62/69
第60話 最後の仕事
真っ暗な街に黒衣の者達が密やかに動く。その中の一人は燃えるような深紅の髪を持つジェネラレッシモ・ヴィジランである。隣にはエポック・リュクシュールこと絵師クエルポ。
「貴方にも隠密行動が取れたのですね。驚きました」
吐く息に音を含ませて呟くエポック。
「護衛騎士であると同時に隠密部隊の副団長なのだからな。・・・暗殺部隊は隠密部隊の管轄になる。暗殺部隊は皇帝直属でもあるので実質同格だが」
「何故それを私に話すのですか?流出させるかもしれませんよ?」
「平民の戯言など誰も信じまい」
それを聞いて思わずククッと笑ってしまうエポック。
「それもそうですね。・・・では公爵としての最後を精一杯やりきりましょうか!」
その言葉を号令に速やかにリュクシュール邸を取り囲む隠密達。彼らの仕事は逃げた残党を殺さず捕らえること。難しいことだがそれをできるのがこの部隊なのだ。
「閣下、中に突入します!用意はよろしいでしょうか?」
隠密部隊班長の言葉にジェネラレッシモは頷く。
「ああ。覚悟は決まったか、エポック?」
「もちろんです。行きましょう!」
そうして長い夜が始まった。破滅への道のりを少しずつ、少しずつ進んで行く。




