第59話 秘密の逢瀬
「お義父様。お久しぶりです。ご無事でなによりです」
暗い顔をして俯きつつ、目の前に座る男を見た。
「無事とは言えないであろう。ブリシオ様も、だが閃光幻影をヴィジランの者共に見せてしまったのは痛手だ」
「・・・そうですね。溜めていた分は屋敷の者たちに置いていったのでしょう?」
疑問形なのはこの男ならば家人達を見殺しにもするだろう、と思ったからだ。
・・・・・・私も大概だけれど。
「さあ、どうであろうな。だがあれには逃げぬよう伝えてある。逃げればお主等が制作した毒に蝕まれるだろうとな」
・・・・・・嗚呼、やはりこの男に人の心はない。
別に家人達に情があるわけではない。しかし、今までの感謝が無いわけでもない。だから。
「あの毒は触れただけで死ぬのだろう」
「ええ、ただし純鉄製に塗られたときだけですが」
「はて?我が家の玄関口の取っ手は何製だったかな?」
「純金製です」
「おや、それは困る」
わざとらしく大袈裟に困ったようにそう言った。
・・・・・・襲撃されるかもしれぬ家に一旦帰れと?そうか、知識を手に入れれば私は用済みなのね。
「・・・私が行きましょう。純鉄製の取っ手はありますか?」
「おお!ありがとう。もちろんあるとも。ほれ、ここに」
・・・・・・無駄に準備がいい。やっぱり・・・。
「ありがとうございます。それでは早めに変えてまいりますね。」
「しっかりやってくるのだ。任せたぞ、ソラティオ」
カクヨムでの投稿も始めました!




