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第26話 キリグ視点 〜五芒星のお茶会2〜

時を少し遡りお昼前。


「そのようにしてこのボクはまたもや可愛らしい妖精さんたちに囲まれてしまったのだ」


自分がどれだけ恋愛対象として人気なのかを2時間近く喋っている。


「・・・ねえ、エミール公爵子息、わたくし、興味ございませんわ。どうせその方々もきっとあなたの財力と時期公爵夫人の座を狙っているだけですわ」


この雰囲気でそれを言えるのは、すごい。


「ワタシもそう思うよ。君は自分の権力を過大評価しすぎだ。その権力は親のものであって自分のものではない。それはワタシ達全てに当てはまる。もう帰ってもいいかな?ワタシはこういう場が嫌いなんだ」


こっちもかなりお怒りのようだな。フォーボンは相変わらず血の気が引いた顔をしていてエミールはマニフィークの言葉に整った眉を寄せる。


「ボクの話が面白くないとでもいうのかい?」


「自覚があるならそれでいい。ワタシは失礼するよ」


「わたくしも失礼いたしますわ。全く、こんなにも役に立たなかったお茶会は初めてですわ!」


ぷんぷん怒りながらアドラーティオとマニフィークは退室して行った。アドラーティオは部屋を出る前に目配せをしてきた。わかってる、本番はここからだ。


「エミール公爵子息、私も退席いたしますね。お二人で大切なお話し合いでもなさるでしょう?例えば反逆に関することとか、ね?」


フォーボンの顔が引き攣り、エミールは左眉を跳ね上げた。思ったより反応したようで感謝しかない。


「な、何をおっしゃっているのかな?キリグ公爵子息」


声も上ずりまくってる。これも役に立ちそうだな。


「そのように目を逸らされても困りますよ。あなた達にはこの映像を見ていただきたいのですから」


そう言ってムーンスマートの画面を起動する。右上の赤い光の点滅はこの部屋に入る前から続いている。


「父上?父上ではないか!貴様!父上に何をしたのだ!」


フォーボンはその顔を真っ赤にして怒る。それもそのハズ。画面には磔にされたリュクシュール公爵が写っていたのだから。・・・言っておくけど、これは若い頃に「磔にされる気持ちを体験してみたい!」と言ったリュクシュール公爵の写真。自分からかかりに行ったんだ。


「ではこちらはどうでしょう?」


ムーンスマートの画面を横に動かす(スワイプ)


「父上が・・・なぜ血を吐いているのだ?まさかあの毒を……。父上はこのボクが皇帝になるのに必要な存在だ!何をしている!」


エミールがつかみかかってきた。避けるとそのまま勢い余ってずっこける。格好悪い。かぐやの言葉を借りると「ダサい」だった気がする。


画面には血を吐くブリシオ公爵・・・に見える演技している皇帝。顔以外は似ていないけれど詰め物をしてごまかしている。演技?が思ったより上手だった。皇帝の思わぬ特技だ。


「あなた方には関係ないでしょう。あの毒とはなんですか?やはり調べる必要がありますね。マニフィークさん、お願いします」


「任された!入れ!」


服を赤に揃えた兵士が3人ほど入ってきた。ヴィジラン公爵家管轄の国家兵たち。あっという間にエミールとフォーボンは拘束される。


「こんなことをしてもいいと思うのか?!ボクは次期皇帝だというのに!」


「お前は現在犯罪者、反逆者だ。皇帝から許可はとってある。変に抵抗はしないほうがいいだろう」


冷めた目でマニフィークに見下ろされる。

ふわりと揺れる金髪が現れたかと思うと7cmくらいの分厚い本を掲げる。題名は「月輝(ルナ)()(ルクス)」。


「第19条 反逆に関する法:反逆者は捕らえ、皇帝に最終判断を仰ぐべし。皇帝の最終判断に異論を唱えることはなきよう。皇帝を侮辱する言葉を発すれば皇族であろうと拘束し牢に入れるべし、とあります。故に法律公爵家ドロワシオンの名の下に拘束を許します」


アドラーティオが宣言する。皇帝、皇族が不在の場合、反逆者を拘束する場合に許可を下すことができる

のはドロワシオンの一族のみらしい。


そのままエミールとフォーボンは引き摺られて行った。エミールは最後まで自分は次期皇帝だ、無礼者!と叫び続けていた。フォーボンに関してはもう諦めの表情で虚空を見つめていたのだった。


「・・・キリグ様、きちんと証拠は録りましたか?」


「ええ、ほら」


ムーンスマートの右上の赤を見せる。


「よかったよ。これでやっとワタシも役に立つことが証明されたな。今回手伝ってくれたのはワタシが担当する小隊だよ。かぐや様にワタシが役に立つことを証明してくれ。護衛騎士は重要だからな。君も大切な人を危険に晒したくはないだろう」


「わかっていますよ」


あ、録音止めとこ。赤い光は録音。緑の光は録画。光で何をしているのかわかるのは致命的だと思ったんだが・・・。あいつ等は知らないみたいで助かったよ。


「・・・否定なされないんですね。まあ、よろしいですけど?わたくしはお友達として仲良くさせていただきたいんですの!ですからお手伝いしてくださいませ!」


「はい、お友達になりたいとのことをお伝えしておきます」


「ありがとう存じます!」


こうして五芒星のお茶会は幕を閉じたのでした・・・。はあ、疲れた。

自分から磔にされたがるリュクシュール公爵と顔以外は弟と似ていない皇帝の写真でした。皇帝に新たなる特技「演技」が加わりました。もともと上手なのか、たまたまか。どっちでしょうね? 


そしてついに!連載開始一か月!本当にありがとうございます。感謝を込めて活動報告を上げましたのでそちらの方もぜひ!

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