37 転生のあれこれと、まるちゃんの交渉
37話 投稿します。読んで頂けたら幸いです。
「今から二十数年前……何かの拍子にこの世界と心、松江、友子、えりが住んでいた世界が交わった。
まさにその時死んだ心が、こちらの世界へ転生した。そして心と関わりの強い三人も転生した。それぞれ死んだ時期は異なるが、こちらでは同じ年に生まれたのだ」
稲荷様は続ける。
「異世界からの転生者は、さほど珍しくはない。だが関わりの深い者が同時に転生するのは初めてじゃ。
大国主命様は、この転生者が日の本にとって重要な役割を持つ事が分かっておられた。
そこで神々は四人を見守る使役をつけ、その後平松の宮にも、互いに知り合う機会をつくらせたのじゃ。」
孔ちゃんは少し不思議な顔をしている。
「あの稲荷様、確か友子様の使役、美桜と雅は不死鳥で異国のものかと思っていたのですが……」
「ああ!あれはな、その頃に行われた世界神サミットの後に、宴会があっての。大稲荷様が『使役が足りない』と話していたら、意気投合して飲み友になった不死鳥様が、『私が近く生まれ変わる時に、私の力を少し分けて丁度良い使役を授けますよ!』と美桜と雅を友子に遣わしたのだ」
(そんな軽いノリで……)
思わず、美桜と雅の誕生の秘密を知ってしまった孔ちゃんとまるちゃんだった。
「それから、四人と使役のお前達、平松の宮は力を揃えて、帝の御心の安定を見事成し遂げたな。
大国主命様と大稲荷様は、あの四人が日の本にとって更に重要なこと、例えば不治の病の概念を変える力を持っていると考えておられる」
「なるほど。すると神々は、四人にとって更に力になる結婚だったら、認めて下さるのでしょうか」
孔ちゃんが稲荷様に問う。
「そうとも言える。だから私は力を貸すが……」
「そ、それは……」
まるちゃんが緊張しながらも、話し出した。
「稲荷様、それは違うんじゃないですか?役に立つから力を貸すって、そういうものですか?
理央ちゃんはあんなに大切にえり姫様を思っているのに……」
まるちゃんは悔し涙を流している。
「まるちゃん……。
そうですね。私もそう思います」
孔ちゃんもまるちゃんに賛同した。
(まるちゃん、孔も神々の言い分には納得いきませんでした。
上手く言えなくてもちゃんと伝えようとする姿勢、私にはできなかった事です。心から尊敬します)
「まる、孔、慌てるな。話はまだ終わっとらん。私は吉原の稲荷じゃ。
心は自らの知識と努力でこの吉原を変えてくれた。
だから皆を応援したい。心に健康の加護をくれた、吉原の弥勒菩薩様も同じ気持ちじゃ。
だが、使役が主と結婚というのは、単純に応援するのとは違う。理も重要視されるだろう。だから、神々にも交渉じゃと平松の宮に伝えた。
まる、孔、理解してくれないか。」
「稲荷様……お気持ち分かりました。
この孔とまるちゃんが、必ず大稲荷様と大国主命様に思いをしっかり伝えます」
「うん。結婚の許可が出るように祈っておるぞ。神ではあるが。ほほほ」
稲荷様はそう言って、伏見稲荷大社へ向かう神の道を使うように言った。
「弁天様の所に行った他の者達も、神の道を使って伏見稲荷大社へ向かう。
行け!神の道は直ぐに着くぞ」
「ありがとうございます。それでは行ってまいります」
そう言って、孔ちゃんとまるちゃんは伏見稲荷大社へ、神の道を使い向かった。
「これからの道は険しいぞ。応援しているからの」
稲荷様は呟いた。
夏の蒸し暑い夕暮れに、綺麗な月が昇り吉原の稲荷神社を照らしていた。
◆
「さあ、着いたね」
心と友子、美桜と雅が弁天池の弁天様の所にいた。これから、弁天様と交渉だ。皆は小さく円陣を組み、
「えい、えい、お〜」
と音頭をとった。
次は心、友子、美桜と雅ちゃんだ!頑張って!
次回の投稿は9/2(水) 20時〜21時です。
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