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第68話 偶然
埃の積もった床が視界の半分を覆った。
若奥様の死を旦那様に報告する。
「・・・そうか。死んだのだな」
「はっ!腹部を刺されているのを遠目に、ですが確認いたしました!」
「ならば、それでいい。生きていたとしても、罪人の言葉を簡単に信じるほどオツムの弱い奴らではないだろう。此処が特定されることはない」
「では・・・私はどうすれば・・・」
新たな任務があるのか。ないのであれば・・・。いや、あったとしても。
「エンポリオに行け。皇女とその側近がお忍びで旅行をなさっているそうだ。帰りの航空機を爆破する」
っ!
「かしこまりました。・・・では、行ってまいります」
「ああ」
旦那様とは目を合わせぬよう、部屋を退室した。・・・結局同じだ。この建物は何処でも埃まみれ。美しくされることもなければ、その本来の姿を表すこともない。まるで、私のようだ。
・・・旦那様の策は果たして成功するのだろうか。皇帝陛下は何かとうまく切り抜けている。そう、いつも、最後の最後で。偶然と呼ぶには不自然なくらいだ。
まるで・・・私達が監視されているような錯覚すら感じる。
そんなことはありえてはならない。私達は私は家族を見つけ出さなければいけないのだから・・・。
明日から21:00の投稿とさせていただきます。




