20 帝との面会
お披露目会後程なくして、お忍びでの帝とえり姫との面会日が決まった。
今回は宮中風の衣装であり、心も着物の重ねの色合わせを、決めただけで後は女官にお任せした。
帝へ御目見得するのは えり姫と
平松の宮様、使役の理央だけだ。
三人はまったりお茶を飲んでいた。
お茶は心が入れる。前世から何故か
お茶係は心と決まっているのだ。
心がハーブティーに凝った時期があり
お茶を買っては、入れていた。それが
習慣で残っているらしい…
心はお茶を入れながら二人に聞く。
「宮爺に頼んでみたこと、上手くいく
かな?ちょっと心配」
「どうだろう? でもえりの為だし
ねぇ松江、どう思う?」
「帝も今のえりを見たら、そう考えて下さると思うよ……」
お披露目会の後、三人と使役達は
宮爺にお願いをした。
一つ、えり姫が屋敷から外出できる
二つ、三人は屋敷に自由に伺える事
三つ、えり姫の存在を世に出すこと
これらが叶わなくては、合宿後4人は
堂々とあえなくなってしまう。
三人は祈っていた。
……暫くして何と、帝が三人を
呼んでおられる。そのままの身で
急ぎ参るように、との連絡が入った。
天上人にそれぞれ普段着の着物で
合うことになるとは!
しかしお待たせする事も出来ず
三人は急ぎ伺う事にした。
御簾越しであるが、帝が三人にお声を
掛けられた。
「心 松江 お友、この度は
姫宮の事本当にありがとう。
姫がこの様に立派に成人したのは
皆、三人のおかげと聞く。」
お披露目の衣装も見せてもらった。
強い作り手の思いが込もっており、
私が見るに打掛は付喪神になっておった。
打掛自身が溢れる様な光を放って
いる。
着る者の霊力を高めてくれる素晴らしい打掛であったぞ」
「帝、私もこの様にすっかり元気
になりました。全てお祖父様、理央、
友子 松江 心と、三人の使役達の
おかげです。
何よりこの三人と一緒に過ごす事を
良しとして下さったお兄様、えりは
感謝致します。
ありがとうございます」
「お兄様、今お兄様と呼んでくれたの
か?姫よ 」
「はい……今迄ずっとお呼び出来ず
におりました。今迄私は家族や人の温かさがよく分かりませんでした。
ですが今回の事で、改めてお兄様や
お祖父様、理央がいつも私の事を大切
に思っていたかを知ったのです」
これを聞いた帝は、思わず御簾の中か
ら出てこられた。
「姫!ありがとう……私も夢が叶った
ようだ」
帝はえり姫の手を握り涙している。
わぁ〜これで帝もえり姫にまた、
超!メロメロズッキュンじゃん……
まぁでも兄妹仲良く。本当は普通の事
だもんね。良かったね、えり。帝。
私は、友子や松江と目配せをした。
二人とも、ニヤニヤが止まらない。
同じ事を思っているのがよくわかる。
「ところで……平松の宮」
「はっ」
「これからの姫宮の事だが。
姫は自由に外出できることとする。
勿論、御目付でな理央頼むぞ」
「しかと承りました 帝」
「同様に三人も自由にえり姫を
訪ねてもらって構わない」
「最後に えり姫の身分であるが
改めて姫宮と世に示す事も考えたが
姫の負担になる事はしたくない。
平松の宮の親戚の娘として、この屋敷で普通に暮らしてはどうか」
「お兄様 よろしいのですか?」
「勿論だよ。姫」
えり姫は帝の手を再度取り、目を潤せ言った
「嬉しゅうございます お兄様」
ぱたり……。帝が幸せ絶頂で気絶した
えり!こいつまたしても!と私が思っていると
「帝、失礼致します」
友子が懐から出した気付け薬を布に含ませ口元に当てた。
同時に松江が素早く胸元の帯を緩めて呼吸を楽にする。
「はっ!」
二人の素早い行動で、帝は直ぐに目を覚ました。
「またしても、皆に助けられたな。
ありがとう。何らかの褒美を取らそう」
「具合の悪い方を助けるのは当然の事です。
が、もし可能なら近く4人で歌舞伎を観に行ってもよろしいでしょうか?」
「勿論だ!皆で楽しんでくるとよい
御目付役もついて行くのだぞ」
「はい!」
理央が目を輝かせ返事をした。
「皆で楽しもうね!仕出し弁当も食べ
てさ! 松竹亭から出すから」
「やったぁ 楽しみね〜」
えり姫が嬉しそうにしているのを、
帝が眩しそうにその様子をみている。
全く、えりったら。私はまた二人を
見て、皆で頷いていた。
「所で、皆にもう一つ頼みがある」
「何で御座いましょう帝」
宮様が答える。
「平松の宮、私も今迄両親と一緒に
暮らす事なく育った。その後は
帝として日々心を清め過ごしている。
だが……」
帝が声を詰まらせる。
「それだけでは、私の心は満たされないようだ。
今後はより姫に会いにこようと思う」
うん更に?帝シスコン度上昇か?
そして帝は意を決した様に言った。
「その時にはただの姫の兄として、皆と一緒に過ごしたい。
ただ山を散歩をし、野菜を収穫して、
料理をする。それを食べながら皆で
語らいのだ」
そうか……そうだよね。シスコン度
上昇!とか思ってごめんなさい。帝。
神の御神託を聞く御身だからって、
人の子だもん。
普通に腹を割って話せる人達と、
過ごす時間が欲しいよね。
「それで 帝の御心が満たせるので
あれば 是非その様に致しましょう」
平松の宮様が答えた。
「その時を楽しみにしている。皆も
どうか遠慮なく共に過ごして欲しい」
「はい」
私達は返事をした。
それ以降、二三ヶ月に一度お忍びでこ
られる帝とも、私達は意気投合した。
すっかり仲良くなった今は、なんと
『えり兄ちゃん』と呼んで過ごす間柄
になった。 楽しい!
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今日はやっとえり姫の所に行けるぞ。
帝は神事を終え、平松の宮邸へ向かった。
帝の異母妹のえり姫は、外の誰とも会えずに、ずっと使役の理央と過ごしている。何とも悲しい姫なのだ。
先の帝から、何時もいわれていた。
「宮家の秘する娘、えり姫を大切にしてほしい」と。
私はそのご意向を引き継ぎ、姫の様子を見に来く事を続けてきたのだ。
これは私の大切な使命である。
また神の御神託で、異世界からきた友人が姫に出来、国難が落ち着くとも
言われている。これからも心して姫に会わなければ。
……えっと〜今日は何を持っていこうかなぁ。
えりきゅん、この間足を怪我して痛い思いしちゃったからぁぁ!
いやいや最近平松の宮から、異世界の事の勉強を勧められ、資料で渡された漫画と言うものに、ハマっちゃった。
誰にも見つからない様にしないとな。
流石に帝が漫画にハマってオタク寄りになってたらぁ
きっとえりキュンも引いちゃうし〜
そうだ!今日はえりキュンの好きな漬物の千枚漬け、持っていっちゃお〜っと。
……ヤバい。こっそりその様子を見ていた平松の宮様は、帝に漫画を渡したことを心から後悔した。




