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早死にして転生したアラフィフですが、異世界の江戸では人生愉快痛快です!  作者: 藍紫
第四章 黒い思惑

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番外編  出会い、伏見稲荷大社

大変遅くなりました。番外編投稿しました。

読んで頂けたら嬉しいです。

よろしくお願い致します。

「伏見稲荷大社はやはり大きいな……」

その時、参道の脇からガサガサと音が聞こえる。

「何奴っ!」 

信広は刀に手をかけた。


「若様、若様〜」


「何事だ。そんな大声を出して」


「何をおっしゃいますか。幾ら成人されたとはいえ、遠衛家の若様が供の者もつけずに出かけるとは」

(……なぜ歩いて直ぐの神社に行くだけで。過保護すぎだろう)

遠衛信広は御年16歳。昨年成人し、今は江戸から京都に居を移している。


この世界の日の本では、帝は神事、政治は主に幕府と分かれている。

然し、帝が賜る国つ神のお告げは、政治にも深く関わる事が多い。

この為、帝は江戸で過ごす事も多く、多くの貴族もこれに従う。


遠衛家は代々大臣を務め、帝や宮家を支えてきた家柄。成人した男子は数年京都で過ごし、京都の生活、神事等を体験する。貴族として経験を積む年月なのだ。


「京に行ったら早朝の参拝を欠かさぬように」

決められた慣わしの一つで、逆らう事は絶対に出来ない。

(面倒臭い……)信広は渋々朝の参拝に来ていた。


「伏見稲荷大社はやはり大きいな……」

すると参道の脇からガサガサと音が聞こえる。

「何奴っ!」 

信広は刀に手をかけた。


「斬らないで!」

茂から一人の巫女が出てきた。手には百合の花を持っている。


「この先の崖の近くに咲いていたの。綺麗でしょう?きっと神様方も喜ばれると思って」

(鈴のような声、輝く笑顔。眩しい。何だこれは?)

信広は不思議に思った。


「私はえり子です。この伏見稲荷大社の巫女をしております。貴方は?」

「遠衛信広だ」

なぜか信広は名前を言うのが精一杯だった。


翌日もえり子様は茂みから出てきた。

「信広様おはようございます。今日はりんどうが咲いておりました。綺麗でしょう?」

「……はい」

信広は参拝に通い続け短い挨拶をかわす。毎日、毎日。なぜかふわふわする幸せな日々……


季節の神事では、えり子様や巫女達は神楽女となり、神楽舞を奉納する。


四季折々の装束をまとい、きらびやかな金の天冠てんかんや花冠をつけたえり子様が踊る。


(えり子様の周りだけが、きらきら光っている。まるで天女が舞い降りたかのようだ。)

信広は何時までもその姿を眺めていた。


何度もえり子様の神楽舞を観た頃、早朝の参拝でえり子様が信広を待っていた。


「信広様、お会い出来るのは今日が最後となりました。私は巫女を辞める事になりました。」


「え?どういう事でしょうか?」


「毎朝お会いする信広様には、ご挨拶してここを去ろうと思いました。私は、神々に仕える身でありながら、何よりも大切な方とお会いしてしまったのです。」


「どういう事ですか?巫女は一生神に仕えるのでは?」

(初めてえり子様と長く喋った。でもこれが最後だとは)信広は焦ってやっとこれだけを言う。


「はい。私も全く思っても見なかった事でした。

私は神々と常に一緒でした。ですが、もう違うのです……」

えり子様は泣いていた。だが、直ぐに笑顔になり、


「信広様、毎朝お会いするのがえり子は楽しみでした。どうかこれからもお元気でお過ごし下さい」


「えり子様も……」


えり子様は深くお辞儀をして去っていかれた。

信広はそれからしばらく、ただただその場に立っていた。



「とまあ、こういうわけです。儂が純真な心を持っていた頃の話ですよ。平松の宮様!」


「そうでしたか。いや誰しも一つ位は初恋のキラキラな物語があるものですね。いやぁ素晴らしいお話でした、遠衛様。こちらに呼ばれた甲斐がありました」


玉川宮邸で、一段落ついたあとは、例によって宴会が始まっていた。


「いやいや、お互いもう爺様ですが、これからは協力して日の本を盛り立てていきましょう。それに……」

「それに?」


「遠衛様を是非お連れしたい場所もあるのでな。楽しみにしてて下さい。」


「はあ……」


「ねぇ〜!遠衛のおじちゃま!一緒にお話しましょう〜」

「おうおう、美桜ちゃん雅ちゃん、今いくよ〜」


遠衛様はすっかり桜雅コンビに気に入られた様子で、まるで爺と孫のよう。


宴会はまだまだ続きます。


淡い初恋をこじらせてしまった遠衛様……ですね

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