第49話 父と息子
本日、予約投稿をしようとして、投稿してしまいました。先にそちらをお読みください。申し訳ございません。
今日はリュクシュール邸襲撃の日だった。
ボン!ここは、エポック・リュクシュール公爵の文官棟執務室。なぜ、そこで爆発が起きているのか。その原因は
「また爆発させたのですか!?いい加減にしてください!」
「・・・なるほど。つまり、ここをこうしたらうまくいくわけで・・・」
息子である。研究バカで、ものを爆発させて机を壊そうと、食事を抜こうと平気で研究を続ける。
「聞いているのですか?!」
「父上、煩いです」
じろりと面倒くさそうに父を睨みつけるリュクシュール家次男、サヴァンツ・リュクシュール。まだ、成人はしていないがその知識は大人顔負けである。
「煩くとも朝から執務室で爆発を起こされて、2日も食事を抜いてる人を止めなければならないのは当然です!せめてもう少しゆっくり寝かせてください!」
リュクシュール公爵、寝起きであった。その証拠に実に個性的なツノ(寝癖)が髪についていた。
「健康なので問題ないでしょう。それよりも紙とインクが切れそうなので新しいのをお願いします」
父親をパシリとして使うこの息子、研究者としてたちの悪いことに普通のものより健康なのだ。
従来の物語の中で、研究者、研究バカ、マッドサイエンティストは病弱、体が強くはない。そのように描かれることがある。もちろん、例外は存在し、物語を更に面白くさせる。
健康であり2,3日食事を抜いても問題ないような人が研究者となればどうなるか。昼夜構わず爆発させ続ける。大変迷惑なことだ。
「わかりました。・・・それと、今日は・・・」
「母上を捕まえる日。知ってますよ。トリスタンの秘薬を祖父さんに教えた罪ですよね」
メモを続けながら表情を変えることなく淡々と。母を捕まえ、殺すであろう父を見ることもなく。
「変な気を回さなくても大丈夫です。あの女は狂っていました。どうしたらああなるのか非常に興味をそそられる。・・・父上」
ふと顔を上げ、まだ10代前半の幼さの残る、けれど鋭い視線で
「あれは毒です。たまたま作られてしまった強力な。父上が作り上げたのだと思いますよ。その毒を」
そう、告げられた。
現実的、合理的、数学的、客観的な息子、心理学、理化学、生物学、医療、薬学、すべてを学び尽くし、さらに自らで作り上げようとしている息子に。
「何を辛気臭い顔をしているのだ!・・・まさか妻を殺すことに抵抗が」
「いえ、違います。今朝息子に言われたことを思い出していたのです」
「お前の息子、聞くところによるとすごいそうだな」
「ええ、朝から執務室で爆発を起こされましたけどね。優秀ですよ。私が息子にとって良い父親なのかどうか、少し疑問に感じますね」
優秀な息子と対して優秀でない父。ただの傀儡のようなものだ。傀儡にされていたのだ。私は息子の父にふさわしくない。




