46話 異国への旅立ち
すいませんお時間早めですが、第46話 異国への旅立ち を投稿致します。
読んで頂けると嬉しいです。
海は穏やかで白波がキラキラと光り、すじ雲が空高く見えている秋晴れの日。心達は潮の香りの中、神々の決めた出発の日に合わせ、船に荷物を積んでいく。
「保存食は船底に。あとは孔ちゃんが管理します」
「その干物は早めに出すから、船底の手前に置いてなぁ」
「薬は薬効順にちゃんと分けてね」
松江は食糧、流は魚の干物を、友子は薬の積荷を整理していく。
「流はまるで前からいたみたいだね」
友子が笑顔で言うと、
「旅は道連れだからなぁ。特に今回の旅はみんな仲間だからさぁ」
流も白い歯を見せ微笑むと、テキパキと積み荷の指示を出していた。
「お前ら、船は怖くないぞ。俺がちゃんと世話してやっから。よくお乳を出すんだぞ」
「いい子にして卵を沢山産むのよ〜」
「ほお、まるちゃんと桜雅コンビが船に乗せると全く暴れないね。」
「治助ちゃん、だって雅達はおしゃべりしながら連れていくの〜」
「そんなことも出来るのかい。皆凄いね」
「ヘヘ、まあな!」
人型の三人に初めてあった治助は感心しきりである。
心とえりはそれぞれ自分の荷物を船室に持っていく。二人は治助様からのアドバイスで荷物は最小限に……はできていない。
「だって、この着物には絶対この帯と髪飾りがいいんでありんす!」
「もし、現地で調達出来なかったら心配だし。」
「あんた達って、前世も旅行の時に荷物を沢山持ってきてたよね……でもまぁいいんじゃない?
二人にしては大分減らしてるよ。
友子みたいに旅慣れてはいないしね」
松江が笑いながらそう言った。
こうして、全ての積み荷が船に運び終わったのは、空と海が綺麗な茜色に染まる頃だった。
「皆、ご苦労だった。明日出発するがこの船は特別に神々の加護を受けているので、安全な旅になるだろう。異国では大国主命様繋がりで、異国の神が守ってくれるそうだ」
「異国の神ですか?それは一体どの様な方々であろうか?私は知っとる方々かなぁ……」
平川源外先生は、好奇心が止まらない様子。
「源外先生、しん国辺だと祖神というお方のようだ。また行先の神々がおられる」
「ああ!祖神は書物で知っておりますが後は存じません。どんな方々か楽しみですなぁ」
源外先生はうっとりと妄想し始める。
「そんなに沢山の神々の加護を受けるなんて、大国主命様は太っ腹ですね」
「友子、そんな神様に太っ腹って!まぁ、そうだけどさ」
(えり、心の中、ダダ漏れてるよ)
心がそう思っていると、平松の宮様が真面目な顔で話し出す。
「いや、そうなんじゃ。今まで随分異国に行ってきたが、こんなことは無かった。それだけこの旅に対する神々の期待は大きいのだろう」
「……」
辺りはすっかり暗くなり、空気が冷たく感じる……
皆はあらためてこの旅の重要さを思い知らされ、静かになった。
「でもさ、皆で力を合わせたらきっと何とか出来るよ!ね、みんな!」
心がそう言うと、自然と皆が集まってきた。
心、松江、友子、えり、理央、まるちゃん、孔ちゃん、美桜、雅、流、源外先生、治助、そして平松の宮。
そして皆、何も言わずに深く頷いたのだった。
神々の決めた翌日は、正に秋晴れの、波が穏やかな日となった。
「それでは!出発なのよ〜」
桜雅コンビの可愛らしい声に合わせて、船は動き出した。
さすが加護を受けた船、港から近海に向かってするすると船は進んでいく。
「こんなに揺れない船は初めてだよ。皆、良かったねぇ。では流、打ち合わせしようか」
「そうだねぇ〜」
治助と流は狙う魚の打ち合わせを始める。松江は食事の支度。友子は心と源外先生と一緒に船員の健康チェック。まるちゃん、孔ちゃん、桜雅コンビは家畜の世話。平松の宮とえり、理央は行く先々の王族との外交の打ち合わせと、皆忙しく動いていた。
心達も、特に気の流れに敏感な松江でさえ、その気配に気がつかない。
皆がテキパキと忙しく動いている正にその時……
誰も立ち寄らない船底では、とても小さな黒い霧が渦を巻いていた。
それは大きさは違えど、山奥で渦巻いていた黒い塊と同じ性質を持つもの。
黒い塊はとても暗く重い気を宿し、周りの何かを吸収しながら少しずつ大きくなっていく。
船が加護を受けているにも関わらず、
黒い塊はずっと不気味にうごめいていた。
次回の投稿は 9月20日(日)20時です。
シルバーウィークなので投稿を少し早めます。
お楽しみ頂けると嬉しいです。
*明日、9月19日(木) 7時、スピンオフのお話
第二話 「お疲れなアラサー着物女子、推し活旅で推し友の神対応に癒された件」
を投稿致します。良ければお楽しみ下さい。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。皆様の日々のちょっとした楽しみに。
そして心がふわっと軽くなってもらえたら嬉しいです。




