第37話 ソラティオ・リュクシュール
「ん〜、疲れた〜」
「腰が固まりましたわね」
「たかだか分程度だろう?」
「こんなので疲れてたら街はもっと大変だぞ」
久しぶりの長旅フライトだったんだもん!しょうがないよ。転生してから初めての外出だし、なんか馬車やら白鳥やらよくわからないことでも疲れさせられたし・・・。
「皇女かぐや様〜!いらっしゃいませ〜!」
「きゃ〜かぐや様だ!」
「なんて神々しい・・・!」
「素晴らしい歓迎ですわ!皆様、本物のかぐや様ですよ!わたくしのお友達ですわ!」
やめてー!アドラーティオ様、やめてー!おいキリグ、笑ってないで止めろや!
「ついでにその未来の夫と噂(内定)されているキリグ様ですわ!」
「ブー!」
「かぐや様に近づくなー!」
「かぐや様は全国民の女神だー!」
・・・もう、諦めるよ。キリグに別に恋愛感情とか持たないし、持つこともないと思うんだけど・・・。
「・・・アドラーティオさん?なんですかさっきの」
「おやおや、顔が真っ赤じゃないか。満更でもなのかい?」
「あら〜可愛いじゃありませんか。初心ですわね〜」
本人ほったらかして盛り上がらないで!彼氏いない暦=年齢の私の心をえぐるから!
「と、とりあえず宿に移動しましょう」
トリスタン公爵行きつけの旅館。なんか和洋折衷?畳にベッド。フローリングにちゃぶ台みたいなやつ。色々あべこべ。これがいいらしいんだけど。
「あら、こんなところで会うだなんて奇遇ですね、かぐや姫殿下」
後ろに振り返って挨拶しようとすると私が口を開く前にアドラーティオ様とマニフィークさんがすっと前に出てきて
「あら、ご機嫌麗しゅう、ソラティオ公爵夫人」
「リュクシュール公爵はお元気ですか?」
「アドラーティオ公爵令嬢、マニフィーク公爵令嬢、それに・・・キリグも来ていたのね」
いつの間にか後ろにいたキリグに目を止めてちょっと顔をしかめるソラティオさん・ていうかなんでいるの?
「・・・叔母上、お久しぶりです」
「クーラやセクレテールは元気かしら?」
「ええ、もちろん」
「それじゃなんで今回、来ていないのかしら?クーラはかぐや姫殿下の侍女ではなかった?」
ばあやは妊娠のことをソラティオ(義姉)さんに伝えてなかったの?今産休中だけど・・・。
「・・・母は用事がございまして。母に御用があるのであれば連絡いたしますが」
「そう。姫様を優先できないほどに大事な用事なのね。連絡はしなくていいわよ。これからルナポリスに変える予定だったから。それでは・・・」
ソラティオさんはそう言って街の中へ消えていった。
「ねえ、ソラティオさんって雰囲気変わった?前はもっと明るいイメージだったんだけど。ギャルピースしてそうな感じ」
「ギャルピースってなんですの?」
「えーとね、人差し指と中指を立てて逆さまにして前に突き出したやつ・・・そうそう、そんな感じ!アドラーティオ様もに似合うね!」
「かぐや様もとてもお可愛いですわ!そう、まるで後ろに後光がさしているように輝いていて、それでいて美しく・・・」
「・・・うん、ありがとう」
私、最近アドラーティオ様が怖くなってきたんけど・・・。狂信者みたいで。思わず3歩後ずさる。
「キリグ君、ワタシはかぐや様がとても心配になってきた・・・」
「警戒心がないってことですよね。彼女の辞書には警戒・自重という言葉が載っていないんですよ。早めに諦めてください。それが一番身のためです」
「そ、そうか」
「それより雰囲気が変わったって何のことだ?」
へ?えーと・・・?
「なんのこと?」
「お前は3歩あるいたらわすれるのか?!」
「失礼な!鶏じゃあるまいし!」
「鶏って3歩歩いたら忘れるのか?」
「さあ?言葉と性格の比喩として使われるだけだよ」
雑学好きの前世の恩師が私を鶏だって表現したのでなんとなく覚えてたんだけど・・・。って結局私鶏じゃん?!先生もキリグもひどくない?私、(自称)乙女なんですけど!
心のなかで記憶の彼方にいる先生に文句を言っているとはあーとキリグがため息をついた。
「ソラティオ叔母上の雰囲気が変わったとか言ってただろ?」
「ああ、なんか前はもっとイェーイみたいな感じだったのに今はどよーんってなってるな〜って。なんとなく」
「なんとなくかよ?!ていうかよくわからない。イェーイってなんだ?」
「いや、キリグ君、野生の直感というのはかなり当たると思うよ。特に女性同士のほうがわかることっもあるんだろう。ワタシにはさっぱりだがな」
私って野生の生き物だったの?どっちかと言うと動物園育ちだと思うよ。お城から一歩も外に出されずにいきてきたんだから。
あれ?なんで私、今まで一歩もお城からでたことがないんだろう?




