番外編 長襦袢、夜露死苦!
私が着々とえり姫の衣装を作っている時、勿論心だけではなくその道のスペシャリストが、一同に集まっていた。
着物問屋の旦那、着物をものすごいスピードで縫うお針子さん。
刺繍をさせたら、誰にも負けない細やかさで仕上げる職人……皆その道のプロである。
そしてある意味私と同じ、オタク職人気質の者ばかりの集団。
職人達は心に合ってすぐ、心花魁も自分達の仲間だと通じ合ったのだ。
「心ちゃん、この生地とこの生地を合わせるんだね。分かるよグラデーションがたまんないねぇ〜」
「心ちゃんこの刺繍はどうだい?これなら理央様も納得だろ?」
そうやってえり姫のお披露目の衣装は、心と共に何度も納得いかずやり直した末、ようやく出来上がったのだ。
仕上がった時は、皆クタクタ。
だけど、仕上げに長襦袢と半襟を縫い合わせていた時、私はうっかり思い出した事を口にしてしまったのだ。
「特攻服っていう、文字を刺繍した服があってさ。
長襦袢にもやったら似合うかもね」
ギロリ。徹夜ハイになっていた職人軍団が一斉に私をみた。
「どんな物なんだい?それは」
「何?字を刺繍すんのかい?」
「へぇ!当て字で言葉をねぇ……」
そして職人軍団が一斉に言った。
「……で、何の言葉をいれるかい?」
ひ〜っ!駄目だこの人達とことんオタクだぁ〜
同じ輩だぁ……
「ふふふっ!腕が鳴るねぇ!」
「わぁ!止まんないや!楽しい〜」
「心ちゃん!次は何の当て字で縫うのかい?」
職人軍団の目は血走り、アドレナリンが出まくっている。
こうしてえり姫の特攻服、いや長襦袢が完成したのであった。
縫い終わった職人軍団は叫んだ。
「我ら職人軍団!夜露死苦!」




