は船室に向かった。


「加羅様のちょうど良い遊び相手ができたな。本当は爺と孫だが。これは大切なお役目だ。

二人にはぜひとも居てもらおう。

そうだ、確か治助は二人と仲がよかったな。

神のことなどは、治助から上手く話してもらうかの」

「平松の宮様、ありがとうございます。」

心は平松の宮の配慮に心から感謝した。


……その夜、心はまだ皆の健康管理に忙しく、豆助、紅とゆっくり話す時間が無かった。

「わっちはもう寝る。紅も心花魁を待ってないで、もう寝るんだ」

豆助はさっさと寝てしまった。

「わっちはもう少し、待ってみる。

心花魁と少しでも話したい。だって寂しいんだ」

紅は寂しい気持ちが抑えられず、ずっと心を待っていた……


◆


船底の誰も知らない黒い塊。

そのずっと上の場所に心と豆助、紅の部屋があった。


紅が寂しいと呟くたびに、黒い塊は周りにある黒い霧を吸収して、ほんの少し大きくなっていった……




































紅〜!


次回の投稿は、 9月21日(月)20時です。


※スピンオフの天子ちゃんの旅物語も投稿中です。

「お疲れなアラサー着物女子、推し活旅で推し友の神対応に癒された件」


ここまで読んで頂き本当にありがとうございます。

皆様の日々のちょっとした楽しみに。読んで少しだけ心が軽くなってもらえたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願い致します。

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