9話 初めての狩り
長い廊下を抜け、竪穴へとたどり着く。
前回とは違って太陽の代わりに満月が竪穴からくっきり見える。
断面を見ると、ここは地下4階だな
地上まではどう行こうか?
《この体のフル稼働時のジャンプ力は3mを超えます。竪穴の各階に飛び乗っていけます。》
なるほど、
よし、フル稼働だ!!
そういうと身体から何かが湧き出てくる。
体が軽い、
水中で漂っていた時のように、重力から解放されたような、
そんな感覚。
自然と笑みがこぼれる。
ははっ、これはすごい!!
これなら一気に地上まで飛んでいけそうだ
《否定》
気がするだけだ
ちゃんと一階ずつ上がっていくよ
まるで階段を上るように階を上がっていく
ーーーーーー
そこは事前説明通り、天へと届くほどの廃ビルがどこまでも続く荒廃した世界だ。
《戦闘モードへと移行します。》
ここで軽く戦闘モードの振り返りをしとくか、
戦闘モードとは戦闘に必要なまとめパックみたいなものだ
別にわざわざ戦闘モードにしなくても自分で一つずつONにできる
戦闘モードを端的にまとめると
1,CAEDESによる身体補助
2,赤外線、放射線のセンサーの最大出力
3,視界の向上
って感じだ、そうだよな?
《肯定》
視界の向上がパノラマみたいになっていて人間のころと違うから違和感がすごい
第三者として俯瞰している感じでもある
その視界に揺らめく影が映る。
赤外線、放射線のセンサーにも反応がある。
あれだな
大きさ的には初めて見た個体と変わらなそうだけど
《成長度20のゼノベルアです。》
静かに近づくぞ、消音は任せた
《了承》
音を立てないようにする身体の細かい部分の操作はCAEDESに任せるのが正解だろう
近づくとそれは
鋭い牙
角ばった皮膚
筋肉が浮き出ている四肢
生物というにはあまりに不自然でまるで戦闘をするために生まれたような
サイボーグであっても忘れられない生物としての恐怖が体を震えさせる。
《***》
いや、狩りに来てるんだぞ
ビビッてどうする
身体性能の差は明確だ
勇気を出して思いっきり前へと飛び出す
目の前のゼノベルアはまだ気づいていない
不意打ちで殴りかかる
前世?も含め殴ったことなんてないけどCAEDESの補助もあってそれっっぽいパンチになっている
全体重140㎏の重さがおよそ時速30㎞でぶつかる
その衝撃がすべて、拳を伝い――
鈍い音が響き渡る
獣が宙を舞い、ビルの外壁に打ち付けられる。
ゼノベルアの顔面が崩れ、中から緑色の血が流れだしている。
《生体反応の消失を確認》
ははっ、一撃か
あっさり、死んだな
なんだろう、複雑としか言えない感情がわたしに渦巻いた




